2025年8月
感想戦
大盤解説会場で振り返り
終局直後
【福間清麗の談話】
――△3八飛(62手目)と打った辺りは。
「△4七馬とするか迷っていたんですけど、本譜でどうなのかなと思って指していました」
――一局を振り返って。
「一手一手が難しい将棋だったんですけど、自分なりにうまく対応できていたかなと思います」
――五番勝負を通しての感想は。
「定跡形ではなく、力戦形の将棋ばかりだったと思うんですけれど、そのなかで一手一手、考えて指せてたかなと思うので、充実したシリーズだったかなと思います」
【渡部女流四段の談話】
――39手目▲7八金と銀冠を完成させた辺りについては。
「▲9八香から穴熊に組む順、(本譜の)▲3五歩から仕掛ける順、銀冠に組まないで▲3五歩と行く順の3パターン考えていました。最初は穴熊に組もうかなと思っていて、組んで一局ということは分かっていたんですけど、先手で打開が難しくなるかなと思って本譜を選びました」
――終盤については。
「▲6四歩(63手目)の取り込みと、△3八飛(62手目)~△5八銀(66手目)の攻め筋との速度計算ができていなかったのかなと思います」
――一局を振り返って。
「部分的に▲3五歩からの仕掛けはやってみたかったのですが、昼休(48手目)辺りがいちばん迷って……。かなり時間を使いましたが、どれがいいか分からなくて。いろいろ変化が難しかったので、そこもちょっと勉強しなきゃいけないなと」
――五番勝負を振り返って。
「3局とも力戦勝負になり、自分に中終盤の力が足りないなっていうところと、シリーズ通して勉強になることはたくさんあったので、これをいい経験にして、また頑張りたいと思います」
福間清麗が4連覇達成
第3局は福間清麗が制しました。終局時刻は17時31分。消費時間は、▲渡部4時間0分、△福間3時間25分。この結果、シリーズ成績を3勝0敗とした福間清麗が4連続、通算6期目となる清麗のタイトルを獲得しました。
後手勝勢に

福間清麗が渡部女流四段の勝負手にうまく対応し、局面は後手勝勢になりました。先手玉は7八金がはがされると△7九馬から寄り筋に入ります。一方の後手玉には詰みがありません。










図は3八にいた飛車を2八に成った局面。ここで渡部女流四段は▲5六金!と歩頭に出る勝負手を放ちました。尋常な手では逆転に持ち込めないと判断したのでしょうか。対して△同歩には▲3三角成が狙いと思われます。立会人の屋敷伸之九段は「すごい手ですね。こんな手があったとは」と驚いています。


第1図は1五にいた角を4八に成った局面。ここから▲3三銀成△同飛▲同飛成△同銀▲6五歩(第2図)と激しい展開に進みました。
第2図の駒割りは▲桂△銀で後手の駒得。加えて2九桂も取り残されているので、形勢は福間清麗がペースにつかんだと見られています。とはいえ、▲6五歩が先手期待の一着で、眠っていた7七角に活が入りました。どちらかといえば神経を使うのは後手のほうで、屋敷九段は「後手は対応を誤ると、いっぺんに悪くなります」と解説しています。


