2025年5月 4日 (日)

20250504o▲7五歩以下、△同金▲8四成香△5四歩▲8五成香△8六金▲同成香(2図)と進みました。先手は飛車を取られたものの、成香を自陣に引きつけて紛れを求めています。両者ともに秒読みになっています。

20250504n伊藤匠叡王の▲7五歩は勝負手です。自ら飛車を詰まされにいく手ですが、△7五同金に▲7三成香や▲8四成香を作りました。5五香を取られる前に飛車を犠牲に攻めを続けたいところです。

Dsc_2774(巻き返しを図りたい伊藤匠叡王)

20250504l▲9五香に対して△9四歩に、先手は▲5六飛(1図)と回りました。以下、△3四飛▲9四香△8五桂▲5五香△4二銀▲9三香成△9五歩(2図)と進んでいます。

20250504m深浦九段は2図まで進んで後手優勢と見ています。「▲5五香は△7七桂成を嫌ったものですが、△9五歩と打たれて▲9六飛の転回を消されると、先手は△5四歩▲同香△5三歩と香を取りにこられるので忙しい局面です」と話しています。

Dsc_2849(うまい立ち回りで優位を築いた斎藤慎八段)

20250504j局面が激しく動きました。伊藤匠叡王は最後の1歩を使って▲9三歩(1図)と垂らしました。以下△9三同香▲8五桂△7四金▲9三桂不成△同桂▲9五香(2図)と進んでいます。

20250504k9筋で桂香交換になりました。長かった序、中盤に別れを告げて、中、終盤に突入しようとしています。控室では後手持ちとの声も聞かれていますが、形勢はなんともいえない難しさがあるようです。

Dsc_2798001(陣形を立て直して攻勢に出た伊藤匠叡王)

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じりじりした戦いが続いています。立会人の深浦九段は1図から「斎藤さんの△3四飛▲7七桂に△5四飛(2図)がいい手順でしたね。先手の角が5五にいると後手は角を使いにくいので、飛車で角を追って△3四歩と突く構想がうまかったと思います」と感心しました。

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 2図以下、▲4六角△3四歩▲7四歩△6二金▲7六飛△6三金(3図)と進んでいます。深浦九段は「後手は角を使うことができましたので、見通しがたってきたと思います。△6三金でうまくキズを消しましたし、後手は歩得をしているので、先手の攻めさえ受け止めてしまえばというところでしょうか」と話し、後手持ちの見解を示しました。

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Dsc_3076001(控室を訪れた星野良生五段。「どちらを持っても難しい」という)

か茂免は名古屋市東区にある老舗料亭です。名古屋市の町並み保存地区に指定されている白壁エリアに位置します。敷地面積は1000坪を誇る壮観な造りです。庭園には旧皇族、陸軍軍人の賀陽宮家恒憲王氏が作った防空壕が残されています。将棋のタイトル戦は第60期王位戦第1局(豊島将之王位-木村一基九段)、第6期叡王戦第3局(豊島将之叡王-藤井聡太王位・棋聖)、第8期叡王戦第3局(藤井聡太叡王-菅井竜也八段)、第9期叡王戦第1局(藤井聡太叡王-伊藤匠七段)が行われました(肩書きはいずれも当時)。

Dsc_3016(か茂免の門)

Dsc_3041(門をくぐって玄関に)

Dsc_3055(か茂免のロビー)

Dsc_3044(棋士の色紙が飾られている)

Dsc_3046(叡王戦が初開催された第6期の色紙)

Dsc_3048(昨年は第1局が行われた)

Dsc_3056(対局室に続く長い廊下)

Dsc_3061(庭園にはいくつも池がある)

Dsc_3066(大きな鯉が気持ちよさそうに泳いでいる)

現地大盤解説会の様子をお送りします。

Dsc_2967(350人のファンが駆けつけた)

Dsc_2969(解説の豊島将之九段)

Dsc_2987(聞き手の貞升南女流二段)

Dsc_3008(立会人の深浦康市九段もゲスト出演した)

Dsc_3015(会場の熱気は最高潮に達しようとしていた)

Dsc_2881(本丸ではなく東南隅櫓が顔をのぞかせる)

Dsc_2889(ここから城内に入っていく)

Dsc_2896_2(名古屋城の本丸御殿が姿を現す)

Dsc_2912(金のシャチホコ)

Dsc_2901(名古屋城のシンボルともいえる)

Dsc_2921(迫力のある石垣)

Dsc_2943(真下から臨むとより雄大さを感じる)

Dsc_2953(か茂免から名古屋城まで徒歩圏内で行くことができる)

15時、午後のおやつは伊藤匠叡王がフルーツミルクレープ、アイスティー。斎藤慎八段がクリームあんみつ、アップルジュース、アイスレモンティー(対局室へ)です。

Dsc_2541(伊藤匠叡王の注文したおやつ)

Dsc_2536(不二家のフルーツミルクレープ)

Dsc_2566(斎藤慎八段が注文したおやつ)

Dsc_2560(不二家のクリームあんみつ)

▲9五歩

時刻は14時、盤上は中盤戦の攻防が続いています。伊藤叡王は30分を超える長考で▲9五歩を端を攻めました。△同歩に▲3六歩と突いて2四の飛車をさばく狙いのようです。

深浦九段と杉本昌八段
(継ぎ盤で検討する深浦九段と杉本昌隆八段)

山口仁女流1級と岩佐女流1級
(対面には山口仁子梨女流1級と岩佐女流1級が座っている)

今井女流初段
(今井絢女流初段は地元・愛知県名古屋市の出身)

継ぎ盤
(図の▲9五歩以下△同歩▲3六歩△3四飛▲同飛△同歩▲9二歩△同香▲8二飛△6六角▲同歩△8三角▲4五角と進めた変化。先手の攻めが厳しそうだが、△7三桂とかわされて大変だという)