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2016年11月

2016年11月20日 (日)

記者会見

就位式のあと、記者会見が行われました。

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里見香奈倉敷藤花 記者会見

--防衛おめでとうございます。今日勝ちまして7期目の倉敷藤花獲得、室谷女流二段に先勝されてからの逆転防衛、率直なお気持ちをお聞かせください。
 終わったばかりなので、将棋の内容のことが頭に浮かんできます。第3局は寄せを間違えてしまって、最後は本当に難しく、勝っているのか自信がありませんでした。複雑な思いもあるのですが、結果を出せたことは素直にうれしいです。

--今日の第3局、序盤は構想がうまくいって優位に進められたという印象でした。ご自身の描かれた序盤だったでしょうか。
 いえ、完全な力戦形になって、自分で考えていく将棋でした。こちらが攻める展開になったので、その分は指しやすいかと思っていました。

--室谷さんの△7三玉(88手目)のあたりから入玉も見ながらの難しい対応になるのかなと思いました。そのあたりの展開はいかがでしたか。
 入玉はしづらいのかなと思って、指しているときは難しいながらも少しいいかと思っていました。本譜は正解の寄せを指せなかったわけですが(注:105手目▲7二成桂では▲8五金がまさった)、見えていて指せなかったのは自分の甘さが出たかなと思います。玉を上に逃がしてはいけないので。基本に忠実に指すことができなかったのは自分の弱さが出てしまったと思います。

--今回防衛して四冠を維持し、25日には女流王座戦第3局を控え、そこも勝てば五冠、さらにマイナビ女子オープンで女王も獲れば六冠も視野に入ると思います。
 注目していただけるのはうれしいですし、光栄なことです。それとは別に、そういうのに左右されないように、自分は自分のペースで一生懸命将棋を指すということにすべてを尽くしたいという思いでいます。

--今日、ご家族は。(注:昨日の第2局の大盤解説会場に妹の里見咲紀女流1級と両親が姿を見せていた)
 いや、昨日帰りました。昨日の夕食は一緒だったのですが、そのまま帰りました。

--今日はこのあとどのようなご報告を。
 いや、いつも報告しないので……。両親から「お疲れ様」というメールが来るときと……来ないときがあって、はい、結構適当です。私から連絡することはあまりないです。

--「自分の力を出しきりたい」とよくおっしゃっていますが、倉敷藤花戦3局を通じて力は出しきれましたか。
 自分の甘いところもありました。ただ先勝されても普段と変わらない気持ちでいられたのはよかったのかなと思います。

--今日の相振り飛車を選んだ意味、狙いは。
 3手目▲9六歩は相手に委ねたところもあるので、居飛車になる可能性もあると思いました。室谷さんが△9四歩(4手目)と受けてから飛車を振られたので、相振り飛車にしました。

--第1局を落としたといって気落ちしたということもなく、平常心だったのでしょうか。
 もちろん悔しかったですが、それよりも次を見るということを意識していました。そこで気落ちしていては次につながらないと思いました。思っていたよりはダメージが少なかったです。

--タイトル戦と三段リーグの両方を戦って大変だと思いますが。
 こういうタイトル戦の場は、両立しているからこそ味わわせていただけていることなので、本当にありがたいことだと思っています。

--第3局の勝ちが決まった瞬間はどのようなことが頭に浮かびましたか。
 最後の最後までどちらが勝っているかわからない状態だったので、うれしいなどの感情はなくて、こう指されていたらどうだったんだろう、ということがずっと頭にありました。

--今期16勝1敗と好調ですが、奨励会という違った場での戦いがどのような影響を与えていると思いますか。
 うーん、あまり考えたことがなかったです。奨励会は勝つことだけを考えているので、内容はそんなには重視していないです。どうやったら勝てるのかということを常に考えてすごしています。

--来年、倉敷でもう一度防衛戦を戦うことになります。第25期という節目に防衛戦を指す思いをお聞かせくださいますか。
 今年も多くの皆様にご観戦いただいて、地元の方も大変だとは思いますが来てくださっていたので、本当に自分の励みになりますし、皆さんの思いを無駄にしたくはないので、それを日々のモチベーションに生かしていきたいとは思います。

--3局戦った室谷女流二段の印象をお聞かせください。
 どの形にも即座に対応されていると感じましたし、自分の形を持たれています。流行形ではなくて、少し古風な作戦を選ばれていることが多かったので、自分の力で作戦を練って対局に持ってきているというのを感じました。

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室谷由紀女流二段 記者会見

--いまの率直なお気持ちをお聞かせいただけますか。
 3局指せたことは自分にとって大きかったかなと思います。第2局、第3局が不出来だったことは反省しないといけないのですが、里見さんはなかなか当たれる相手ではないので、この大舞台で指せたことはいい経験になりました。

--今日の対局、序盤から厳しい戦いになりましたが、入玉もにらみながら粘られたと思います。
 どこかで相振り飛車はあると思っていたので、それが今日だったということ。十分考えられる展開だったのですがそれに対応しきれなかった。見ている方に申し訳ないくらいのひどい展開にしてしまいました。昼食休憩くらいから諦めないで指したのがよかったのか、△7三玉(88手目)から△8四玉(94手目)と上がって、少し希望が出てきたかなというのが自分の中にありました。里見さんも考えていたようすだったので、難しいのかなと思っていました。もう少し時間があったらとは思いましたがそこも含めて実力。最後は仕方なかったと思います。

--公開対局はなかなか少ないと思います。ファンの方の声援もあったと思いますが。
 事前にたくさんの方から「行きますよ」と声をかけていただきました。今日もびっくりしました。あんなにたくさんの方が来てくださっているとは思っていなくて。見ている方にも楽しんでいただけるようにできるだけ長い時間指したいと思っていたので、昨日は残念だったのですが、その分、今日に懸けたというのはあります。

--あと一歩で初タイトルには届きませんでした。今後どのように力を伸ばしたいと思いますか。
 あと一歩。でも取れなかったら同じなので、いまはこれが自分の実力と受け入れるしかないと思っています。今後については、もちろん上を目指してはいきますが、今日が終わってからゆっくり考えたいと思います。

--2011年に倉敷藤花戦初出場で挑戦者決定戦まで進みました。今回は挑戦者になって結果は残念でした。今後、倉敷藤花戦はどのような思いで臨まれますか。
 自分の中では縁起がいいというか、思いが強い棋戦です。特に倉敷藤花戦だからこうしたい、というのはないですが、取れたらいいなと強く思っている棋戦ではあるので、毎年挑戦を目指していきたいです。

--3局を通した里見倉敷藤花の印象をお聞かせください。
 奨励会の三段リーグで戦われていますので、序盤から中盤、終盤においても自分より上であることはよくわかっていましたし、実際に指してみて読みの精度も全然違いました。どこか自分のほうがまさっているところがあればと探しながらやっていたのですが、それが序中盤で、少しリードできる展開になればと思っていました。第1局はうまくいって勝負形になったのですが、第2局、第3局は空振りしてしまった感じがあります。それが残念でした。

--今年初めてタイトル戦を2つ戦いました。タイトルは棋士の夢だと思います。タイトルは高いハードルなのか、がんばれば届くのか、いまはどちらの思いが強いですか。
 女流棋士になったときは高い壁だと思っていたのですが、今年2度挑戦させていただいて、あと一歩というところまで来ています。まったく届かないとは思っていないですが、今日も戦って、あと1勝というのがどれだけ重いかということを感じました。

--里見倉敷藤花が四冠を保持しています。彼女を倒さずしてタイトル奪取はないと思います。読みの精度が課題とおっしゃっていましたが。
 序盤の最新形にも詳しいので、今回は自分の得意形で臨むのもあったと思いますが、あえて読みを外すというか、ちょっと古い形を指してみたりと、自分なりに工夫はしてみました。第2局は皆さんに本当に申し訳ないくらいの将棋を指してしまいましたが、第3局は終盤で競り合えて、もしかしたら入玉できる手順もあったかもしれません。いま終わってみたところですが、第3局は悔いはないと思っています。

--第3局が終わってステージの上に上がったときに目に光るものが見えましたが。
 ひとことで言うと悔しい思いがあります。もちろん、強い相手ですし、簡単に取れるタイトルとは思っていなかったですけれども、それでもタイトル挑戦が決まってから1ヵ月間、自分なりに精一杯やってきたつもりだったので、悔しい思いが一番強いです。

--来年は。
 またこの舞台に戻ってきたいです。

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以上で第24期大山名人杯倉敷藤花戦は全日程を終了しました。ご観戦いただきまして、誠にありがとうございました。

(翔)

就位式

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(続いて、里見香奈・第24期倉敷藤花の就位式が行われた)

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(谷川浩司・日本将棋連盟会長が就位状を読み上げる)

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(就位状を受け取る里見香奈倉敷藤花)

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(続いて伊東香織・倉敷市長から大山名人杯が手渡される。非常に重いもので、スタッフが後ろから支えている)

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(山陽新聞社からの記念品目録授与)

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(室谷由紀女流二段にも目録が手渡された)

(翔)

終局後

終局後、両対局者は大盤解説会場で感想戦を行いました。

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(解説の菅井竜也七段と聞き手の山口絵美菜女流1級は、13時の開演から終局の15時21分まで、休憩なしで出演し続けた)

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(対局者が登壇)

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(大盤を使っての感想戦)

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(室谷由紀女流二段)

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(里見香奈倉敷藤花)

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(菅井七段の質問に考え込む里見倉敷藤花)

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(難解な終盤戦が続いたため、何度も頭に手をやった)

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(感想を求められ、客席に向かって語り掛ける室谷女流二段。最後は涙声で「この経験を棋士人生に生かしたい」と話した)

(翔)

大山名人杯授与

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(終局後、大盤解説会場で伊東香織・倉敷市長から大山名人杯を授与される里見香奈倉敷藤花)

(翔)

里見倉敷藤花が防衛

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第24期大山名人杯倉敷藤花戦第3局は、145手で里見香奈倉敷藤花が勝ちました。終局時刻は15時21分。消費時間は▲里見1時間58分、△室谷2時間0分(チェスクロック使用)。
これで三番勝負は2勝1敗となり、里見倉敷藤花の防衛が決まりました。2年連続7期目の保持となります。

(翔)

受けが難しくなる

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室谷女流二段が懸命のがんばりを見せていますが、駒損が広がって受けが難しくなっていっています。里見倉敷藤花の防衛が近づいています。

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(就位式に出席する伊東香織・倉敷市長も継ぎ盤の横に立っている)

(翔)

千日手模様を回避

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上図から▲8五桂△8一桂▲7三桂成△同桂と進んで千日手になるかと思いましたが、里見倉敷藤花は▲9五歩と打ちました。

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有吉九段は「いい手だねえ」。これで後手玉は寄っていると見られています。

(翔)

強烈な金捨て

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里見倉敷藤花に強烈な一手が出ました。▲9三金は△同桂なら▲7三角成で詰みがあります。

しかし室谷女流二段も△9四歩と最善のがんばりを見せています。決まったわけではないようです。

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(控室に有吉道夫九段が再訪した)

(翔)

室谷女流二段、一分将棋に入る

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上図で室谷女流二段は持ち時間を使いきり、一分将棋に入りました。里見倉敷藤花は28分残しています。

室谷女流二段は△7四歩と打ちましたが、▲同桂で馬の利きが通りました。

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次は▲7七馬があります。

(翔)

入玉を目指す

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里見倉敷藤花が寄せを目指し、室谷女流二段が入玉を目指す展開になっています。継ぎ盤では寄せがあるか検討していますが、はっきりとした手順が見つかっていません。室谷女流二段が粘り強く指しています。

しばらく検討が進み、上図より▲9六歩△同香▲6五馬△同香▲9五銀△9三玉▲7四桂△7三金左▲9四歩△9二玉▲6五飛△7四金▲7五香△6五金▲7二香成△6四角▲5六銀(参考図)で寄っているようだ、とされました。

Sankou01

(翔)

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