第54期決勝三番勝負第1局 Feed

2023年10月 2日 (月)

分かりやすい局面

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控室では△4六金に対して、▲5六歩△7三角▲4四歩から銀を取り合う変化が調べられていました。しかし実戦は、検討されていなかった▲4六同角△同角▲4四歩です。

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桐山九段からは「局面を分かりやすくしましたね」との声。先手が4三銀を取れば、駒割りは▲銀桂△角の2枚換えに収まります。

Img_2726(2手目△3四歩を着手したときの藤本四段。いまは反撃を狙ったところ)

Img_2707(しかしその反撃を上野四段は許さなかった)

(虹)

対局再開の様子

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Img_2798(ここまで消費時間の少ない上野四段。どこで研究を離れるかに注目したい)

Img_2796(対局再開の定刻になったが、藤本四段に指す気配はなかった)

Img_2810(それを察したのか、桐山九段が退室。入れ替わるように村田女流二段が入室した)

(虹)

昼食メニュー

昼食の注文は、藤本四段がサービスランチ「ハンバーグ&海老フライ盛合せ」(レストランイレブン)、上野四段が「うな重」(ふな定)。対局は12時40分に再開します。

Img_2769(藤本四段の注文)

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Img_2755(上野四段の注文)

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(虹)

昼食休憩

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継ぎ盤検討どおりに進んだところで、昼食休憩に入りました。消費時間は▲上野20分、△藤本1時間38分。

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Img_2790(上座からの視点。昼食休憩時、ふすまは閉められていた)

(虹)

上野四段の作戦か

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11時頃の局面です。控室に来訪した井田明宏四段は、研究会でこうした形を上野四段と指したことがあると話します。示された進行の一例は以下△4五歩▲同銀△5七歩成▲同金△同桂成▲同角△6五歩▲7七銀△5五角▲3七歩(変化図)で、駒割りは▲桂△金の交換で後手の駒得ですが、手順最後の▲3七歩に対して後手の攻め方が難しいとのことです。

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Img_2742(井田四段は雁木が得意戦法。「ここは後手が昼食休憩まで考えたいぐらいの局面ですが、そうもいかないですね」ともつけ加えた)

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同門対決

Img_2647(朝、駒を並べる両者)

両者は井上慶太九段門下で、先にプロ入りを決めたのは藤本四段でしたが、上野四段が兄弟子にあたります。奨励会三段時代を含めて公式戦対戦はありません。奨励会三段リーグでは1度だけ対戦しており、第70回(2021年10月~2022年3月)に藤本四段が勝利を収めていました。

新人王戦決勝三番勝負は、関西対決というだけでも珍しい例(ただし前期も関西対決)ですが、同門対決となるとじつに42年ぶりのことで過去3例しかありません。

第12期(1981年) 田中寅彦五段-伊藤果五段  (故)高柳敏夫名誉九段門下
第9期(1978年) 小阪昇四段-森安秀光七段  (故)藤内金吾八段門下
第2期(1971年) 若松政和四段-森安秀光五段 (故)藤内金吾八段門下
(左が新人王戴冠、対局者の肩書は当時のもの)

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上野裕寿四段

Img_2649(上野四段)

2003年5月5日生まれの20歳。兵庫県加古川市出身。井上慶太九段門下。
2015年、6級で奨励会入会。2023年、四段昇段(プロ入り)。棋士番号は340。

Sindata_ueno(上野四段の新人王戦成績)

奨励会三段時代に参戦した新人王戦では6勝3敗(千日手2)としています。ほかの棋戦も含めると、通算で13勝7敗(千日手3)でした。
第73回奨励会三段リーグ戦(2023年4~9月)において14勝4敗の成績を収め、リーグ2位で10月1日付の四段昇段を決めたばかり。本局が公式戦初対局となります。

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藤本渚四段

Img_2578(藤本四段)

2005年7月18日生まれの18歳。香川県高松市出身。井上慶太九段門下。
2016年、6級で奨励会入会。2022年、四段昇段(プロ入り)。棋士番号は333。

Sindata_hujimoto_2(藤本四段の新人王戦成績)

現役最年少棋士です。新人王戦への参戦は、奨励会三段時代にはなく今期が初。今年度の公式戦成績はここまで21勝3敗で、勝率0.875は現時点のランキングで首位に立っています。また本シリーズだけでなく、第13期加古川青流戦でも決勝三番勝負を控えています。

(虹)

対局開始前の様子

Img_2553(御上段の間に先に入室したのは藤本四段。9時36分だった)

Img_2589(続いて9時40分に上野四段。会館入りはこちらのほうが早く、3階「棋士室」で待機していた)

Img_2666(立会人の桐山九段と、観戦記を執筆する村田智穂女流二段)

Img_2692(番勝負開幕局ということで振り駒が行われた。記録係の清水三段が白布に駒を舞わせる)

Img_2716(定刻の10時になり、深々と一礼を交わした)

(虹)

両者の得意戦型へ

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戦型は、上野四段の矢倉、藤本四段の雁木となりました。控室に戻ってきた立会人の桐山九段は「積極的ですね。普通は右銀を上がってから歩を突くものですが」といって、関係者向けに解説しながら継ぎ盤を動かしています。

Img_2732(桐山九段)

(虹)