(15時35分頃の対局室。里見倉敷藤花が△6五歩(102手目)を着手する)
(文)
図は15時25分頃の局面。△7六角に岩根女流二段が▲6七銀と竜・角両取りに打ったところ。複雑な終盤戦を迎えている。里見倉敷藤花も残り時間が切迫し、秒読みに入っている可能性が高い。盤上の駒が慌しく動き、控え室の検討も熱を帯びてきた。
図は15時10分頃の局面。里見倉敷藤花はついに8筋から飛車を成り込むことに成功した。自陣は鉄壁、駒の捌きは理想的。はっきり後手有利になったようだ。図から、岩根女流二段は▲3八金とじっと耐えた。
(15時10分すぎの対局室。岩根女流二段が▲3八金を着手する)
図は15時頃の局面。「先手もかなり嫌な形になってきました。いつの間にか後手陣が四枚で固まっています。里見さんの中盤力が発揮されましたね」と、解説チャットの藤倉四段。 この局面で、里見倉敷藤花は△3七歩を鋭く利かした。「△3七歩。どの駒で取っても味が悪く、△1三桂が活躍しやすくなります。これぞ、筋中のスジです」(藤倉四段)
互いに持ち時間を消費し、岩根女流二段はすでに秒読みに入っている。形勢は後手ペースのようだ。
図は14時50分頃の局面。ここから▲6八角△同角成▲同飛△7三銀引(下図)と進んだ。 この銀引きで後手の陣形がぐっと引き締まった。当初は先手よしと思われていたが、この手の感触がよく、解説チャット担当の藤倉四段も「角が捌けたことで△7三銀引が実現しました。隙が増えてきたので、先手も嫌な所ですね。この数手はかなり後手が得をしました」と語っている。
(14時50分頃、控え室に渡辺竜王の姿が。現在対局中)
(モニタによる盤面の様子。14時40分頃の映像)
(野田澤彩乃女流1級。モニタを見つめる)
図は、岩根女流二段が▲6五歩と動いた局面。△同銀には▲7七桂△7六銀▲同銀△同歩▲6五桂と桂馬を捌(さば)く狙いだ。里見倉敷藤花はこの順を危険と察知したか、上図から△7三銀引▲6六銀△8四銀(下図)と進めた。銀を活用できたのは大きく、岩根女流二段が着実にポイントを重ねている。
(控え室には石橋幸緒女流四段(LPSA所属)も来訪。中川八段と検討)
(石橋女流四段)
図は14時頃の局面。里見倉敷藤花が△5六歩▲同歩と5筋の歩を突き捨て、△4四歩と突いたところ。積極的に動く手段を作りに行っている。だが、果たして手になるのかどうか、まだ先は見えてこない。岩根女流二段は▲7六歩から攻めるか、それとも歩をたくさんもらったことに満足してじっと待機するか。2つの方針が考えられる。
(カメラによる対局室の映像)
13時40分頃、中川大輔八段が控え室に。棋譜を見てこれまでの展開を並べる。「▲9八香と上がりましたか。これはいつでも▲6五歩読まなくちゃいけないから、里見さんも警戒するね」。▲9八香は後手の角筋から先に逃げて、▲6五歩を突きやすくしている意味がある。
(中川八段)