2024年7月10日 (水)

終局直後、両対局者にインタビューが行われました。

Dsc_0516_2 (終局直後の様子)

Dsc_0515(勝った福間清麗)

【福間清麗のインタビュー】

――本局は途中まで今期の女流王位戦五番勝負第3局と同じ進行だった。

福間 いろんな組み合わせがあるのであまり本命ではなかったんですけど、手を変えられて新しい将棋になったかなと思います。

――桂交換になったあたりは。

福間 左桂が交換できる形になったのでそんなに悪くないのかなと思っていました。

――飛車が成り込んだあたりは。

福間 少しよくする順があったのかなと思いながらやっていたんですけど、あの辺りは1手1手難しくてわからないまま指していたところはあります。

――▲4一竜と切ったところは手ごたえがあったか。

福間 △5一飛とぶつけられる筋を警戒して先に切ったんですけど、その直後に読み抜けがあってひどい手順にしてしまったと思っていました。

――それはどういう読み抜けがあったのか。

福間 ▲6五金としたんですけど……駒割りをうっかりしていて。手を渡す感じで指すほうがよかったです。

――▲2二銀から▲2一飛と迫った局面は。

福間 少し足りないのかなと思っていました。

――勝ちを意識したのはどこか。

福間 △3一香と打たれて、▲4九銀が詰めろになったので、少し(後手が)困っているのかなと思いました

――次戦に向けての抱負をお願いします。

福間 体調に気をつけて臨みたいと思います。

Dsc_0521(敗れた加藤女流四段)

【加藤女流四段のインタビュー】

――女流王位戦第3局と同じ進行だったがどう見ていたか。

加藤 あまり本譜は想定していなかったです。

――△6五桂と跳ねて戦いになりました。

加藤 単に▲7七桂のぶつけはちょっと意外でした。△7二飛と寄った局面は少し自信があったんですけど、次の▲7四桂のときに△5四歩がおかしかったのかなと思っています。

――8筋にと金を作られて飛車を成り込まれたがどう見ていたか。

加藤 やや模様が悪いと思っていて、粘る方針でいました。

――▲4一竜と切られたところはどうだったか。

加藤 意外で、ちょっと楽しみが出てきたなと思いました。

――よさそうな局面が続いていましたが、どこで悪くなったと感じたか。

加藤 悔やんでいるのは△4九角成としたところで、△3一金と比較していました。ちょっと読みきれなかったんですが、多分△3一金と受けたほうがよかったです。

――次戦に向けての抱負をお願いします。

加藤 体調を整えながら次も頑張ります。

インタビュー後は大盤解説会の会場に向かいました。

20240710115図の局面まで、115手で福間清麗が勝ちました。終局時刻は18時9分。消費時間は、▲福間3時間57分、△加藤4時間0分。福間清麗は白星スタート。第2局は7月24日(水)に愛知県犬山市「ホテルインディゴ犬山有楽苑」で行われます。

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ここで加藤女流四段は△3五角としましたが、どうも予定通りではない印象です。というのも、△3六金で後手勝ちならわかりやすい情勢でした。しかしそれだと▲3二銀△同玉▲2四桂△同歩▲2三角△同玉▲3一銀不成以下の詰みがあります。内山女流初段も「△3五角は本意じゃない気がします」とのことです。△3五角に▲5三歩が軽手。△5三同角だと先述の詰みがありますし、△5三同金だと成桂の当たりがなくなります。形勢は福間清麗が抜け出しました。

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17時の局面です。形勢はどちらかに大きく振れておらず、難しい戦いが続いています。両者の残り時間の差もほとんどありません。「一分将棋になりそうですね」と飯野八段。終盤勝負になりそうです。ここで検討では△4四角が挙がりました。攻防に利かした角打ちで、△6二角から△3六桂が実現すれば後手が勝ち筋といえます。

Dsc_0433(福間清麗は3六のキズが気がかり。桂を渡さずに攻めたい)

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16時を前に局面が大きく動きました。上図で福間清麗は▲4一竜と切ったのです。控室では代えて▲5六歩と受け、そこで後手の手段が広く激戦といわれていました。△4一同玉に▲5五歩を飯野八段は予想しています。△5五同角なら▲6二桂成で確実な攻めを目指す算段です。竜を切らずに横から攻めるのは△5一歩が難敵だったでしょうか。

Dsc_0499(控室のモニターに映る盤面)

Dsc_0500_2(継ぎ盤の前に座っていた飯野八段も立ち上がり、モニターの前に。「いきましたね。勝負懸けましたね」)

Dsc_0310_2 (加藤女流四段は「出雲のイナズマ」と対峙した)

加藤女流四段は14時30分に、福間清麗は15時に午後のおやつを注文しています。福間清麗の品は「フレッシュフルーツプレート、リンゴジュース、アイスカフェオレ(カフェインレス)」。加藤女流四段の品は「グレープフルーツゼリー・ヨーグルト添え、アイスティー・レモン添え」。

Dsc_0496_2(福間清麗の注文した品)

Dsc_0478(加藤女流四段の注文した品)

Dsc_0480(真上から撮影)

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昼食休憩後の指し手は▲8一飛成。竜を作りながら飛車に当てて自然な一着でした。しかし△5二飛あるいは△7一歩が手ごわく、飯野八段も時間を使ったのではという見解です。上図から▲6一竜は△5七歩成▲5二竜△同金▲5七金△8九飛で後手が指せそうと検討されていました。以下▲7二飛は△5一歩▲6二桂成△8一飛成でしのげます。

次の手は▲5五歩でした。飯野八段は「辛抱気味の手ですね」とコメント。ただ、後手もはっきりよくできるかは難しいようです。双方に主張がありますが、飯野八段は後手持ちとのことでした。

Dsc_0389(検討中の飯野八段。本日午前に撮影)

Dsc_0321001(福間清麗は今期防衛すればクイーン清麗の資格を得る)

東京都には大成建設の手がけた建物が数多く存在します。いくつかご紹介します。

Dsc_0007_2(恵比寿ガーデンプレイス センタープラザ・リニューアル工事)

Dsc_0057(HULIC SQUARE TOKYO。ヒューリック株式会社は第1期から第2期まで清麗戦の主催を担っていた)

Dsc_0060(帝国ホテル。1887年に創立され、その建設には大成建設が関わっている。なお、1922年に焼失したため、現在のものとは異なる)

Dsc_0070_2(コモレ四谷)

Dsc_0017(国立競技場)

Dsc_0027_2(国立競技場に寄ったので、近くにある現在建設中の新将棋会館も撮影した。新関西将棋会館も大成建設が整備事業者となる)

Dsc_0013(2024年9月に施工予定)

こちらは3年前の記事ですが、併せてご覧ください。

【大成建設と港区】
https://kifulog.shogi.or.jp/seirei/2021/09/post-0e7a.html