2012年10月28日 (日)

桂を足がかりに

_47_2慎重な時間の使い合いから一転、駒を取り合ってぱたぱたと指し手が進んだ。後手は△5五角成で馬を作り好調に見えるが、先手の▲4六角(図)も狙いを秘めた切り返し。飛車、桂と連係しての重い一発を振りかぶっている。五段目に跳ね出した桂が大きな足がかりだ。一方の後手は飛車先がひとつで止まっていて、飛車の働きがいまひとつ(先手の速攻はこれを狙ったものでもあるのだが)。今は先手の狙いを消しつつ、どこで反撃に出るかを考えていくことになりそうだ。
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(表彰状の用意が進んでいた。名前の欄は当然空いたまま。今日この表彰状を持って帰るのはどちらか)

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受ける後手、攻める先手

_40永瀬五段は長考の末に△3三桂(図)と跳ねた。王手のラインを消した手だが、この瞬間は先手に手を渡すので、好き放題を許すことになる。「やってこい」という手で、長考はこれで大丈夫と読むための時間だったようだ。「二人ともらしさが出てますよね」と、大盤解説の久保九段。「伊藤さんはさばく棋風なんですね。私もさばく棋風なんですけど、森下さん(卓九段)と将棋を指したときに、歩をたくさん突いたら全部同歩と取られて負けたことがありました。ああ、こんな指し方もあるんだなと勉強になりましたね」と話して笑いを誘っていた。そのさばく棋風の伊藤四段、図から▲6五桂と跳ねて果敢に後手陣に迫っていった。△7七角の反撃が見えるだけに決断の一手だ。

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(加古川観光大使も務める久保九段)

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(会場で配られている加古川案内マップ)

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(王将戦七番勝負第4局が行われた鶴林寺も載っている)

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永瀬五段、長考

伊藤四段が攻めを見せた局面で永瀬五段が長考に沈んでいる。4階の大盤解説会には、雨にもかかわらず多くの来場者が訪れていた。解説は菅井五段と村田女流二段にバトンタッチ。「歩がないので先手の攻めがちょっと軽いと思うんですけど、でもよく考えてみるとやっかいですね」と菅井五段。

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(市役所前にある鹿児(かこ)の庭)

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(加古川プラザホテルでは利き酒のイベントが行われている)

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斜めのラインが急所

_34永瀬五段は角交換から△3三角(図)と角を打つ。後手は玉のコビン、先手は飛車のコビンがそれぞれネックになっている。この角打ちは急所のラインに先着することで相手の狙いを消し、逆に飛車を攻める切り返しになっている。実戦は図から▲5五角△同角▲同銀△6五歩▲6八飛と進行。先手は軽い形だが、腰が座った攻めができるのかという懸念はある。受けを得意とする永瀬五段にとっては腕が鳴る局面だろう。逆にうまく手にできれば、先手にとっておもしろい展開になる。
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(大盤解説会では船江五段と室谷女流初段が解説中)

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(控え室では淡路九段、久保九段、稲葉六段が継ぎ盤を囲む。淡路九段と久保九段は師弟)

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伊藤四段の石田流

_24初手から▲7六歩△3四歩▲7五歩△4二玉と進み、伊藤四段の石田流を永瀬五段が対抗形で受ける形になった。これだけ見ると永瀬五段が得意戦法を譲ったようだが、「振り飛車党は研究しているので裏表指せる」とは菅井五段の弁。久保九段や菅井五段も石田流を得意にすることで知られるが、相手の石田流を受けることもよくある。自分の研究に自信があれば、振り飛車と居飛車どちらを持つかは関係ない、ということだろう。
実戦は図から▲5八金左△2二玉▲6五歩と進行。ゆっくりした駒組みが続くかと思われたが、伊藤四段が仕掛けて戦端が開かれた。
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(加古川名物、「かつめし」が食べられるお店を紹介するパンフレット。前夜祭にも登場したイメージキャラクター「かっつん」がいる)

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第2局、対局開始

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解説の準備?

9時40分、控え室では菅井五段と稲葉六段が練習将棋を指している。

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(「船江さん、詰ましてくださいよ」「詰まん。……投げっぷりが悪いなあ」)

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雨の加古川

今日の加古川市は朝から雨が降ったりやんだりで、時折ざあっと激しい雨が降ることも。決勝三番勝負の第2局は10時開始。会場の加古川市立青少年女性センターでは、対局の準備が進められている。

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2012年10月27日 (土)

棋士紹介、抽選会

前夜祭の最後に、会場を訪れていた棋士の紹介があった。神吉七段が司会役を務めて進んでいく。ウィットに富んだトークに、会場からは笑いが絶えなかった。紹介が終わった後は色紙の抽選。井上九段、神吉七段、村田女流二段の三人がプレゼンターとなって進行した。

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(神吉七段、井上九段、久保利明九段、村田智六段)

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(井上門下の面々。稲葉六段、菅井五段、船江五段)

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(女流棋士。村田女流二段、長谷川女流二段、室谷由紀女流初段、香川女流1級)

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お楽しみ抽選会

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■明日への意気込み
「先勝して有利な状況になったので、これを活かしたいと思います。また私の将棋は受けに特徴があると思いますので、受ける展開にして攻めさせて勝てれば理想的かなと思います。明日もお越しいただければ幸いです」

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(伊藤四段の揮毫は「忘己利他」。もうこりた、と読むそうで)

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■明日への意気込み
「たくさんの応援してくれる方が東京からも来ていただいて、残念な結果だったんですけれども、明日は相手が受けが強い方と聞いていますので、なんとか攻め倒したいと思います。頑張ります」

(書き起こし=翔、写真=文)