終局直後の様子。ニコニコ生放送の感想戦中継の準備のため、通常の棋戦では見られない長い間があった。
【山崎八段インタビュー】
――第1局に臨むにあたっての、心境はいかがでしたか。
「厳しい戦いになるのは当たり前なので、勝ち負けのことを考える余裕を持たないように、気をつけようと思っていました」
――博物館が会場になりましたが、実際に座られてみて、どんな感じがしましたか。
「重厚感があって、開放的でもありますし、凄く指しやすかったです」
――先手番になりまして、得意の相掛かりでしたが、序盤~中盤の戦いはいかがでしたか。
「最初ちょっと自信がない感じで変化はしたんですけど、途中は少し指せる……というか、互角以上に戦えているな、という手応えはありました。ただ、じっくり進めていたところを一気によくしようということで、欲を出してしまい、中盤から終盤の入り口にかけて、一瞬にして苦しくしてしまったなという感じです」
――具体的には、どの一手を反省されていますか。
「夕休のところで、▲3七桂と跳ねるところでは、▲9六香と走って……という変化をずっと読んでいたんですけど、改めて盤に座ってみると、▲3七桂と跳ねて▲3四歩とたたく筋が、凄くうまい手に見えてしまって。指したあとに、あまりよくなかったというのは、すぐわかったんですけど。あそこは、もう少し辛抱というか、苦労するという気持ちが、ちょっと足りなかったなと」
――その後、控室の評判では、ちょと苦しい時間帯が続いていたかと思うのですが、どんな心境で指していましたか。
「苦しくしてしまった、という気持ちでした。ただまあ、後悔してもしょうがないので、どうやって耐えるか、ということを考えていました。運よく、といいますか、凄く明快に、全然ダメというわけではなかったので、苦しいからなんとかついていこうという感じで、実戦的にやっていました」
――どのあたりで、逆転の手応えを感じましたか。
「最後、▲5八金打(117手目)と打って、詰めろが続かないので、逆転したのではないかなと。ただ、秒読みでしたので、まだ先は長いな、と思いながらやっていました。
――先勝して、いまのご心境はいかがでしょうか。
「もちろん、よかった、というのはありますけど、三番勝負ですので。まだ喜ぶとか、そういうことはできないです」
――この叡王戦は、後に電王戦というソフトとの戦いにつながりますが、今日は人間同士ということで、何かそれを実感したことはありますか。
「対面でやっていますので、息遣いとか、そういうものを感じますので、そういうところで相手が自信を持っているな、とか、難しいと思っているなというのを感じながらやっていたところが、人間同士らしいかなと思いました」
――第2局に向けての抱負をお願いします。
「第2局も、もちろんまったく余裕がないので、今日以上に気を引き締めて、より踏み込んだ将棋が指せるように頑張りたいと思います」
【郷田九段インタビュー】
――本局に臨む心境はいかがでしたか。
「心境はまあ、いつもと変わりません。普通ですね」
――中盤では、だいぶリードしているのではないかと、控室の評判でしたが、慎重に指そうと思われたのでしょうか。
「勝てそうな筋が見えて、ちょっと迷っているうちに、アヤがついて。最後はちょっと勝負手を逃がしたかもしれません」
――具体的にここが問題だった、というのは何かございますか。
「ちょっと、受けに回り過ぎてしまったので、どこかで攻める筋を考えて、それで勝たなければいけなかったですね」
――逆転負けかと思いますが、心境はいかがでしょうか。悔いが残るものでしょうか
「いやまあ、悔いというか、実力なのでしょうがないです。まあ、決勝に来るまでに、全然ダメな将棋を勝ってきたので、今日はちょっと逆が出てしまったかな、というのはあるんですけど。これでは先行き不安なので、また勉強し直さなければいけないですね」
――第2局への抱負をお願いします。
「三番勝負なので。内容がよくなかったですけど、気を取り直して、次は一生懸命、指したいと思います」