昨日の第2局の終了後、両対局者の記者会見が行われました。
山田久美女流四段の記者会見
--1局を振り返って。
「甲斐さんから端を先攻されました(52手目△9六歩)。どこかで攻め合わないと……と思って2筋に手を入れた(57手目)のが間に合うかどうかわかりませんでしたが、もしかしたら甲斐さんを少し焦らせたのかなと思います。終盤は詰みがあるかという局面で歩を叩けた(93手目▲5二歩)のが運がよかったです。勝ちを意識したというのは本当に最後の1手です」
--▲2三桂(81手目)のあたりから手ごたえがあったのでしょうか。
「▲2三桂も勝負手でした。△2二玉と上がられたらややこしいと思いました」
--第3局への思いをお聞かせください。
「三番勝負は2連敗だとあっという間に終わってしまいます。せっかく倉敷まで来られて……。女流棋士にとって『倉敷に行きたい』というのは、イコール倉敷藤花戦の挑戦者になりたい、タイトル戦に出たいという意味なのですが、今回チャンスをいただいたので1日も長く滞在したいなという思いでいました。もちろん滞在するだけでなく、明日も頑張らなきゃいけないのですが。1勝1敗に戻したので、今日はあと2時間くらいほっとしようかなと思っています。
このシリーズ始まる前はいい将棋を見ていただきたいという思いが強く、勝敗にこだわっていなかったんです。でも昨日の前夜祭ですごく大きな優勝カップ(大山名人杯)の返還を見て『あれ、ほしいなぁ』って思ったんですね。ですので、夢をつなぐことができたと思っています。明日も振り駒ですから気分を新たにして、1局目のつもりでまたいい将棋をお見せしたいと思っています」
--お母様から第1局の前に激励のメールが来たというお話がありましたが。(前夜祭あいさつで触れられている)
「昨日の夜も、前夜祭が終わってから部屋で携帯電話を見たら、『前回みたいにぽかーんとしないで、今度こそ命を懸けて戦え』と来ました。別に、ぽかーんとしていたわけじゃないんですけどね。今日もまた面白いメールが来るかもしれませんね」
--第1局を負けたことでプレッシャーはなかったでしょうか。
「第1局は難しい局面が続いていましたが、終盤に『勝ちになったのかな』と思ったところからおかしくなってしまいました。でも今回は負けることはないつもりで来ました。いい将棋を指していれば、いつかチャンスはめぐってくるというつもりで指していましたので、もしかしたら負けちゃうんじゃないかというプレッシャーはなかったです。いい将棋を指せればチャンスはお互いにめぐってくると思っています」
--山田女流四段にとって、「いい将棋」とは。
「1手指す方がよく見えるという対局がありますよね。1手指したら『これはいい手だね』と言われて、それに対して1手返したら『これもいい手だね』と言ってもらえるような将棋を指したいです」
甲斐智美倉敷藤花の記者会見
--1局を振り返って。
「序盤は手将棋模様で、どういう形になるか自分でもかわかっていなかったのですが、山田さんが角道を止めたら右四間飛車にしようとは思っていました。
ずっと難しいと思っていて、終盤は何か手がありそうかなと思っていたのですが、△8五桂(72手目)からの順がやりすぎでした。▲2三桂(81手目)に△4二玉と逃げるつもりだったのですが、そこで▲7三銀があることを見落としていました」
--1勝1敗のタイですが、第3局への意気込みをお聞かせください。
「明日なので気持ちを新たにするのも難しいと思いますが、3局目なので精一杯自分の力を出して指したいと思います」
(翔)
おはようございます。本日10時から、岡山県倉敷市「倉敷市芸文館」にて第22期倉敷藤花戦三番勝負第3局(甲斐智美倉敷藤花-山田久美女流四段)が行われます。持ち時間は各2時間(チェスクロック使用)。本局の勝者が第22期倉敷藤花となります。先後は振り駒で決まります。
立会人は清水市代女流六段、記録係は伊藤明日香女流初段です。
現地の大盤解説は有吉道夫九段(岡山県備前市出身)、聞き手は高群佐知子女流三段です。
ネット中継では現地より随時、有森浩三七段(岡山県岡山市出身)の解説を交えてお届けいたします。
○映像配信のお知らせ
本局の模様は映像配信が行われます。詳しくは倉敷芸術科学大学経営情報学科が運営している倉敷藤花戦の特設ホームページをご覧ください。
○ケーブルテレビの生中継のお知らせ
本局の模様は12:45より、oniビジョン(岡山市)、倉敷ケーブルテレビ(倉敷市・玉野市・総社市など)で生中継されます。
(翔)
第2局の昼食休憩の時間帯に、伊東香織・倉敷市長と谷川浩司・日本将棋連盟会長による記者発表がありました。来年の「第41回将棋の日」を倉敷市で開催するとの内容です。公開対局開会式でも伊東市長から来場したファンに報告がありました。
(「昨年は大山康晴十五世名人の生誕90年で、100年目に向けて将棋に力を入れていきたい」と語る伊東香織・倉敷市長)
(「最近の『将棋の日』では棋士との交流ツアーの人気も高く、さまざまなイベントを通じて倉敷の魅力を満喫してほしい」と谷川浩司・日本将棋連盟会長)
(『将棋の日』のイベントは11月17日前後の開催で倉敷藤花戦第2局・第3局と時期が重複するため、両方が盛り上がる形を今後考えていくという)
(翔)