記者会見
両対局者の記者会見が行われました。
(記者会見)
(1勝1敗のタイに戻した伊藤沙恵女流三段)
【伊藤沙恵女流三段 記者会見】
--本日の対局を振り返っての感想を教えてください。
「途中からあまり想定していない局面になりました。力戦の将棋でしたので1手1手お互いに難しい将棋なのかなと思っていました。第1局で時間を使いすぎてしまったと思っていたので、少し決断良く指すつもりでした」
--検討では中盤以降、伊藤女流三段がよくなったと言われていました。よくなったと思ったのはどのあたりでしょうか。
「△6六香(98手目)と打ったあたりは先手の手が難しいと思っていて、若干いいような気がしていました。先手玉が上部に逃げ出してくる心配がありましたので、勝ちになったと思ったのは詰みが見えたときです。里見さんにはいつも痛い目に遭っているので、最後まで気を抜かないようにと思っていました」
--『ここまで伊藤さんが攻める展開になるのは珍しい』と大盤解説会で菅井竜也七段がおっしゃっていました。意識したところはありますか。
「そんなに攻めなきゃいけないという感じではなかったですが、ゆっくりしていると相手の駒がだんだんいい形になってくる展開だったので、結果的に攻め合いになったと思います」
--1筋の端攻めを敢行されたところ(70手目△1六歩)は行けると思ったのでしょうか。それとも膠着状態を打開しようとしたのでしょうか。
「ほかに手が難しいと思っていました。端に2手かけているので生かす順を探したかったですし、△1六歩から攻める順以外に思わしい手が見えなかったので攻めていくことになりました」
--相振り飛車になったのは、後手番だったことも踏まえて想定していたのでしょうか。
「第1局も変則的な形で対抗形になったので、里見さんが何を指してくるのかわからないのはありました。相振り飛車もあるのかなと思っていました」
--公開対局の経験は少ないと思いますが、影響はありましたか。
「一昨年も公開対局を経験しているので、雰囲気に飲み込まれずに局面について考えることができたと思っています」
--里見さんと西山さん(朋佳女王・女流王将)がタイトル戦で勝っている現状で、まず1勝できたことについてはどう思われますか。
「まず第3局に持っていくことができてほっとしています。ストレートで敗れることが多かったので、最後の1局を迎えることができて、シリーズも盛り上げられたらと思っているので、よかったです」
--第3局に持ち込むために精一杯に指したいということで、有言実行で第3局が行われることになりました。明日に向かっての抱負を教えてください。
「もう明日なので、今日はゆっくり休んで明日全力を尽くしてがんばりたいと思っています」
(明るい表情で語る伊藤女流三段)
(敗れた里見香奈倉敷藤花)
【里見香奈倉敷藤花 記者会見】
--今日の対局を振り返っての感想をお願いします。
「じっくり指す方針でやっていましたが、なかなか具体的な手が見当たらなくて、攻めあぐねてしまいました。もう少し有効な攻め方があったのではないかと思います」
--悪くなったと思ったのはどのあたりでしょうか。
「▲7七桂(91手目)と強気な手を指したのですが、そのあと引いてしまう展開になったので踏み込む手と引く手と混ざり、方針がぶれてしまいました。▲7七桂(91手目)~▲6九飛(93手目)のあたりがよくなかったかもしれません。もうちょっと早い段階で違う順を探すべきだったと思います」
--相振り飛車になりましたが、予想された戦型でしたか。
「中飛車の相振り飛車は指していますが、あまり指したことのない形に自分から指してみました。大きな舞台でそういう選択は危うい面はありますが、思い切って指したことはよかったと思います。そのあとの指し方が一貫性がなかったと反省しています」
--先ほど一貫性がなかったと振り返られましたが、そうなった原因は何か思い当たるところはありますか。
「昼食休憩前も深く読んでいた手を見送って無難な手を選んでしまったところがありました。もう少し積極的な順を考えたほうがよかったですし、休憩後も難しい終盤戦ではありましたが、読みがまとまらないまま指し進めたところがあったので、持ち時間は少なくなっていましたが、しっかりまとめて時間を使って指すべきだったと思います」
--明日の対局への意気込みをお聞かせください。
「気持ちを切り替えると言葉で言ってもなかなか難しいところはありますが、あまり何かを変えるようなことはせずに、自然体で臨みたいと思います」
(里見倉敷藤花は、顔をしかめて言葉を探す場面が多かった)
本日の更新は以上です。明日の第3局も、お楽しみに。
(翔)