図は95手目▲7九歩の局面。△7八香成に▲同歩を用意して粘り強いですが、7筋が壁になった意味もあります。対する後手の玉は4二から3三への脱出路が開けているのが大きな違いです。そこに着目して、斎藤八段は図から△1七歩成▲7三香成△2七とと寄せに出ました。先手玉は7筋が詰まっているため、その逆側から攻めるのが有効です。△1八飛成と飛車を成り込めるのも大きく、後手の攻めのほうが速いとみられています。
流れが急になる
図は84手目△3五桂まで。少し前に伊藤叡王も秒読みに入っています。
ここまで角桂香といった駒が交換になっていましたが、飛車銀両取りがかかり、流れが急になったのが明らかになりました。斎藤八段のほうが先に守りを崩せそうです。これを形勢差に結びつけられるかどうか。
秒読みの中、伊藤叡王は▲1五香と打って勝負に出ます。▲2六飛とかわすのは、△4七桂成▲同金△3五角▲3六飛△2四飛という攻めがありました。激しい終盤戦に突入です。
斎藤八段が秒読みに入る
切り返しを用意
図は先手が▲1六歩と香を取って▲1五香△2四飛▲2五歩の飛車取りを狙いにしたのに対して、斎藤八段が△6四桂と打ったところです。
しばらく前から、控室では先手が▲1六歩と香を取って▲1五香を狙ってきたら、後手は△3五歩と横利きを通して飛車が逃げられるようにする手が示されていました。それを斎藤八段は香を打ってもいいよといっています。
図の△6四桂を指されてみると、▲1五香△2四飛▲2五歩は△同飛!▲同飛△7六桂▲7九玉△2四香(参考図)で、後手が飛車を取り返せることがわかりました。参考図は後手有利です。▲1五香を打てないと先手の対応が悩ましそうです。伊藤叡王は▲7五香と逃げて辛抱しました。

18時ごろの控室
双方の残り時間が45分を切る
名古屋での叡王戦対局
第3期にタイトル戦に昇格した叡王戦は、名古屋市で対局が多く行われています。特に第5期からは毎年対局があります。
以下に紹介します(段位・肩書は対局当時。左が先手第3期から第5期は七番勝負。第6期から五番勝負)。
第3期七番勝負第1局 金井恒太六段●-○高見泰地六段 名古屋城
第5期七番勝負第3局 永瀬拓矢叡王 持将棋 豊島将之竜王・名人 亀岳林 万松寺
第5期七番勝負第4局 豊島将之竜王・名人●-○永瀬拓矢叡王 亀岳林 万松寺
第6期五番勝負第3局 藤井聡太王位・棋聖○-●豊島将之叡王 か茂免
第6期五番勝負第4局 豊島将之叡王○-●藤井聡太王位・棋聖 名古屋東急ホテル
第7期五番勝負第2局 出口若武六段 千日手 藤井聡太叡王(指し直し局は藤井勝ち)名古屋東急ホテル
第8期五番勝負第2局 菅井竜也八段○-●藤井聡太叡王 名古屋東急ホテル
第8期五番勝負第3局 藤井聡太叡王○-●菅井竜也八段 か茂免
第9期五番勝負第1局 藤井聡太叡王○-●伊藤匠七段 か茂免
第9期五番勝負第3局 藤井聡太叡王●-○伊藤匠七段 名古屋東急ホテル
図は71手目▲5八金の局面。少し前から伊藤叡王は▲7五香、▲8二馬、▲5八金と渋い手を連発。自分からは倒れないという強い意志を感じさせます。図で斎藤八段が持ち時間を使いきって秒読みに。伊藤叡王も残り時間は5分強と切迫しています。難しい攻防が続く中でどちらが抜け出すか。時刻は19時を回りました。


図は52手目△1八歩の局面。この手は控室でも挙がっていましたが、斎藤八段は43分使っています。大決戦を前に双方の残り時間は45分を切りました。





