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続いて西田四段が挨拶を行いました。
(挨拶をする西田四段)
皆様こんばんは。日本将棋連盟の西田でございます。棋士になって半年しかたっていないのですが、初めてこうした素晴らしい舞台で対局できることを非常にうれしく思っております。こういう機会を与えていただきました主催者の皆様方、関係者の皆様方に深く御礼を申し上げます。京都出身ですが、加古川に来さしていただくのは今回が初めてです。駅に着くと「棋士のまち加古川」のポスターが貼ってあって、とても将棋が盛んな街だなと思いました。今回はあまり楽しむ余裕はないのですが、個人的には別の機会にまたお邪魔したいと思いました。今回の三番勝負、第1局は力及ばずに残念な結果になってしまいましたが、自分としては明日以降、気持ちを切り替えて1局でも多く皆様に熱戦をお届けできるよう頑張りたいと思います。未熟者ですが、明日からもよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
(書き起こし=飛龍記者:写真=潤)
(潤)
続いて両対局者による挨拶が行われました。まずは井出四段から。
(井出四段の挨拶)
初めまして、日本将棋連盟の井出です。「初めまして」というのは私の場合、適切かどうか分からないのですが(笑)、よろしくお願いします。私は去年もこの舞台で将棋を指すことができて、「本当に幸せだなあ」と思ったのですが、今年も準々決勝の相手が大変注目される藤井(聡太)四段との対局でした。そのときもこの棋戦のおかげで「指すだけで一生の記念になるかな」と思ったのですが、結果も幸いして。もう一度この地で決勝戦を戦えるということで、本当に加古川青流戦には深く感謝を申し上げます。
加古川の地に来るのは昨年以来なのですが、今日食べた「かつめし」もそれ以来で、本当においしかったのです。昨年は確か、レセプションの前日の夕飯にひとりで「オムかつめし」を食べました。今年はデミグラスソースがかかった普通の「かつめし」を今日いただいて、その結果、1局目の結果が幸いして。2局目以降も頑張ろうと思います。個人的には、加古川青流戦は三段のときは1回も勝てず、苦しい思い出のほうが多かったのですが、棋士になってから好結果が残って、急に相性のいい棋戦になりました。2連覇のチャンスはもう二度とないと思うので、明日以降も精一杯、自分らしい将棋を指せたらなと思います。本日は皆さん、ご清聴ありがとうございました。
(潤)
次に森内俊之・日本将棋連盟専務理事が挨拶を行いました。
(森内俊之・日本将棋連盟専務理事)
つい最近始まったと思っていたこの棋戦も、本日、7期目の決勝戦を迎えました。以前、アマチュアの方が残って盛り上がったこともありましたが、今回はプロが貫禄を見せ、前回優勝の井出四段と関西で活躍している西田四段の決勝戦となりました。本日は相穴熊戦の最新形になりまして、たいへん見応えのある将棋になり、その中で井出四段の勝利となりました。明日は第2局が行われます。優勝者が決まるということで、本日以上の盛り上がりが期待されます。引き続き、どうかよろしくお願いいたします。 加古川市はプロ棋士5人を輩出しており、人口に対する棋士の割合がとても高い街だと思います。先ほど伺ったところ、将棋に対する取り組みも新たに始められ、本当に感謝しております。今後さらに将棋を取り上げていただけるということで、ますます将棋が盛んになっていくことを確信しております。今後とも将棋界のご指導、ご支援をよろしくお願いいたします。明日の第2局以降の成功と、加古川市様、皆様方のますますのご多幸を祈念して私からの挨拶とさせていただきます。皆様ありがとうございました。
(書き起こし=飛龍記者:写真=潤)
(潤)
18時30分から、加古川プラザホテルで交流レセプションが行われました。
(開始前、谷川浩司九段、久保利明王将、畠山鎮七段が姿を見せた)
(稲葉陽八段、糸谷哲郎八段、増田裕司六段も入室。その他、たくさんの棋士が出席した)
(岡田康裕・加古川市長)
加古川青流戦も第7期を迎えることができ、今日もお越しの樽本(庄一)前市長の代から毎年開催できますのも協賛企業、日本将棋連盟、応援してくださる皆様のおかげさまです。まず、お礼を申し上げます。加古川青流戦は若手棋士の方の登竜門の位置づけをいただいております。第1期を制された地元の船江恒平さんがいま六段になられ、ご活躍されていることは皆様もよくご存知のとおりです。また、第5期の決勝三番勝負に進まれた増田さん(康宏四段)も新人王戦で2年連続で制されたご活躍をされております。
決勝戦の対局者のお二方、井出隼平さんと西田拓也さんにおかれましても、どちらが優勝されるかは別に、きっと近いうちに「あっ、あのときの井出さんだ、西田さんだ」と思い返していただく瞬間がくるのではないかと思っております。ぜひ、明日も頑張っていただきたいと思います。
加古川市では皆様に応援いただいて、将棋の取り組みをいろいろ進めてまいりました。3つ紹介させていただきます。
1つめは「かこがわ将棋プラザ」という拠点がオープンいたしました。加古川駅南のデパートの専門店ゾーンの一角に開設しまして、井上慶太九段ほかプロ棋士の皆さんに将棋教室をご開催いただいております。今年はブームもあり、たくさんの子どもさんや、いろいろな方がお越しいただいて市のひとつのにぎわいの拠点となっております。
2つめは、加古川には伝統工芸の国包(くにかね)建具があります。昔、川(加古川)の舟運で栄えた場所であることによりますが、国包建具の職人の皆さんが、最近、将棋の関係でいろいろな創作品を作っています。今日はその何点かをお持ちいただいております。面白いのはベンチですね。最近は公園などに防災ベンチがあり、いざ地震があったときなどにベンチを開けたら調理器具が出てくるものがありますが、防災ベンチならぬ将棋ベンチを作られていて、座って横をパカッと開けると将棋盤が出てくるという。ぜひご覧ください。
3つめは、将棋は集中力が高まり、認知機能の低下に効果があるのではないかと定性的な効果をいわれることがよくありますが、定量的に評価して、その結果をぜひPRに使っていきたいと思いました。日頃のストレスで塞ぎ込んでしまう方がいますが、そういうときに考え方やものの見方を変えることによってどう解決していくか、私の留学時代にお世話になったお医者さんでもある帝京大の中尾(睦宏)教授に指揮をしていただき、将棋を使ってストレスマネージメントをできるのではないかと市内の何十人かの高齢者の方にプロジェクトに参加いただいております。高齢者の皆さんにプロ棋士の方から将棋の指し方をご指南いただき、その前とあととでいろいろな調査をして、結果を数字で出そうとしております。中尾教授によりますと、フランスで何十年とかけて何千人というサンプル数でされた研究では、チェスが認知機能の低下を予防する効果が統計的にキチッと出ているようです。小規模ではありますが、中尾先生と一緒にそうしたプロジェクトもしております。結果を楽しみにしていただきたいと思っております。
加古川市は久保利明さんが今年は王将に復位をされたり、また稲葉陽八段が名人戦であと一歩のところまでいかれたりと、市のゆかりの棋士の皆さんにもご活躍いただいております。皆様と一緒に将棋をますます盛り上げていきたいと思います。今後とも、ご支援をなにとぞよろしくお願い申し上げます。本日はどうもありがとうございました。
(書き起こし=飛龍記者:写真=潤)