記者会見(1)
―― 対局を終えられた、いまの心境は。
西山 4時間の持ち時間で七番勝負は女流棋戦唯一です。1週間おきの早いスパンで対局が進んでいくので、始まるとあっという間に感じました。今期は激戦の将棋が多く、最後は運にも助けられましたが、充実した期間を過ごせました。
―― 今シリーズを振り返っていちばん印象に残った対局は。
西山 シリーズとしては第2局が最も印象に残ります。序盤から内容が濃く、自信を持って指した手が悪手だったり、中盤から終盤に入るところで自分の感覚にない手が最善だったりしました。
―― 新規定で白玲5期獲得で棋士になる資格が与えられます。
西山 ヒューリック様には女流棋界の価値を高めていただき、本当に感謝しています。今期も激戦続きで、今日も何度も負けを意識しましたが、目の前の一局に集中してきたことが今回の結果に結びついたと感じています。目の前の対局に集中して、1年後の防衛戦に向けて鍛錬を積むことが自分にできることかなと思います。
―― 福間女流六冠の印象について。
西山 中飛車という戦法を突き詰められていて、熟練の息に達しておられるのかなという印象です。ご本人のみ知る中飛車の手筋や指し回しなど、自らの色を持たれている印象で、全体として完成度の高い将棋を指されていると思います。
―― 4時間という持ち時間について。
西山 わたしの中では長いほうですが、今期は序盤から濃密な展開になりがちで、4時間があっという間に感じる対局もありました。特に第2局は要所でもっと時間を使うべきだったと思いますし、時間配分の難しさを感じた一局でした。
―― 昨年に棋士編入試験を受験され、あと一歩のところで棋士の夢に届かなかった。棋士についての思いは。
西山 棋士編入試験が終わってから女王のタイトルを失冠しました。体調の件もあって満身創痍になりながらやって、ここまであっという間でした。福間女流六冠には冠数も実績も上回られておりますし、この流れを変えられるかというのが課題でした。これからも対局は続きますし、まだ体調も日によって変わります。落ち着いて今後のことを考えるのが難しいですので、ゆっくり考えていきたいと思っています。
―― 白玲というタイトルについての思いについて。
西山 いつも対局者として参加させていただき、いい経験を積ませていただいています。白玲といえば西山、という印象を持っていただけるのなら光栄ですし、それぞれのシリーズを思い返しても、ギリギリの勝負の積み重ねでした。これからも気を引き締めて頑張りたいと思います。
(書き起こし=武蔵、写真=潤)