記者会見
その後、18時からは場所を倉敷国際ホテルに移し、対局前日の記者会見が行われました。
■伊東香織・倉敷市長のあいさつ
本年はコロナウイルス感染防止の観点から、いつも行っております前夜祭や公開対局を開催することは控えさせていただき、記者会見の場を用意させていただきました。里見香奈倉敷藤花、中井広恵女流六段、倉敷にお越しいただきましてありがとうございます。みんな楽しみに、お待ち申し上げておりました。倉敷市は大山康晴十五世名人の出身地でございます。市を挙げて将棋の振興に取り組んでおります。倉敷市とともに主催していただいている日本将棋連盟より、今年も清水市代常務理事にお越しいただいております。ありがとうございます。また倉敷藤花戦は山陽新聞社、倉敷市文化振興財団で主催しております。多くの将棋ファンに支えられている倉敷藤花戦です。
倉敷藤花戦は大山康晴十五世名人の偉業をたたえ、平成5(1993)年に開始し、いまや28期を数える歴史のある棋戦になりました。今年は倉敷藤花戦の対局をどうするか大変悩みましたが、倉敷市民の皆様から「今年は様々な行事が中止になっており、将棋を身近に感じることができない。なんとか藤花戦で女流棋士の皆様に来ていただけないだろうか」という熱い思いをいただきまして、万全の対策をして開催させていただくことになりました。
第1局は関西将棋会館で行われ、里見倉敷藤花が115手で先勝され、大変見ごたえのある戦いでございました。明日は第2局。里見倉敷藤花は10期、倉敷藤花のタイトルを持っておられる方でいらっしゃいます。中井広恵女流六段も3期保持していらっしゃいました。そして清水市代常務理事も10期保持されており、女流棋界の第一人者の方が集まってくださいました。明日は里見倉敷藤花がその力を発揮して連勝するか、もしくは中井広恵女流六段が力を振り絞っていただくか、見ごたえのある戦いが期待されます。本来なら公開対局をご覧いただくことになっておりましたが、このたびは新型コロナウイルス感染対策で、対局と大盤解説会をYouTubeで配信いたします。芸文館での大盤解説会も人数制限をしながら万全の体制で行ってまいります。
■里見香奈倉敷藤花の決意表明
本日はお集まりいただきありがとうございます。第2局を開催するにあたりまして、ご協力いただいております多くの関係者の方々に感謝申し上げます。今回は倉敷藤花戦の対局が行われるか、厳しい状況と感じておりました。コロナ禍で本当に大変なご準備をいただいたと思います。準備にあたってくださった全ての関係者の皆様、ありがとうございます。明日はいま持っている力をすべて出しきれるように、盤上に集中して頑張りたいです。よろしくお願いいたします。
■中井広恵女流六段の決意表明
今回はこのコロナ禍で例年と変わらずに倉敷市で対局できること、私自身もうれしく思います。関係者の皆様にはご尽力いただきまして感謝を申し上げます。ありがとうございます。今期は第28期ということですが、第1期が創設されたときの対局をいまでもはっきりと覚えております。女流棋士一同、この棋戦ができて本当にうれしく感じました。私自身のことで言えば、タイトル戦は13年ぶりだそうです。本当に久しぶりです。倉敷でお世話になっている皆さんには「今年こそは挑戦者として倉敷にうかがいます」と言い続けておりながら時間がたちました。正直に申し上げてもう無理かなと思っていたのですが、今年、思いがけなく挑戦者として倉敷に来ることができました。里見さんは、強い強い倉敷藤花です。せっかく挑戦者になれたので第2局で終わるのはさみしいですし、なんとか3局指したいと思っています。明日は見ていただける皆さんに「面白い将棋だった」と言っていただけるような将棋が指せるように頑張りたいと思います。よろしくお願いいたします。
■日本将棋連盟常務理事・清水市代女流七段のあいさつ
長きにわたり、将棋へのご理解、女流棋界への多大なるご尽力を賜ります倉敷市様、ありがとうございます。またいつも大会運営に東奔西走してくださっている倉敷市文化振興財団の皆様、対局の模様を1回戦から掲載していただき、またタイトル戦の模様を大きく取り上げてくださっている山陽新聞社様、ありがとうございます。
今回の番勝負はいろいろな意味でイレギュラーなことがありました。初めて第1局が関西将棋会館で行われたこともそのひとつでございます。挑戦者の中井広恵女流六段が最年長の挑戦者記録を更新ということもあります。そして今年は、全国の皆様に楽しみにしていただいている公開対局が行われないことは残念です。これが忘れられない思い出になり、そういうこともあったねと言える日が来ることを祈っております。明日は、絶対王者の里見倉敷藤花に中井女流六段がどう挑むかが注目。中井女流六段の武器はたくさんありますが、誰にも負けない経験値からくる本筋の一着は業界内でも定評があり、私も一ファンとして注目しています。その先輩を前に里見倉敷藤花がどう戦うかも注目いただければと思います。
(書き起こし:翔記者/写真:夏芽)