◆伊東香織・倉敷市長のあいさつ◆
「里見倉敷藤花、伊藤女流二段、ようこそ倉敷へお越しいただきまして、心より歓迎いたします。全国に誇る大山康晴十五世名人が地元、倉敷市の出身で名誉市民であり、倉敷で将棋の振興を本当に力を入れてくださっていたことを顕彰して、平成5年(1993年)、この大山名人杯倉敷藤花戦を、倉敷市の花でありますフジの花の名前を冠して始めました。倉敷市、日本将棋連盟様、山陽新聞様、倉敷市文化振興財団一緒になりまして、記念すべき第25期、四半世紀の時を迎えたところです。おかげさまで、地元では子どもたちが『菅井教室』で学んでくれるなど、将棋のまちとして頑張っているところです。倉敷の一年間の大きな行事であります倉敷藤花戦、このたびは里見香奈さんと伊藤沙恵さんの素晴らしい対局となっています。里見さんは倉敷藤花のタイトルを7期獲得されており、押しも押されもせぬ第一人者でいらっしゃいます。伊藤沙恵さんは今年、多くのタイトル戦に挑戦をされて頑張っていらっしゃいます。11月7日に東京・将棋会館におきまして第1局がございました。私も大変緊張をしながら振り駒をさせていただき、白熱するなかで里見さんが先勝されています。明日、倉敷市民はもとより、多くの皆様が注目をされます第2局、お二人の素晴らしい対局を市民ともどもご祈念申し上げまして、私からの皆様へのご挨拶とさせていただきます」
◆松田正己・山陽新聞社代表取締役社長のあいさつ◆
「倉敷藤花戦は四半世紀の節目の年ですが、今年の将棋界は藤井聡太四段が史上最年少の14歳でデビューして以来、29連勝という前代未聞の大変な成績を残され、全国の将棋ファンだけでなく、多くの国民の注目を集めた年です。私どもの地元、岡山にとりましては、菅井竜也七段が王位を羽生善治三冠(当時)から奪取されました。菅井王位は岡山市のご出身ですが、当地倉敷で少年時代から鍛錬されて実力をつけられ、今回の王位獲得となり、県民市民こぞって喜んでいます。そうしたなかで大山名人杯倉敷藤花戦が開催されます。里見香奈倉敷藤花は女流王座、女流名人、女流王位、女流王将、倉敷藤花の五冠。あと一冠取ればすべて取る、女流将棋界の第一人者でいらっしゃいます。対抗して挑戦者に勝ち抜いてこられたのは伊藤沙恵女流二段。今年、里見倉敷藤花のお持ちのタイトルのうち、女流王位、女流王将、倉敷藤花、そして来年年頭に女流名人のタイトル戦が始まると聞いており、いちばん勢いのある方でいらっしゃいます。今月7日の第1局は大変な熱戦の末、里見倉敷藤花が先勝をされています。明日第2局、伊藤女流二段には雪辱を期して第3局に向けて頑張っていただきたい、里見倉敷藤花も連勝を、お二人に勝っていただきたいと思いながらこの場に立っております。どうぞ、お二人とも全力を出しきっていただければと思います」
◆佐藤康光・日本将棋連盟会長のあいさつ◆
「里見香奈倉敷藤花と伊藤沙恵女流二段の対決という、将棋界でいま最もホットでタイトル戦にふさわしいカードになったと思っています。里見さんは5つのタイトルを保持されています。現在、リコー杯女流王座戦とダブルタイトル戦の最中でもあり、トップ棋士の宿命ですが、女流棋界の第一人者の地位を確立されています。一方、伊藤沙恵女流二段は今年に入りましてからタイトル戦に立て続けに登場され、来年も岡田美術館杯女流名人戦の挑戦も決めて、いちばんいま勝っている女流棋士といえると思います。 里見さんは鋭い攻め将棋、伊藤さんは粘り強いしのぎが持ち味と思いますが、東京での第1局は両者の特長が十二分に出た長手数の大熱戦で、ファンの皆さんも大変見ごたえある対局を楽しまれたのではないかと思います。明日、こちら倉敷で午後からは公開対局です。皆さんはなかなかタイトル戦を間近で見る機会はないと思いますので、楽しみにされている方も多いかと思います。両対局者には今日ゆっくり休んでいただいて、また明日以降も素晴らしい名局を指していただければと感じております。 こちらの地元は大山名人(大山康晴十五世名人)という偉大な大先輩の棋士がいらっしゃいまして、私も修行時代に記録係を務め、プロになってから2局ほど対局させていただきました。大山先生のひとつの記録に、69歳で亡くなるまでA級でずっといらっしゃったことがございます。こちらに来て、少しでも近づけるように私も頑張りたいと気持ちを改めさせていただきました。 今年の夏に将棋サミット(全国将棋サミット2017)を倉敷市で開催していただきまして、まことにありがとうございました。そのときに入らせていただいた『大山名人記念館』には大山先生の写真も数々展示されているのですが、自分が写っている写真がありました。時間に余裕のある方は探していただければいいかと思うのですが、私もそこに写って大変光栄に思っております。将棋界としても大山先生が作られた、非常に大変な功績がございます。そういうものを引き継いでいけるように頑張りたいと思っております」
(書き起こし:飛龍記者/写真:夏芽)