2024年6月19日 (水)

藤井叡王は、現在進行中の叡王戦と棋聖戦を除くと、タイトル戦に22回出場し、そのすべてでタイトルを獲得してきました。フルセットになったのは、2021年の第6期叡王戦五番勝負以来2回目です。

第6期叡王戦は豊島将之叡王(当時)に挑戦したシリーズでした。藤井王位・棋聖(当時)は2勝1敗で第4局に敗れてフルセットに。第5局は藤井二冠が振り駒で先手番を得て、111手で勝利。初の叡王獲得を果たしています。

今回は1勝2敗で5月31日の第4局を迎えました。初のカド番を制してフルセットに。第5局は振り駒から注目が集まります。藤井叡王の先手勝率は8割9分4厘、後手勝率は7割7分8厘。伊藤七段の先手勝率は7割2分0厘、後手勝率は7割4分5厘です(未放送のテレビ棋戦を除く)。伊藤七段は今回が初めてのフルセットです。

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常磐ホテルは1929年(昭和4年)に創業した老舗ホテル。JR甲府駅から車で10分足らずの湯村温泉郷にあり、貴賓客の宿泊も数多く、甲府の迎賓館として親しまれてきました。約3,000坪の日本庭園を囲むように離れがいくつもあり、ホテル棟からは南アルプスや富士山を遠望することもできます。井伏鱒二や山口瞳が愛した宿としても知られます。二人とも作家であると同時に愛棋家でもありました。

常磐ホテルは、将棋や囲碁のタイトル戦を数多く開催してきました。番勝負の後半を受け持つことが多く、その前に決着した場合は開催されないこともよくあります。タイトル戦開催を支える、縁の下の力持ちのような存在です。
女流棋戦では2021年から今年4月まで、4年連続で第14~17期のマイナビ女子オープン第2局が開催されています。一方、棋士のタイトル戦は、21年8月の第6期叡王戦第2局、▲豊島将之叡王-△藤井聡太王位・棋聖戦以来となります。豊島藤井戦のあと、以下7回の開催が予定されていましたが、いずれも開催には至りませんでした。

21年12月 第34期竜王戦七番勝負第7局(第4局まで)
22年6月 第80期名人戦七番勝負第6局(第5局まで)
22年10月 第70期王座戦五番勝負第5局(第4局まで)
22年12月 第35期竜王戦七番勝負第7局(第6局まで)
23年6月 第81期名人戦七番勝負第6局(第5局まで)
23年10月 第71期王座戦五番勝負第5局(第4局まで)
23年12月 第36期竜王戦七番勝負第7局(第4局まで)

藤井叡王が常磐ホテルで指すのは第6期叡王戦以来、今回が2回目。2019年には「将棋の日in甲府」の開催に合わせ、第32期竜王戦第4局の検討陣の一人として常磐ホテルを訪れています。伊藤七段は今回、初めて訪れたとのことです。

【常磐ホテル公式】
https://tokiwa-hotel.co.jp/
【常磐ホテル営業部長、小沢行広さんのインタビュー|将棋連盟(2017年)】
https://www.shogi.or.jp/column/2017/01/296.html

Dsc_5397(常磐ホテルの外観)

Dsc_5382(ロビーから庭園が見える)

Dsc_5365(庭園に面した離れの「九重」が対局場)

Dsc_5413(館内には、開催してきた将棋や囲碁のタイトル戦にまつわる品が展示されている)

Dsc_5414(第6期叡王戦五番勝負第2局、常磐ホテル。藤井叡王は挑戦者として戦った)

大盤解説会は、現地、東京(駒テラス西参道)、大阪(関西将棋会館)で20日に開催されます。現地と大阪は予定枚数のチケット販売を終えました。東京は当日まで販売中です。 追記=東京も20日朝時点で満席、販売終了となりました。

【現地】
出演=松尾歩八段、貞升南女流二段
時間=14時から終局まで
料金=4,000円

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【東京】
出演=野月浩貴、竹部さゆり女流四段
時間=15時から終局まで(遅くなった場合途中終了あり)
料金=5,000円
※全員に「祝!将棋連盟百周年」の冊子、抽選で解説・聞き手の色紙をプレゼント。
https://passmarket.yahoo.co.jp/event/show/detail/02ewge718at31.html

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【大阪】
出演=谷川浩司十七世名人、森本才跳四段
時間=15時から終局まで(最大22時)
料金=4,000円

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第9期叡王戦五番勝負は2勝2敗で第5局を迎えました。藤井聡太叡王が勝てば4連覇を達成。伊藤匠七段が勝てば初のタイトル獲得です。
第5局は2024年6月20日(木)に山梨県甲府市「常磐ホテル」で指されます。持ち時間は各4時間(チェスクロック使用)。切れたら一分将棋。対局開始は9時。12時から13時まで昼食休憩。立会人は深浦康市九段、記録係は福田晴紀三段(中川大輔八段門下)です。第5局の先後は振り駒で決定します。

【第5局 棋譜中継ページ】
http://live.shogi.or.jp/eiou/kifu/9/eiou202406200101.html

【主催:株式会社不二家】
https://www.fujiya-peko.co.jp/eiou/
【特別協賛:ひふみ】
https://hifumi.rheos.jp/
【協賛:中部電力株式会社】
https://www.chuden.co.jp/
【協賛:株式会社豊田自動織機】
https://www.toyota-shokki.co.jp/index.html
【協賛:豊田通商株式会社】
https://www.toyota-tsusho.com/
【協賛:日本AMD株式会社】
https://www.amd.com/ja.html
【協賛:アパリゾート佳水郷】
https://www.apahotel.com/resort/kasuikyo/

Dsc_5374(関係者控室には、過去の叡王戦のポスターが貼られていた)

Dsc_5378(右は今期のポスター)

2024年5月31日 (金)

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20240531a7304919【藤井叡王の談話】
――一局を振り返って。
藤井「6筋から仕掛けた辺り(62手目△6五歩)は予定だったんですけど、こちらの玉も薄い形なので、常に距離感が難しい将棋かなと思っていました」

――勝負のポイントとなった局面は。
藤井「△6五歩(80手目)に▲7七銀と引いた局面で長考しましたが、本譜はあまりよい感触ではなかったです。あの辺りが急所かなという気はしたんですが、何がよかったかは、まだ分からないところです」

――勝ちになったと思われた局面は。
藤井「△7五馬(104手目)と引いた局面は見慣れない形で判断がつきませんでしたが、馬が手厚い形なので、何とかなる可能性もあるのかなとは思いました」

――カド番に追い込まれていたが、どのような心境で本局を迎えたか。
藤井「自分にとっては大きな一局なので、全力を尽くしたいと思っていました」

――カド番の一局をしのいだことについて。
藤井「ひとまず最終局に持ち込めたのはよかったですが、次も大事な一局になるので、そちらに向けても状態を整えていければと思います」

――最終局まで20日ほど間隔が空くことについては。
藤井「その間にほかの対局もありますし、最終局は振り駒になるので、幅広く考えていきたいと思います」

20240531a7304933【伊藤七段の談話」 
――一局を振り返って。
伊藤「こちらが(59手目▲2四歩と)2筋を交換したタイミングで△6五歩から動かれて、そのあと△9五歩(66手目)に対して▲同歩から本譜の▲8七角を打つ順はあまり本意ではなかったんですけど、指してみるとかなり角が負担になる展開だったのかなと思いました」

――誤算があった局面は。
伊藤「そのあとも難しいかなと思っていましたが、△7五馬(104手目)と引かれた図はかなり対処が難しかったので、その前の手順で工夫が必要だった気がします」

――初タイトルが懸かった一局。どのような心境で臨んだか。
伊藤「しっかり盤上に集中して臨めればと思っていました」

――最終局に向けて。
伊藤「本局は熱戦にできず残念な内容でした。次局も注目される舞台だと思うので、よい内容が指せるよう、全力を尽くしたいと思います」

Eiou202405310101132132手で、藤井叡王が伊藤七段をくだしました。終局時刻は18時2分。消費時間は▲伊藤4時間0分、△藤井3時間51分(チェスクロック使用)。シリーズ成績は、互いに2勝ずつのタイになりました。第5局は、6月20日(木)に山梨県甲府市「常磐ホテル」で指されます。

20240531_123控室では、図で△8三香が盤石といわれています。石田九段も「さすがにこれは……」とつぶやきました。藤井叡王が一気に優位を拡大したようです。