終局直後
―― まずは勝たれました里見女流五冠にうかがいます。▲3七銀(45手目)でお二人の対局の前例から離れました。予想されていましたか。
里見 手が広い局面なので、どうやられるかがわからず、難しいかなと思っていました。
―― 先攻して反撃される展開でした。形勢をどう見られていましたか。
里見 方針が難しいかなと思っていたので、自分の棋風に合わせて指していました。
―― 勝ちになったと思われたのはどの局面でしょうか。
里見 最後の△8七銀成(122手目)と角を取ったところです。
―― これで2連勝スタートとなりました。第3局以降の抱負についてお願いします。
里見 間隔が短いのですが、コンディションを整えて挑めたらと思います。
―― 最後に、本局は小学校の跡地というホテルでの対局でした。どのような感想をお持ちですか。
里見 とてもきれいなところで、昨日から細かい部分までお気づかいいただいたのを実感していたので、本当にありがたいなという気持ちでいました。
(敗れた西山朋佳白玲)
―― ▲3七銀は研究手でしたでしょうか。
西山 ひとつのある展開かなと。
―― 中盤は強気の応酬が続きました。どのような方針や意識で指されていましたか。
西山 割りと手なりに指していたつもりでした。
―― 一局を振り返られて、ポイントはどのあたりにあったと思われますか。
西山 結構形勢が揺れ動いたのかなと思います。色々ありましたので、これから精査したいです。
―― 2連敗スタートとなりました。第3局以降の抱負をお願いいたします。
西山 間隔が短いですけど、気持ちを切り替えて挑みたいです。
―― 本局は小学校の跡地というホテルでの対局でした。どのような感想をお持ちですか。
西山 ところどころ名残があって、ユニークな造りで楽しく過ごさせていただきました。スタッフの皆様にも本当にサポートしていただきました。



第2期ヒューリック杯白玲戦七番勝負第2局、▲西山-△里見戦は126手までで、里見女流五冠の勝ちとなりました。終局時刻は18時3分。消費時間は、▲西山4時間0分、△里見3時間56分(チェスクロック使用)。勝った里見女流五冠は2勝0敗、敗れた西山白玲は0勝2敗となりました。
厳しい王手が決まりました。6九に合駒をすると、△6九同桂成▲同金に△5六飛成と角を取られて厳しいです。この局面で、西山白玲は持ち時間を使いきりました。ここからは1手60秒未満での着手になります。
△8六銀打の飛車取りで、先手玉の寄せに向かった里見女流五冠。飛車が縦に逃げると△7七歩成が厳しく、▲6七飛は△6六歩で飛車の逃げ場がありません。控室では、里見女流五冠が優勢になったといわれています。しかし、西山白玲も▲6四歩△同金に▲7六角の勝負手を繰り出しました。
角のただ捨てで懸命に食らいついています。








西山白玲は後手の攻めに乗じて、駒をぶつけていきます。△4六同銀▲同歩は、次に▲3六角で拠点を取り除け、▲5四角の王手も可能になります。里見女流五冠は△7六歩とじっと垂らし、手を渡します。手番を得た西山白玲は、▲8五桂△8四金▲7四歩と果敢に踏み込んでいきます。いよいよ、局面は終盤戦の入り口を迎えました。





上図は里見女流五冠が△2八歩と手裏剣を飛ばした局面です。▲2八同金も▲同銀も△7五歩で角を移動させてからの△3六桂が、厳しい追撃となります。考慮中に西山白玲の残り時間が1時間を切りました。歩を放置して攻め合うか、受けに回るか、ひとつの岐路といえる場面を迎えています。



