記者会見
【伊藤沙恵女流四段 記者会見】
--今日の対局のご感想を教えてください。
「終始難しい将棋で、最後の最後までわからない本当に難しい将棋でしたが、明日につなげることができたのはうれしく思います」
--下段の飛車が最後まで利いていたような印象がありました。
「部分的にはいい形なのかなとは思っていましたが、終盤で働いたのは先まで見通してという感じではなかったです。終盤はいろいろ怖い筋があって、秒読みのなか読みきれないままでした」
--勝因はどのあたりでしょうか。
「最後の最後まで、自玉に詰みがないとわかるまでどちらが勝っているのか判断がついていなかったです。前期の反省を踏まえて、残り時間を意識しつつ指し進めていました」
--持ち時間を使いきったあとも冷静に指せたのでしょうか。
「理想を言えばもう少し残したかったですが、なかなかうまくはいかない。秒読みに入ってから大きなミスがなかったのは運がよかったとしか言えないです」
--前期の経験が反映されていますか。
「前期は公開対局ではなかったですが、公開対局でも気が散ることなく集中できました」
--5手目▲7八金はどういった意図がありましたか。
「福間さんとの対局では指したことがないですが、確固たる描いたものがあったわけではなくて、ちょっとやってみようかなと思いました」
--仕掛けのあたりの成算はありましたか。
「▲9八香(65手目)に△8三銀が強気な一手だと思いました。次に△9一香と打たれると9四に打つ歩がないので、その瞬間に攻め込まないといけないと思っていました。でも攻め駒が豊富じゃないので読みを入れて進めないと差がつきやすい展開で、本局も先に時間を使いきってしまったので、そのあたりは福間さんの戦いがうまいなと思っていました」
--押し込むけどもうひと押しが足りないという形でもどかしい中盤だったかと思います。
「▲6四銀成(87手目)~▲5三歩成は詰めろではないので甘い気がしたのですが、その直前の▲5六銀右(85手目)のところで銀直だったか、金だったか、一考の余地があったかなと。予定変更でした。▲9二香成(95手目)もしっくりしないまま指してしまいました」
--終盤はどのように見ていましたか。
「何か(持ち駒が)入ればという状況が続きましたが、福間さんも渡さないように攻めをつなげてこられたので、何かあったかもしれませんが、いまは見つかっていない状況です」
--明日への意気込みをお聞かせください。
「振り駒になるので先後がわからないですし、とにかく目の前の一局に集中するだけです」
(伊藤沙恵女流四段)
【福間香奈倉敷藤花 記者会見】
--対局を終えたいまのお気持ちをお聞かせください。
「作戦負けになってしまったあとに持ち直してはっきりよくなっていた将棋だったと思いますが、最後は時間が切迫していく中で寄せを間違えたと思います」
--最後までどちらが勝つかわからなかった将棋でした。
「自玉が薄い分、正確な指し手を積み重ねていくのが難しかったです」
--倉敷藤花戦独特の、持ち時間が短い難しさはありましたか。
「でも、もう少し要所で時間を投入すべきでした」
--序盤の▲7八金(5手目)に考えられましたが。
「あまり見ない手なので、どういう方針にしようかと考えていました」
--どのあたりで作戦負けと感じていましたか。
「先手にいい形で▲2四歩(49手目)△同歩▲9五歩と仕掛けられて、まとめにくい形になりました。もっと早い段階で動いたり、駒組みの段階で違う順を選んだりしたほうがよかったです。本譜はこちらの駒がぶつかりやすくなっていて、手は進んでいるけど低い陣形じゃない分、流れ弾に当たりやすい形だと思っていました」
--▲9八香(65手目)に△8三銀と引いたあたりはどう見ていましたか。
「昼食休憩(54手目△9五同香)のあたりは違う展開を考えていました。本譜は先手も怖い形で踏み込んでいかないといけなくて、こちらは相手の手に対応していくような構えになり、結構難しいのかなと感じていました」
--先ほど「よくなっていた」とおっしゃられましたが、どのあたりでそう感じていましたか。
「駒得できて、△7八銀(102手目)と挟み撃ちにする展開になったのでそのあたりはよくなっているかなと思いました。そのあとに△5六歩(106手目)とたたきましたが、△6七銀打など、わかりやすい展開にしないといけなかったかもしれません」
--明日への意気込みをお願いします。
「先後がわからないので、どちらにしても自分の力を出しきれるように、一局に集中したいです」
(福間香奈倉敷藤花)
(翔)



