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2019年11月

2019年11月23日 (土)

記者会見

両対局者の記者会見が行われました。

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(記者会見)

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(1勝1敗のタイに戻した伊藤沙恵女流三段)

【伊藤沙恵女流三段 記者会見】

--本日の対局を振り返っての感想を教えてください。
「途中からあまり想定していない局面になりました。力戦の将棋でしたので1手1手お互いに難しい将棋なのかなと思っていました。第1局で時間を使いすぎてしまったと思っていたので、少し決断良く指すつもりでした」

--検討では中盤以降、伊藤女流三段がよくなったと言われていました。よくなったと思ったのはどのあたりでしょうか。
「△6六香(98手目)と打ったあたりは先手の手が難しいと思っていて、若干いいような気がしていました。先手玉が上部に逃げ出してくる心配がありましたので、勝ちになったと思ったのは詰みが見えたときです。里見さんにはいつも痛い目に遭っているので、最後まで気を抜かないようにと思っていました」

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--『ここまで伊藤さんが攻める展開になるのは珍しい』と大盤解説会で菅井竜也七段がおっしゃっていました。意識したところはありますか。
「そんなに攻めなきゃいけないという感じではなかったですが、ゆっくりしていると相手の駒がだんだんいい形になってくる展開だったので、結果的に攻め合いになったと思います」

--1筋の端攻めを敢行されたところ(70手目△1六歩)は行けると思ったのでしょうか。それとも膠着状態を打開しようとしたのでしょうか。
「ほかに手が難しいと思っていました。端に2手かけているので生かす順を探したかったですし、△1六歩から攻める順以外に思わしい手が見えなかったので攻めていくことになりました」

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--相振り飛車になったのは、後手番だったことも踏まえて想定していたのでしょうか。
「第1局も変則的な形で対抗形になったので、里見さんが何を指してくるのかわからないのはありました。相振り飛車もあるのかなと思っていました」

--公開対局の経験は少ないと思いますが、影響はありましたか。
「一昨年も公開対局を経験しているので、雰囲気に飲み込まれずに局面について考えることができたと思っています」

--里見さんと西山さん(朋佳女王・女流王将)がタイトル戦で勝っている現状で、まず1勝できたことについてはどう思われますか。
「まず第3局に持っていくことができてほっとしています。ストレートで敗れることが多かったので、最後の1局を迎えることができて、シリーズも盛り上げられたらと思っているので、よかったです」

--第3局に持ち込むために精一杯に指したいということで、有言実行で第3局が行われることになりました。明日に向かっての抱負を教えてください。
「もう明日なので、今日はゆっくり休んで明日全力を尽くしてがんばりたいと思っています」

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(明るい表情で語る伊藤女流三段)

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(敗れた里見香奈倉敷藤花)

【里見香奈倉敷藤花 記者会見】

--今日の対局を振り返っての感想をお願いします。
「じっくり指す方針でやっていましたが、なかなか具体的な手が見当たらなくて、攻めあぐねてしまいました。もう少し有効な攻め方があったのではないかと思います」

--悪くなったと思ったのはどのあたりでしょうか。
「▲7七桂(91手目)と強気な手を指したのですが、そのあと引いてしまう展開になったので踏み込む手と引く手と混ざり、方針がぶれてしまいました。▲7七桂(91手目)~▲6九飛(93手目)のあたりがよくなかったかもしれません。もうちょっと早い段階で違う順を探すべきだったと思います」

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--相振り飛車になりましたが、予想された戦型でしたか。
「中飛車の相振り飛車は指していますが、あまり指したことのない形に自分から指してみました。大きな舞台でそういう選択は危うい面はありますが、思い切って指したことはよかったと思います。そのあとの指し方が一貫性がなかったと反省しています」

--先ほど一貫性がなかったと振り返られましたが、そうなった原因は何か思い当たるところはありますか。
「昼食休憩前も深く読んでいた手を見送って無難な手を選んでしまったところがありました。もう少し積極的な順を考えたほうがよかったですし、休憩後も難しい終盤戦ではありましたが、読みがまとまらないまま指し進めたところがあったので、持ち時間は少なくなっていましたが、しっかりまとめて時間を使って指すべきだったと思います」

--明日の対局への意気込みをお聞かせください。
「気持ちを切り替えると言葉で言ってもなかなか難しいところはありますが、あまり何かを変えるようなことはせずに、自然体で臨みたいと思います」

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(里見倉敷藤花は、顔をしかめて言葉を探す場面が多かった)

本日の更新は以上です。明日の第3局も、お楽しみに。

(翔)

終局直後

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(終局直後、舞台袖より)

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(大盤の前に移動して、短めの感想戦を行う。菅井竜也七段が進行役)

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(大盤の局面が戻される間、考え込む伊藤沙恵女流三段)

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(里見香奈倉敷藤花も大盤を見つめる)

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(来場者へあいさつする里見倉敷藤花)

「今日は不甲斐ない内容になってしまったのですが、明日は気持ちを切り替えて頑張りたいと思います」

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(伊藤女流三段)

「今日勝たないと明日がないので、とりあえずホッとしているのですが、すぐ明日対局があるので、また明日も精一杯頑張りたいと思っております」

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(対局者が退場したあと、武富礼衣女流初段と菅井七段が登壇し、お楽しみ抽選会が始まった)

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(棋士色紙など、さまざまなグッズが用意されている)

(翔)

伊藤女流三段が勝ち、1勝1敗のタイに

第27期大山名人杯倉敷藤花戦三番勝負第2局▲里見香奈倉敷藤花-△伊藤沙恵女流三段は、152手で伊藤女流三段が勝ちました。終局時刻は15時21分。消費時間は▲里見2時間0分(一分将棋)、△伊藤1時間56分(持ち時間各2時間、チェスクロック使用、使いきると1手60秒未満の秒読み)。

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これで三番勝負の成績は1勝1敗。第3局は明日11月24日(日)、本日と同じく岡山県倉敷市「芸文館」にて行われます。

(翔)

やはり後手優勢

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控室では、「やはり後手が勝ちそう」と言われています。
図で▲3六玉なら、△3三桂と縛る手があります。

(翔)

混戦へ

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図は▲6一角と打った局面です。▲8三銀を狙っています。
後手玉も危ない形になり、「正確に指せば後手が勝つが、混戦になった」と言われています。
本譜は△7四銀と立って受けました。

(翔)

後手優勢

下図は△6六香の局面。先手の飛角が押さえ込まれる形になり、控室では後手が優勢に立ったと言われています。大盤解説会場でも「明日も解説会が開かれそうです」と言われているとのことです。

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(倉敷市が制作した「将棋のまち倉敷」のマスキングテープ。非売品。倉敷はマスキングテープ発祥の地だ)

(翔)

焦点の歩

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伊藤女流三段が△6六歩と垂らしました。飛と角のいずれで取っても、他方の利きを遮ることになる「焦点の歩」です。本譜は▲6六同飛△5二銀▲7七桂に△7五金と、後手は金を助けることができました。

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(控室には鹿野圭生女流二段が来訪。有森七段とは有吉道夫九段門下の兄妹弟子の関係)

鹿野「こんにちはー。こんにちは! こんにちは~。(有森七段を見つけて)あ、まいど! はい、お土産」
有森「なんでひとりだけ違うあいさつやねん」

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(京都のお菓子を差し入れた鹿野女流二段)

(翔)

大盤解説会

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(13時半から大盤解説会が始まった。公開対局のホールは約900人収容だが、アイシアターは定員200人。開始時点で立ち見が出ている)

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(解説の菅井竜也七段)

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(聞き手の武富礼衣女流初段)

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(初手から解説している)

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(本局のポスターを自由に持ち帰ることができる)

(翔)

後手が端攻め

再開後、伊藤女流三段は端を攻めました。

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上図より、▲7五歩△8五金▲5四歩△同銀▲7四歩△同銀に▲4五歩と角交換を迫る順が検討されていますが、すぐに交換せずに△4六歩が手筋。以下、▲同角△同角▲同金(下、参考図)と進むと常に△7三角の筋が生じます。

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(控室に脇謙二八段が来訪。近隣での仕事が終わり、立ち寄ったという)

(翔)

対局再開(3)

駒を並べたあと、午前中の指し手(64手目△8四同歩まで)が、記録係の読み上げに従って再現されました。

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(里見香奈倉敷藤花)

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(伊藤沙恵女流三段)

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(対局再開は13時7分だった)

(翔)

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