2022年7月 8日 (金)

加藤清麗の新機軸

初手から▲2六歩△3四歩▲4八銀△9四歩▲9六歩△4二飛▲2五歩△3三角▲7六歩と、やや変わった出だしでした。加藤清麗の角道をなかなか開けない工夫に対して、里見女流四冠は四間飛車に構えています。

20220708a2六飛・3七桂・6八金上は近年の流行形で、▲3五歩△同歩▲4五桂△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩の仕掛け(ポンポン桂、富沢キックの名前がある)、▲4六銀から▲3五歩の攻めを含みにし、持久戦にも移行しやすい柔軟性のある作戦です。

▲6八金上に里見女流四冠は△3二飛とし、▲3五歩△同歩▲4五桂に△5一角の受けを用意します。実戦は△3二飛▲4六歩(▲4五歩の狙い)△2二飛(▲4五歩△同歩▲3三角成△同桂▲2四歩に備え)に▲3五歩と仕掛けています。

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以下△同歩▲5五歩△同歩▲6六銀です。

20220708d何とも斬新な手順です。次に▲5五銀△5四歩▲3四歩△同銀▲4四銀、▲4五歩から▲5五銀の攻めを狙っています。
本譜は△5六歩▲4五歩△4二飛▲5六飛△6三金▲9五歩△同歩▲5五銀の進行です。

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端も突き捨てて、何とも積極的です。加藤清麗は早指しで、事前研究の深さを伺わせます。いったい、どこまで研究しているのでしょうか。