見どころ解説
両対局者が退室したあと、長谷川女流二段の司会進行で、中田八段と山崎八段が、対局の見どころについて解説しました。
(左から、山崎隆之八段、中田功八段、長谷川優貴女流二段)
――倉敷市について。
中田八段「大山先生の門下になったのが、44年前です。倉敷はきれいな街だな、ここに住みたいなと、子供ながらに思った印象があります」
山崎八段「子供のころから将棋中心の生活だったので、家族旅行がそんなに多くはないのですが、倉敷にいった思い出が強いです。きれいな街で楽しかったように記憶しています」
――両者の棋風について。
中田八段「どちらも得意なスタイルが一緒なんですよ。ふたりが戦ったらいつも力戦型なので、見ごたえがありますよ」
山崎八段「里見倉敷藤花は、十代の頃はとても攻め将棋でした。しかし、奨励会に入ってパンチ力よりも安定力が必要と考えられたのか、受け重視の手厚い将棋に変わりました。そして、いまはまた本来の姿に戻られています。西山挑戦者は力強いストレートパンチを繰り出す棋風で、みんなから『剛腕』と表現されています。これまでの将棋を見ても、どちらも序盤から積極的に主導権を争っている印象です」
長谷川女流二段「両対局者との対戦はまだありません。里見倉敷藤花に憧れて女流棋士になったので、いちど対戦してみたいなと思うのですが、おふたりと対戦するにはタイトル戦に出なければならないので、なかなか叶いません」
――明日の解説会について。
中田八段「山崎さんは、棋界で一二を争う力戦派です。明日は素晴らしい解説が聞けると思います」
山崎八段「ふたりの将棋を見ていて、いつも楽しそうだな、代わってほしいなと思います。前例のない局面をふたりで考えて、うらやましい局面になっていることが多いです」
――今期三番勝負について。
中田八段「西山挑戦者は、先日のヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負で、白玲を奪取されました。今回もタイトルを奪う気まんまんでしょう。一方の里見倉敷藤花は守る気まんまんです。先後は明日決まるので、戦型予想はできません。しかし、すごい勝負になるのは間違いないでしょう。男女関わらず、情熱を持ち続けられるのは才能のひとつです。同時期にそういった女性が一気にふたりも出てくるとは思いませんでした。将棋界の新たな歴史を作るふたりだと思っています」
(武蔵)