(徳田拳士四段)
「なかなか奨励会に入ってから、トロフィーとかカップとかいただく機会がなかったので、久々にこのような賞をいただけて素直にうれしく思います。こういう賞をいただくために日々努力して、また、こういう舞台に戻ってきたいと思います。どうもありがとうございました」
(齊藤優希三段)
「結果としては残念だったのですが、それでも加古川の大舞台で戦えて、本当にいい経験になりました。準優勝という結果でしたが、この経験を生かしてまた頑張りたいと思います。本日はありがとうございました」
(来場者から大きな拍手で祝福された)
(脇謙二・日本将棋連盟専務理事のあいさつ)
「本日はたくさんの方にお越しいただきまして、ありがとうございます。齊藤三段は初めてお会いしましたが非常に好青年で、ぜひ来年は四段になってこの舞台に帰ってきてほしいと思います。徳田四段はすごく勝ってはるそうで、私も、井上常務理事も負かされました。これまで1回しか負けておらず、もしかしたら中原誠十六世名人の年間勝率の記録(1967年度、0.855)を更新するんじゃないかと期待しています。こういう若いふたりが機会を盛り上げていってくれたらと思います」
(岡田康裕・加古川市長のあいさつ)
「今日は表彰式の会場に来まして、例年より人が多い気がしました。棋士の皆様にわぁっとカメラを向ける熱気もいつもより熱く、主催する身としてはありがたく思います。徳田さんは連勝していて、9割以上勝っていると聞いて、素人ながら驚いています。齊藤さんも新人王戦をはじめ、準決勝、決勝にぐいぐい来られている方で、控室等で棋士の皆さんも『そういうところで勝たれている方はあとでぐんと伸びてくるんですよ』ということでしたから、楽しみなおふたりだなと思っています。
皆様もご存知の通り、過去の青流戦で決勝まで来られた方がタイトルホルダーになるような事例も出てまいりました。まさに若手の登竜門になってきているのかなと思いまして、私たちもわくわくしながら見ています。
今年度は加古川市ウェルネス協会の主催で第1回の高校生大会(8月開催のウェルネス杯第1回棋士のまち加古川 高校将棋大会)も開きまして、市外・県外からも高校生がお越しになってにぎやかでした。将棋連盟の皆さんと相談しながら将棋振興に努力してまいりますので、引き続き応援していただければと思います」
(翔)
(終局直後)
(インタビューを受ける徳田拳士四段。棋戦初優勝を飾った)
■優勝した徳田拳士四段のコメント
── 序盤は果敢に攻められる展開でしたが。
徳田 経験があった形だったので、局面が複雑になる変化を選んだのですが、こちらの形がいびつで、すぐに負けになる変化も多く、怖い思いをしながら指していました。
── どのあたりで勝ちを意識しましたか。
徳田 △4二玉(86手目)と上がって詰めろが続きそうにないので、少し余しているかなと思いました。
── 一局を振り返って。
徳田 昨日よりは、いい将棋を指せたのかなと思います。
── 棋戦初優勝です。いまの気持ちを。
徳田 以前、何度か記録係で来させていただいて、そのときに「今度は対局者として優勝したい」という思いがあったので、それがかなって、すごくうれしく思います。
(敗れた齊藤優希三段)
■準優勝の齊藤優希三段のコメント
── 本局は序盤から果敢に攻める展開でした。
齊藤 第1局では時間がなくてミスをしてしまったので、なるべく早い展開で時間が余るようにと急戦策を取ったのですが、思った以上に手の作り方が難しくて、仕掛けた割には、いまいちな内容だったと思います。
── どのあたりで苦戦を感じましたか。
齊藤 こちらの飛車角が使えていないのと、攻めていかないといけない忙しい展開で、仕掛けたあとは全体通してうまくいっていない内容だったと思います。
── 決勝三番勝負を終えて。
齊藤 こういった舞台で指すのは初めてなので、貴重な、いい経験になった思うのですが、緊張で手が伸びなかったところもあったので、今後に生かしていければと思います。
── 今後の抱負を。
齊藤 公式戦で何度も勉強する機会があったので、そういった経験を生かして奨励会のほうも抜けていければと思います。
(このあと、大盤解説会場に移動した)
(インタビュー書き起こし=夏芽、写真=翔)
第12期加古川青流戦決勝三番勝負第2局▲齊藤優希三段-△徳田拳士四段は94手で徳田四段が勝ちました。
終局時刻は12時4分。消費時間は、▲齊藤優1時間0分、△徳田58分(持ち時間各1時間、チェスクロック使用、使いきると1手60秒未満の秒読み)。
この結果、三番勝負で2連勝した徳田四段の優勝が決まりました。徳田四段は棋戦初優勝です。
(翔)