第45期決勝三番勝負第1局 Feed

2014年10月 8日 (水)

柔らかい発想

20141008aabesasaki34佐々木五段が△2四飛とぶつけた局面。実戦は▲2四同飛と応じましたが、先に▲3三角成とする手もありました。

20141008asankouzu1148△2六飛は▲3二馬で先手金得なので、後手は飛車を取れません。なので、△同銀▲2四飛△同銀(参考図左)と進むことになります。そこで▲8四飛があるように見えますが、△3三銀▲8二飛成△5五角(参考図右)が香の両取り。▲8三角には△7一飛!で耐えています。

20141008a1157sankouzu
話を実戦に戻しましょう。実戦は▲2四同飛△同角▲8四飛。

20141008aabesasaki37これも角取りで飛車成を狙っていますね。困ったかのように見えますが、佐々木五段が面白い手順を見せました。▲8四飛以下、△5一角▲8二飛成△7四歩。

20141008aabesasaki40▲9一竜に△7三角の両取りを用意しました。△7三角を作る△5一角~△7四歩は柔らかい発想ですね。竜を作らせて技をかけようとするのは、現代らしい攻防です。阿部四段は▲8五竜と引いたので△7三角の順には進みませんでしたが、後手からすれば竜を撤退させたと見ることができます。手持ちの飛車が大きな主張です。

20141008aabesasaki41
(紋蛇)

二人の初手合い

対局者の二人は、過去の対戦は1局のみ。第43期新人王戦で対局しました。その将棋を紹介します。相矢倉から佐々木五段が積極的に攻めて勝ちました。

開始日時:2012/01/06 10:00
終了日時:2012/01/06 15:56
棋戦:第43期新人王戦
持ち時間:各3時間
消費時間:80▲138△126
場所:東京・将棋会館
先手:阿部 光瑠四段
後手:佐々木勇気四段

▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲6六歩    △6二銀
▲5六歩    △5四歩    ▲4八銀    △4二銀    ▲5八金右  △3二金
▲7八金    △5二金    ▲6九玉    △7四歩    ▲6七金右  △3三銀
▲7七銀    △4四歩    ▲7九角    △3一角    ▲3六歩    △4三金右
▲3七銀    △7三銀    ▲4六銀    △4一玉    ▲5八飛    △6四銀
▲5七角    △7三桂    ▲7九玉    △9四歩    ▲9六歩    △4二角
▲8六銀    △3一玉    ▲3七桂    △2二玉    ▲2六歩    △2四銀
▲1六歩    △8一飛    ▲2五桂    △7五歩    ▲同 銀    △同 銀
▲同 歩    △同 角    ▲7二銀    △8二飛    ▲6三銀不成△8五桂
▲3五歩    △3六銀    ▲4八飛    △9五歩    ▲3四歩    △9六歩
▲9八歩    △9七歩成  ▲同 歩    △7七歩    ▲同 桂    △9八歩
▲8五桂    △同 歩    ▲3三桂打  △9七角成  ▲6九玉    △7五桂
▲7七金寄  △8六歩    ▲同 歩    △7六歩    ▲同 金    △8七桂成
▲7二歩    △9六馬
まで80手で後手の勝ち

佐々木が飛車をぶつける

Dsc_8154 (11時過ぎ、佐々木五段は△2四飛とぶつけた。盤上に緊張が走る)

Dsc_8152 (立会人の田村康介七段。「交換するなら▲2四同飛か▲3三角成△同銀▲2四飛△同銀。拒否するなら▲2五歩です。阿部四段は30分ぐらい考えるんじゃないんですか。昔の自分でも10分は考えますね(笑)」)

(紋蛇)

戦型は横歩取り

20141008asasakiabe32戦型は佐々木五段の横歩取りになりました。端の位を両方伸ばしたのは手待ちの意味です。間合いをはかり、戦機をうかがっています。

(紋蛇)

ツイッター解説は星野良生四段

本局のツイッター解説は星野良生四段です。

2014hoshino


解説内容は、日本将棋連盟モバイルツイッターや棋譜コメントでご覧になれます。

201410081036 (星野四段は戦型予想に横歩取りを挙げていた)


(紋蛇)

対局開始

10時になり、対局が開始されました。

Dsc_8133

Dsc_8137 (振り駒の結果、先手番になった阿部四段。初手は▲7六歩)

Dsc_8141 (後手番の佐々木五段は△3四歩と応じる)

Dsc_8145 (△3四歩から▲2六歩△8四歩の進行。横歩取り模様の出だしだ)

Dsc_8147
(紋蛇)

対局開始前

Dsc_8108 (定刻10分ほど前の対局室)

Dsc_8111 (上座の佐々木五段が駒を広げる)

Dsc_8115(昨年加古川青流戦で優勝した佐々木五段。番勝負は今回が2回目で、新人王戦は初めて)

Dsc_8118 (下座の阿部四段。番勝負は今回が初めて)

Dsc_8120 (川崎三段が振り駒を行う。佐々木五段の振り歩先で、と金が4枚。阿部四段の先手が決まった)

Dsc_8126

Dsc_8127
(紋蛇)

第45期新人王戦決勝三番勝負第1局

第45期新人王戦決勝三番勝負は、佐々木勇気五段と阿部光瑠四段で行われます。

20141008shinnjinnou(左が佐々木五段、右が阿部四段)

両者は1994年生まれ。四段昇段は佐々木五段が2010年、阿部四段が2011年とほぼ同期です。関東のライバル対決を制するのはどちらでしょうか。

対局は東京・将棋会館(特別対局室)にて10時開始。持ち時間は各3時間。第1局の先後は振り駒で決定します。立会人は田村康介七段、記録係は川崎直人三段(勝浦修九段門下、23歳)です。

本局の棋譜中継は銀杏、中継ブログは紋蛇が担当いたします。よろしくお願いいたします。

(紋蛇)