2023年3月16日 (木)

感想戦後に、菅井八段への記者会見が開かれました。

Dsc_6937 (記者会見に臨む菅井八段)

――叡王への挑戦権を獲得しました。その思いをお聞かせください。

菅井 信じられないというか、最近の自分の調子で挑戦できると思っていなかったです。

――序盤、▲4三角成△7四角(28手目)という進行から、後手が金を手持ちにする展開でした。手ごたえはいかがでしたか。

菅井 思っていた形よりも損をしてしまって、午前中から面白くない将棋にしてしまいました。形勢を悲観している部分が多かったと思います。

――先手が▲9九飛(63手目)と回ってきたところはいかがでしたか。

菅井 その辺はうまく指されたら形勢は苦しくなっていくだろうと思いました。

――飛車と銀桂の2枚換えになりました(86手目)。難解だったと思いますが、いかがでしたか。

菅井 終盤も苦しいものの、どうやって辛抱するかという展開が続いていたので辛抱する順を選んでいたつもりです。

――角取りを放置しての△9六桂(96手目)は手応えをつかんでのものでしょうか。

菅井 あそこは△9六桂と△6二銀かでかなり迷いました。おそらく△6二銀のほうがよかったと思いますが、積極的に勝負しようと思いました。それで△9六桂を選びました。

――よくなったと思われたのはどのあたりでしょうか。

菅井 ▲4三桂に△1四歩(106手目)が打てて、形勢が少し良くなったと思いました。ただ、いつも優勢になってからうまく勝負に持ち込まれるので気を引き締めてという感じました。

――時間もなく、仕留めるのは難しい最終盤だったと思います。

菅井 形勢判断する余裕もなく、最後のほうはうまくやられたら負けと思いながら指していました。

――挑戦者決定戦は永瀬王座との対戦でした。小学生のころから互いを知る間柄で、第4期には挑戦者決定戦で悔しい思いもされていたと思います。今日はどのような気持ちで臨まれていましたか。

菅井 自分の中ではいちばんの強敵というか、そういう棋士なので苦しい戦いになると思いました。以前に挑決で負けているので、今日負けると自分の棋士人生が相当きついものになると思っていました。気合はかなり入っていました。

――叡王戦五番勝負は藤井叡王とのタイトル戦になります。お二人はタイトル戦で初めての顔合わせです。タイトル戦に向けての思いをお聞かせください。

菅井 いまの最強の棋士に、自分は振り飛車でいくことになるんですけど、振り飛車がどれだけ通じるかを思っていますし、そういうシリーズにしたいと思います。

――タイトル戦で藤井叡王に振り飛車党が挑まれるのは初めてです。ファンが期待されていると思います。

菅井 ファンの方は振り飛車党が多いです。いまの時代は振り飛車が苦しいんですけど、十分に勝負できるところを見せたいと思います。

――菅井さんはA級順位戦で藤井叡王に勝たれました。五番勝負に臨むにあたって、あの1勝は大きいのでしょうか。

菅井 関係はないといいますか、その前にうんざりするくらい負けていますので、なんとか1局返せたという感じです。持ち時間も変わりますし。自分が頑張ってようやくいい内容にできると思いますので、いまからしっかり調整して頑張りたいと思います。

――30代初めてのシーズンでした。シーズン当初にお話しをうかがったときに今シーズンは挑戦者が目標とうかがいました。最後に挑戦権を得たことについていかがでしょうか。

菅井 めちゃくちゃうれしいですし、ずっとタイトル戦に縁がなかったので、ようやくチャンスをつかめたと思っています。

――地元の方にどういう将棋を見せたいですか。

菅井 一生懸命頑張っていいシリーズにしたいと思っています。

――菅井さんにとって、もう1度タイトル戦を取ることにどのような思いを持っていますか。

菅井 数年前ならタイトル戦に出場は自分の中ではそれほどこうなんというか、挑戦するのは難しいことではない、と思っていたのですが、いまの自分は挑戦することも難しくなっていました。その中なので、まだタイトルを取るということはまったく頭にありません。ようやく挑戦権を得られたのでいい将棋を指したいと思っています。

――最後に五番勝負への意気込みをお願いします。

菅井 久々のタイトル戦なので一生懸命頑張りたいと思います。振り飛車ファンの皆さんがいつも応援してくださっています。いちばんは結果で恩返しすることだと思っています。

Dsc_6940(前期は菅井八段と同門(井上慶太九段門下)の出口若武六段が藤井叡王に挑戦。弟弟子の敵討ちの意味もある)

Dsc_6949 (会見のあとにフォトセッション)

Dsc_6976 (フォトセッションの最後に笑顔が見られた)

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本日はご観戦ありがとうございました。藤井聡太叡王と菅井竜也八段による五番勝負もご注目ください。第1局は4月11日に東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」で行われます。

藤井聡太叡王に菅井竜也八段が挑戦する第8期叡王戦五番勝負の日程と対局場は以下の通りです。

第1局 4月11日(火)東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」
第2局 4月23日(日)名古屋市「名古屋東急ホテル」
第3局 5月6日(土)名古屋市「か茂免」
第4局 5月28日(日)岩手県宮古市「浄土ヶ浜パークホテル」
第5局 6月17日(土)千葉県柏市「柏の葉カンファレンスセンター」

Dsc_6892001 (終局直後の様子)

Dsc_6906 (しばらく口頭で感想戦をしていた)

Dsc_6897 (終局から数分、緊張はまだ解けない)

Dsc_6901 (菅井八段は第4期挑戦者決定三番勝負の雪辱も果たして、叡王戦五番勝負に初登場となる)

Dsc_6913 (敗れた永瀬王座は、第5期以来の番勝負登場は成らなかった)

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藤井聡太叡王への挑戦を目指す第8期叡王戦挑戦者決定戦の▲永瀬拓矢王座-△菅井竜也八段戦は、17時1分に132手で菅井八段の勝ちとなりました。消費時間はともに3時間0分(チェスクロック使用)。菅井八段が藤井叡王への挑戦権を得ました。藤井叡王にとって、振り飛車党とのタイトル戦は初めてです。
第1局は4月11日に東京都千代田区「江戸総鎮守 神田明神」で行われます。

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図は106手目△1四歩の局面。忙しい終盤戦で、菅井八段は玉と反対の端にいる角を取りにいきました。これが戦力を補充する冷静な手段。実戦は△1四歩▲5一桂成△1五歩▲3九飛△5五歩▲同金△2八角と進み、持ち駒にした角で飛車金両取りをかけて後手優勢を確立しました。

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上図は昼食休憩の局面。



Eiou202303160101_63そして、下図は63手目▲9九飛の局面。種も仕掛けもない昼食休憩の局面から20手ほどで永瀬王座は地下鉄飛車を実現させました。遠大な構想です。ただし、△1六歩▲同歩△同香▲同香△4五歩の攻めを見せられて、先手は忙しい意味もあります。菅井八段は△6二角と打ちました。9筋をしっかり受けて、△1六歩の攻めを楽しみにしています。

Dsc_6883 (地下鉄飛車で局面打開を図る永瀬王座)

12時40分になり、対局が再開されました。再開後、永瀬王座は▲4八金と指しました。

Dsc_6871 (首を傾げて考える永瀬王座)

Dsc_6870 (対局再開前でも菅井八段はこの表情)

Dsc_6886 (対局再開後の一手は▲4八金だった)

Dsc_6888 (43手目▲4八金が指された盤面)

Eiou202303160101_42 図の42手目△3二金の局面で永瀬王座が13分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲永瀬50分、△菅井1時間9分。対局は12時40分再開。対局者の昼食は「すき焼あったか重」と「【折詰】あかね」の2種類が選べて、ともに「すき焼あったか重」を選びました。

Dsc_6842 (対局者に2種類のお弁当が用意されている)

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上図は4手目△9四歩まで。時折見られる趣向ですが、菅井八段は初めての採用でした。▲2五歩なら一例として△9五歩▲4八銀△8八角成▲同銀△2二銀から△3三銀~△2二飛のダイレクト向かい飛車が考えられました。
実戦は永瀬王座が▲9六歩と受けたため、△5四歩▲2五歩△5二飛と菅井八段はゴキゲン中飛車に。



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下図は20手目△5六歩の局面。菅井八段のゴキゲン中飛車に永瀬王座は超速と呼ばれる▲3七銀戦法を採用しました。2009年末に出てから十数年にわたってゴキゲン中飛車対策の主流戦法です。
菅井八段は先手から攻められる前に△5六歩と軽く動きました。

Dsc_6805 (対局前の永瀬王座)

Dsc_6812 (対局前の菅井八段)