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2020年11月

2020年11月21日 (土)

記者会見

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■里見香奈倉敷藤花の記者会見

── 改めて今日の将棋を振り返って。
里見 似たような形は経験があったのですが、今日の将棋のような構想は珍しくて、中井さんの積極性を感じました。その中で自分の力が出しやすい展開に進めていけたかなと思います。

── ゴキゲン中飛車は予定の作戦ですか?
里見 そうですね。中飛車でいくことは決めていました。中井さんの作戦をふたつに絞っていて(今日の展開は)少し意外ではあったのですが、大まかなところでは想定通りかなと思っていました。

── 今日の将棋で勝ちを意識されたのは?
里見 勝ちを意識したのは最後ですね。△7六馬(88手目)と引いて少し勝っているのかなと思いました。

── 今回、倉敷藤花のタイトルを獲得して単独最多(通算11期目)になりました。その点については?
里見 昨日から注目していただけていることは実感していて、こうして結果を出すことができてうれしく思います。

── デビュー当初から清水女流七段を「憧れの人」とおっしゃられていましたが、今期、倉敷藤花を獲得したことで清水女流七段の記録を抜きました。その点については?
里見 初めてのタイトルが倉敷藤花で、当時はまだ学生でしたし、そういうタイトルを末永く防衛することができて、うれしくは思います。ただ、清水さんは偉大は先輩ですし、将棋を離れたところでの立ち居振る舞いも美しいので、人間的に清水さんのように成長できればと思います。

── 昨日、記録については「平常心で臨む」と伺いましたが、実際はどうでしたか?
里見 特に変わったことはなくて、昨日、倉敷に来て関係者の方々とお会いする中で、今年はコロナ禍で、本当に細かい部分にまで気を遣っていただいていることを実感しました。そのことに関しては大変感謝しており、対局には気を引き締めて臨もうという気持ちでいました。

── これまで倉敷藤花戦は公開対局で「応援を力に」とおっしゃっていましたが、今期はそれがなかったことで何が力になりましたか?
里見 個人的には、始まる前は倉敷での開催は厳しいのかなと思っていて、そうした中で開催していただけることを知ったときは本当に励みになりました。例年とは違う形でしたが、より励まされる思いが強かったです。

里見倉敷藤花

── 今期の三番勝負は、中井女流六段という目上の方との対戦でしたが?
里見 個人的に中井さんに関しては、NHK杯戦で青野(照市九段)先生に勝たれたシーンがすごく記憶に残っていて、当時、私は小さかったですが「こんなに強い女性がいるんだ」と衝撃的でした。前回の中井さんとの対局から期間が空いていたのですが、今期の三番勝負は防衛戦というよりは、向かっていく気持ちでいました。

── 今回、中井女流六段は「女流タイトル戦最年長記録」を樹立しての挑戦でしたが?
里見 自分では客観的に見ていて、やりにくさはなかったです。最近は私も長時間の対局で体力を維持する難しさを実感していて、中井さんはそれ以上に大変な中、今回、勝ち上がってこられて素直に尊敬と言いますか、経験値からくる強さ、それ以外のこともすべていいコンディションで戦われているのかなと思いました。常にご自分のペースを持っていて、相手関係なく堂々としていて、すごく盤上に集中されている、というのが今回の対戦で一番実感したことです。

── この先もタイトル戦は続きますが、意気込みをお願いします。
里見 まだまだ力的には弱いところがありますので、それを克服できるように、これからも頑張りたいと思います。

── 「弱いところ」とは具体的に?
里見 将棋を指したあと、ゆっくり反省して見えてくるところも結構たくさんありますので、まずは目の前の対局に集中して、反省して、という繰り返しの中で常にいい状態で挑めたらと思います。

── 大盤解説の菅井竜也八段は「最近の里見倉敷藤花は、優勢になっても攻め込む姿勢を崩さない」とおっしゃっていましたが?
里見 その時々によって変えてはいますが、自分の力が出しやすい展開に持っていくことを心掛けています。個人的には、あまり危険な道を選ばないようにはしていますが、自分の好奇心もあって踏み込んでしまうこともあります。結局は、どのような局面になっても勝ちきれる力をつけるしかないのかなと思っています。

── 最近は大山(康晴)十五世名人の棋譜を研究されているという話を伺いまして、周りからは「受けも強くなった」という評判もあるようですが?
里見 昔から大山先生の棋譜は並べていますが、私自身は結構逆転されることもあり、よくなってから勝ちに結びつける力が足りていないと実感することがあります。大山先生の棋譜を並べて「勝ちを逃さない強さ」を少しずつ確実にしていきたいと思います。

中井女流六段

■中井広恵女流六段の記者会見

── 今回、最年長挑戦者としてタイトル戦を迎えたことについて。
中井 やっぱり50代になりますと、タイトル戦への出場が難しい年代に入ってくるのかなと思っていたのですが、男性棋士でも同じ年代の方が活躍されていますので、それはひとつの励みと言いますか、刺激にはなっています。

── 今日の将棋は、▲4五桂(39手目)や▲3七角(43手目)が積極的でいい構想だと評判でしたが?
中井 割と早々に△5六歩(22手目)と突かれて、本譜のように指すか(23手目▲6六銀に代えて)▲5五歩と打ってより激しくいくか、というところでした。自分では積極的に桂を跳ねていったつもりでしたが、結果的に見ると、それほどうまくいっていなかった感じがします。

── 感想戦では▲1五角(53手目)の辺りでは模様が悪いとのお話でしたが?
中井 ▲1五角で悪いというか、元々構想的にうまくいっていなかったのか、その辺りはもう一度精査しないと何とも言えないですね。

── 今日の将棋は、早い段階で持ち時間を使いきった、ということもあったと思いますが?
中井 最近はタイトル戦に限らず、割と序中盤で時間を使うスタイルになってしまって、終盤に時間がなくなることが多いのですが、構想を考えている時間も楽しいので。やっぱり事前に研究していても、相手を前にして盤に向かうといろいろな手が気になったりしますので、そういうのをまた家に持ち帰って、研究を重ねて、次につながればと思います。

── 今回の挑戦は、同年代の棋士の方々にも励みになったと思いますが?
中井 段々と歳を重ねるに連れて具体的な目標が見えなくなってきて、漠然と「今年も頑張ろう」という感じになってはいるのですが、そういう意味では今回の挑戦はタイトルという、はっきりとした目標につながったので、勝ち上がることは大事だなと感じました。

── 今回の挑戦を終えて、今後のことについて。
中井 挑戦者になってから最年長の記録ということで、いろいろと取材を受けたりしましたが、私自身は記録はそれほど関係ないと思っています。記録はそのうち抜かれるものですし、人がどうであれ、自分自身がこの歳になって挑戦できたことが大きく、少し自信につながったかなと。その意気込みが今後もあればいいのですが、若い子たちも強くて活躍していますし、正直大変だとは思いますが、できるところまで頑張りたいと思います。

── 倉敷藤花戦については?
中井 自分にとって倉敷藤花戦は、結構いいところまで勝ち上がっていることが多くて、相性的にはいい棋戦なのかなと思っています。なので来期以降も活躍できればと思っています。

中井女流六段

以上で第28期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負の中継を終了します。ご観戦ありがとうございました。来期もどうぞよろしくお願いいたします。

(夏芽)

就位式

感想戦終了後には、里見倉敷藤花への就位式が行われました。

就位式
(清水市代常務理事から就位状の授与)

就位式
(伊東倉敷市長からは大山名人杯の授与)

記念撮影
(ふたりで手を添えての記念撮影)

里見倉敷藤花

■里見香奈倉敷藤花のあいさつ

 今期はコロナ禍の中でいろいろとご準備いただいて、関係者の皆様には多大なご負担があったことと思います。その分、いい対局を指すことを心掛けて倉敷に参りました。実力はまだまだと思うのでこれからも努力してがんばりたいと思います。

(書き起こし:翔記者/写真:夏芽)

大盤解説会場での感想戦

終局直後、両対局者は大盤解説会場に移動し、菅井八段らとともに感想戦を行いました。

感想戦

菅井八段

中井女流六段と里見倉敷藤花

感想戦

(夏芽)

終局直後

終局直後
(終局直後)

里見香奈倉敷藤花
(防衛を決めた里見香奈倉敷藤花。通算11期目で単独1位になった)

中井広恵女流六段
(中井広恵女流六段は久々のタイトル奪取ならず)

(夏芽)

里見香奈倉敷藤花が勝利、6連覇達成

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第28期大山名人杯倉敷藤花戦第2局▲中井広恵女流六段-△里見香奈倉敷藤花戦は92手で里見倉敷藤花が勝ちました。終局時刻は14時50分。消費時間は、▲中井2時間0分、△里見香1時間44分(持ち時間各2時間、チェスクロック使用、使いきると1手60秒未満の秒読み)。

これで三番勝負の成績は里見倉敷藤花の2勝0敗となり、防衛が決まりました。里見倉敷藤花は6連覇達成、通算11期目の倉敷藤花獲得となります。

(翔)

挟撃

△2七香成

局面は86手目△2七香成まで進みました。里見倉敷藤花は、先手玉の左右両側に成り駒を作り、挟撃態勢を築いています。中井女流六段は一分将棋に入りました。

里見倉敷藤花

(夏芽)

残り10分を切る

△8七馬

局面は78手目△8七馬まで進み、里見倉敷藤花がリードを広げているようです。図の馬引きは王手ですが、以下▲7八歩に△6八桂成▲同玉に△7六金が一例で、後手の厳しい攻めが続きます。残り10分を切った中井女流六段は、踏みとどまれるでしょうか。

名産品
(控室の一角には倉敷の名産品がずらり)

名産品
(玉島だるま、倉敷ガラス、倉敷てまり、倉敷はりこ)

デニム製品
(デニム製品。倉敷は日本で初めて国産ジーンズを製造した地でもある)

(夏芽)

美観地区

倉敷美観地区は江戸幕府の直轄地「天領」として栄え、明治時代には繊維産業で発展した場所です。倉敷川沿いには風情ある柳並木のほか、白壁の屋敷や木造の町家が建ち並んでおり、1979年には重要伝統的建造物群保存地区に制定されています。

倉敷川

中橋
(中橋)

ポスト
(郵便事業創業当時と同じ型のポスト。今でも利用されている)

くらしき川舟流し
(倉敷川を約20分かけてめぐる、くらしき川舟流し)

美観地区

(夏芽)

現地大盤解説会

芸文館ホールでは12時45分から、現地大盤解説会が始まりました。事前申込に応募した一般のファンが菅井八段らの解説に聞き入っています。

芸文館ホール
(大盤解説会場の芸文館ホール)

大盤解説会

菅井八段
(解説の菅井竜也八段)

清水女流七段
(ゲスト出演中の立会人・清水女流七段)

大盤解説会
(局面は里見倉敷藤花がリードしているようだ)

(夏芽)

対局再開

再開前
(ふたりとも12時50分の時点でそれぞれの席に戻っていた)

中井女流六段

里見倉敷藤花
(離席していた里見倉敷藤花が戻る)

里見倉敷藤花

清水女流七段
(清水女流七段は通算10期、初代クイーン倉敷藤花の称号を持つ)

里見倉敷藤花
(13時の再開を聞いたあと、里見倉敷藤花は△8五桂と動いた)

対局再開

△8五桂

(夏芽)