2024年3月19日 (火)

伊藤匠七段インタビュー

挑戦権を獲得した伊藤匠七段は、感想戦後に改めて報道陣の取材に応じました。

Dsc_29391

――藤井聡太叡王との五番勝負が決まりました。竜王戦七番勝負、棋王戦五番勝負に続いての対戦となりましたが、いまの率直な気持ちを教えてください。

伊藤 再び藤井さんと対戦する機会を作れたことはよかったと思います。

――棋王戦五番勝負で敗れた直後のインタビューでは、「自分の力不足を実感した」というコメントがありました。いまの時点で、叡王を奪取しにいくための腹案はどのようなものでしょうか。

伊藤 番勝負で2回続けて結果が出ていないので、前の2回よりは実力を上げて臨まなければいけないと思っています。

――本日の将棋は、永瀬九段は81手目の▲2一飛までは予定だったとのことでしたが、伊藤七段はどの辺りの局面まで思い描いていたのですか。

伊藤 本局は、こちらのほうがはっきり認識が不足していた印象です。▲7九玉(61手目)と引くところは先手の手が広い局面かと思っていたんですが、玉を引かれて、こちらも8筋の歩交換を通しにいくよりないのかなと。ただ、そのあとの直線の変化でそこまで深い認識を持っていなかったのは問題でした。

――今期の叡王戦全体を振り返って、ご自身としては、ここまでの戦いぶりはいかがですか。

伊藤 叡王戦は持ち時間が短めの棋戦ですが、いままでそういった棋戦であまり結果が出ていませんでした。今期の叡王戦では、持ち時間が短い中でも比較的、決断よく指すことができていたのかなと思います。

Dsc_29471

――「実力を上げる」という点についてですが、藤井叡王と戦ううえで、どういったところを強化していきたいと考えていますか。

伊藤 なかなか終盤勝負というところまで持っていけていないので、中盤の難所で正しい判断をできるようにしなければと思っています。

――今回の五番勝負では、愛知県名古屋市での対局が2局あります。名古屋は藤井叡王だけでなく、伊藤七段にとってもご縁がある土地ですが、いかがですか。

伊藤 そうですね。名古屋には親戚の家があって、小さい頃にはよくいっていた場所なので、うれしいです。

Dsc_29521

――これまで藤井叡王と番勝負を戦ってきて、何か手応えとしてつかんだものがあれば教えてください。

伊藤 なかなか手応えはつかめていないのが現状ではあるんですが、序盤の分かれとしてはこちらのやりたい将棋が指せているところはあるので、やはり中盤をどう乗り切れるかというところが鍵になってくると思います。

――番勝負ではよい結果が出ていないものの、竜王戦、棋王戦、叡王戦と、立て続けに挑戦権をつかんでいるのはとてつもないことです。「対藤井」以外では素晴らしい結果を残しているわけですが、ご自身のここ1、2年の棋力の向上や調子についてはどのように考えていますか。

伊藤 藤井さんと番勝負を戦うことで成長できている部分は大きいのかなと感じています。

――最後に改めて、叡王戦五番勝負への意気込みをお願いします。

伊藤 いままで不甲斐ないシリーズが続いているので、もっと熱戦をお見せしなければいけないなと思っています。

Dsc_29641