2020年6月12日 (金)

上田女流四段インタビュー

感想戦後、上田女流四段はインタビューに答えました。

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――本局を振り返ってください。普段は振り飛車が多いですが、本局は相居飛車を選択しました。
「今日は相居飛車でいこうと決めていました」

――中盤は飛車を切る決断の踏み込みだったと思いますが、どの程度の手応えがありましたか。
「300点ぐらいいいかなと思っていましたが、持ち駒があまりなかったので、有利を維持していくのが難しいと感じていました」

――終盤はリードを拡大していく展開でしたが、伊藤女流三段に入玉の粘りを与えて長期戦になりました。
「こちらは安心感のある玉形でしたし、△6三金(114手目)と上がることができました。竜も寄せに使えたので、先手玉が逃げ切れる感じではないと思っていました。でも秒読みでしたので、間違えると入玉をされてしまいます。そうなると、こちらも入玉を目指さなくてはいけなくなってしまいますから」

――あらためて一局を振り返っていかがでしたか。
「伊藤さんにはここ数年、痛い目にあわされ続けていたので、今日はどんな将棋を指すか悩みました。かなりタイプが違う女流棋士なので準備が大変でした。ここ数年は自分自身の調子が原因で負けていた部分が強くあって。産休や育休を挟んだ直後の対局では、局面がよかったとしても勝ちに結びつけることができないことが何局かあったので、本局は勝ちきることができてよかったです」

――タイトル戦は2017年度の第10期マイナビ女子オープン以来、約3年ぶりとなります。
「自分がタイトル戦に出る実感がないですね。産休・育休を2回繰り返すと自分が強くなっているのか、わからなくて。直後は弱くなりますからね。里見さんは年を追うごとに強くなっていると思いますが、対して自分がどういった曲線を描いているかわからないんですよ。ですので、またこういった舞台に立てることが不思議な気持ちです」

――里見香奈清麗とのタイトル戦は4回目になります。どんなことを心掛けて臨まれますか。
「五番勝負って3回勝つのが大変なんですよね。身にしみてわかっているので、まずは自分の調子を整えることです。子どもがいるうえで今の状況ですと、この先どうなるかわかりません。そういった意味でも神経を使わないといけないので、バランスを取りながら自分のペースを保って、いい調子で迎えられたらと思っています」

(書き起こし・琵琶)