2025年4月 3日 (木)

20250403_95図は95手目▲7九歩の局面。△7八香成に▲同歩を用意して粘り強いですが、7筋が壁になった意味もあります。対する後手の玉は4二から3三への脱出路が開けているのが大きな違いです。そこに着目して、斎藤八段は図から△1七歩成▲7三香成△2七とと寄せに出ました。先手玉は7筋が詰まっているため、その逆側から攻めるのが有効です。△1八飛成と飛車を成り込めるのも大きく、後手の攻めのほうが速いとみられています。

20250403_84図は84手目△3五桂まで。少し前に伊藤叡王も秒読みに入っています。
ここまで角桂香といった駒が交換になっていましたが、飛車銀両取りがかかり、流れが急になったのが明らかになりました。斎藤八段のほうが先に守りを崩せそうです。これを形勢差に結びつけられるかどうか。
秒読みの中、伊藤叡王は▲1五香と打って勝負に出ます。▲2六飛とかわすのは、△4七桂成▲同金△3五角▲3六飛△2四飛という攻めがありました。激しい終盤戦に突入です。

20250403_71図は71手目▲5八金の局面。少し前から伊藤叡王は▲7五香、▲8二馬、▲5八金と渋い手を連発。自分からは倒れないという強い意志を感じさせます。図で斎藤八段が持ち時間を使いきって秒読みに。伊藤叡王も残り時間は5分強と切迫しています。難しい攻防が続く中でどちらが抜け出すか。時刻は19時を回りました。

Dsc_5677 (粘り強い伊藤叡王。前期五番勝負では粘り強い指し回しで苦境を乗り越えたこともあった)

20250403_66図は先手が▲1六歩と香を取って▲1五香△2四飛▲2五歩の飛車取りを狙いにしたのに対して、斎藤八段が△6四桂と打ったところです。
しばらく前から、控室では先手が▲1六歩と香を取って▲1五香を狙ってきたら、後手は△3五歩と横利きを通して飛車が逃げられるようにする手が示されていました。それを斎藤八段は香を打ってもいいよといっています。
図の△6四桂を指されてみると、▲1五香△2四飛▲2五歩は△同飛!▲同飛△7六桂▲7九玉△2四香(参考図)で、後手が飛車を取り返せることがわかりました。参考図は後手有利です。▲1五香を打てないと先手の対応が悩ましそうです。伊藤叡王は▲7五香と逃げて辛抱しました。

20250403_sanko1

第3期にタイトル戦に昇格した叡王戦は、名古屋市で対局が多く行われています。特に第5期からは毎年対局があります。
以下に紹介します(段位・肩書は対局当時。左が先手第3期から第5期は七番勝負。第6期から五番勝負)。

第3期七番勝負第1局 金井恒太六段●-○高見泰地六段     名古屋城
第5期七番勝負第3局 永瀬拓矢叡王 持将棋 豊島将之竜王・名人  亀岳林 万松寺
第5期七番勝負第4局 豊島将之竜王・名人●-○永瀬拓矢叡王  亀岳林 万松寺
第6期五番勝負第3局 藤井聡太王位・棋聖○-●豊島将之叡王  か茂免
第6期五番勝負第4局 豊島将之叡王○-●藤井聡太王位・棋聖  名古屋東急ホテル
第7期五番勝負第2局 出口若武六段 千日手 藤井聡太叡王(指し直し局は藤井勝ち)名古屋東急ホテル
第8期五番勝負第2局 菅井竜也八段○-●藤井聡太叡王     名古屋東急ホテル
第8期五番勝負第3局 藤井聡太叡王○-●菅井竜也八段     か茂免
第9期五番勝負第1局 藤井聡太叡王○-●伊藤匠七段      か茂免
第9期五番勝負第3局 藤井聡太叡王●-○伊藤匠七段      名古屋東急ホテル

伊藤叡王と斎藤八段は東西に分かれている、順位戦のクラスが違うなどのため、過去の対戦は2023年6月の第31期銀河戦本戦のみ。伊藤六段(当時)の先手で角換わりから勝っています。
なお、準公式戦のABEMAトーナメントでは2022年と2023年に対戦していますが、いずれにしても早指し棋戦です。持ち時間の長い将棋では本局が初めてです。

Dsc_5650 (1局のみの過去の対戦は伊藤叡王が制した)

20250403_46 伊藤叡王は図の46手目△1四香に長考して残り1時間を切りました。藤井聡太竜王・名人の解説を少し紹介します。「伊藤叡王の棋風から(1)▲1六歩になるのではと予想しています。△3三桂なら▲3六銀で△2五飛を受けておいて、局面が収まれば1四香を目標にする楽しみがあります。
(2)▲1五歩△同香▲1六歩△同香▲同香△1五歩に▲7七桂として、後手の飛車が五段目から離れたときに▲1五香と香を助ける手順も考えられますが、先手は歩切れになるのが気になります」と述べていました。ほかに大盤では、(3)▲1四同香や(4)▲7七桂も示されていました。

Dsc_5717(中電ホールの向かいにある栄公園にて)

16時から藤井聡太竜王・名人が大盤解説会にゲスト出演しました。

Dsc_5834

Dsc_5874 (ゲスト出演の藤井聡太竜王・名人)Dsc_5861 (伊藤叡王が46手目△1四香の局面で長考していることもあり、局面の解説だけでなく長谷川優貴女流三段が藤井竜王・名人に質問することも)