2020年8月10日 (月)

20200810e

15時6分、永瀬叡王が34分の考慮で▲8二角(上図)と打ち込む手を決断しました。先手は次に▲9一角成で先に香を取れる形ですが、香を取った手自体は後手にとって何でもないため、思いきった選択といえます。▲8二角では、△6六飛を消しつつ△2八飛成に▲3六歩を用意する意味で、▲4六角も有力に思われるところでした。本譜は▲8二角以下、△2八飛成▲9一角成△2七角と進行。▲3九香の受けには△3八角成▲同金△2九竜と踏み込む順も考えられ、終盤戦間近の雰囲気も出てきました。

20200810f

Dsc_31211 (積極的に戦いにいった永瀬叡王)

15時になり、両対局者にローソンのおやつが出されました。注文は永瀬叡王が「CUPKE 夏ティラミス(コーヒーゼリー使用)」、豊島竜王・名人が「バスチー -バスク風チーズケーキ-」です。

【デザート ローソン】
https://www.lawson.co.jp/recommend/original/dessert/

Dsc_31421 (永瀬叡王のおやつ)

Dsc_31451 (豊島竜王・名人のおやつ)

Dsc_31471 (撮影用のおやつは、中村修九段とニコ生聞き手の塚田恵梨花女流初段が賞味)

Dsc_31491 (しばらくして、ニコ生解説の行方尚史九段も姿を見せる。夏ティラミスを手にした)

20200810d図は14時20分頃の局面です。ここで豊島竜王・名人が少し腰を落として考えています。先手の▲6六歩は、△6五桂を防いで次の▲7五歩を見せた意味。後手は(1)△8三銀のようにただ桂頭を受けるだけの手では、▲8二角や▲8一飛と大駒を打ち込まれて困ります。(2)△2六飛や(3)△4四角など、攻め味を見せることで▲7五歩を牽制する方針でいくことになりそうです。

Dsc_30641 (豊島竜王・名人。消費時間の通計は2時間30分に達しようとしている)

Dsc_31121 (両対局者とも、13時20分より少し前に戻ってきた。永瀬叡王はワイシャツ姿になっている)

Dsc_31361 (記録係が再開を告げると、永瀬叡王はすぐに▲7六歩と角道を開けた)

Dsc_31381 (豊島竜王・名人は、ほぼノータイムで△8八角成と角交換に出る)

Dsc_31401 (再開から2分ほどの間に、▲7六歩△8八角成▲同銀△7三桂▲6八玉と5手も進んだ)

20200810c

図の△7四歩の局面で永瀬叡王が34分使ったところで12時30分になり、昼食休憩に入りました。ここまでの消費時間は▲永瀬52分、△豊島1時間37分。対局は13時30分に再開されます。

Dsc_31031 (昼食休憩時の特別対局室)

Dsc_31041 (手番の永瀬叡王の側から見た盤面)

Dsc_31071 (バナナはまだ手つかずだった)

Dsc_30931 (中村修九段は、生茶を傍らに置いて継ぎ盤に向かっている)

Dsc_30911 (山口恵梨子女流二段も来訪中。文春オンラインで本局の観戦レポートを執筆予定の漫画家・さくらはな。さんと)

さくらはな。さんは、竹書房の月刊誌「本当にあった愉快な話」で、「えりりんの女流棋士の日々」を連載中です。

山口恵女流二段は、このあと12時30分から日本将棋連盟のYouTubeチャンネルで高見泰地七段とライブ配信を行うそうです。

【伊藤超短波 2020夏休みオンラインこども将棋フェスティバル「高見泰地七段、山口恵梨子女流二段に聞いてみよう!!」】
https://www.youtube.com/watch?v=a2CCZNg4vzs&feature=youtu.be

20200810b

11時26分、2六飛に当てて角を出た△4四角に対し、永瀬叡王はわずか5分の考慮で▲8六飛とぶつけました。▲8六飛は以下△同飛▲同歩△2六飛▲3九金△8六飛で後手不満なしと関係者に解説していた中村修九段は、「あれえ⁈」と驚きの声を上げています。後手の豊島竜王・名人としても、▲8六飛のぶつけは問題なしと見ての△4四角だったはず。早くも盤上に波が立ち始めました。

Dsc_30361 (永瀬叡王)

20200810a図は10時50分頃の局面です。戦型は相掛かりになりました。先手だけが▲9六歩~▲1六歩~▲1五歩と端に3手掛けているのが珍しく、すでにデータベース上の前例はありません。控室の中村修九段は、後手は端歩を突く手を省略して攻めの態勢作りを急ごうとしているのだろうと話しています。豊島竜王・名人の攻め、永瀬叡王の受けという展開になるのかもしれません。

Dsc_30401 (永瀬叡王。仮にゆっくりした将棋になれば、端の位の価値は大きくなる)

Dsc_30771 (静かに定刻を待つ対局室)

Dsc_30801 (10時になり、中村修九段の発声で開始の礼を交わす)

Dsc_30811 (永瀬叡王の初手は▲2六歩)

Dsc_30841 (豊島竜王・名人は△8四歩と応じた)

Dsc_30881 (テンポよく指し手が進められていく)

Dsc_30891 (相掛かりの出だしだ)