――▲3七桂(47手目)は決断の一手に見えました。
西山 飛車(の移動)に手をかけられたのを見て、跳ねてみようという気になったんですけれど、変化は多かったですが、本譜は手になったのかなと思います。
――ペースを握ったと思われたところは。
西山 桂得が確定した局面で、形勢はいいはずと思って指していました。
――それ以降、優勢と思われた局面は。
西山 ▲3四桂(81手目)で速度勝ちできているかなと思いました。
――勝ちを意識されたのは。
西山 最後、(▲4二)角を打って必至がかかりそうだったので、そこで勝ちになったかなと思いました。
――2局目に向けての意気込みは。
西山 すぐに第2局がくるので、いい状態で臨めたらと思います。
【敗れた渡部女流三段の談話】
――△6五桂(50手目)は決断の一手だったと思いますが、いかがでしたか。
渡部 桂を取られる前にという方針だったのですが、誤算があって無理攻めになってしまった印象でした。
――誤算というのは、どの辺りだったのでしょうか。
渡部 思ったよりさばけなかったといいますか、桂を跳ねずにほかの手段があったのかなと。
――苦しくなったと思われたところは。
渡部 飛車金交換になってハッキリ悪くしたと思いました。
――2局目に向けて。
渡部 一週間後ですし、しっかり体調を万全にして次も臨むだけかなと思います。
105手で西山女流三冠が開幕局を制しました。終局時刻は16時50分。消費時間は、▲西山3時間3分、△渡部3時間46分。第2局は9月18日(土)石川県金沢市「ホテル日航金沢」で行われます。
図は16時頃の局面。持ち駒の金を3一に投入して▲3二飛成を防いだところです。後手はこのあと△3六桂と設置して、△3九角成▲同銀△3八歩を狙うのが急所になりますが、駒不足の感は否めません。西山女流三冠がリードを広げていると見られています。
対局場の「グランドニッコー東京 台場」は、ゆりかもめ「台場駅」に直結しているシティホテル。その土地と建物は、本棋戦を主催しているヒューリック株式会社が所有しています。
過去のタイトル戦では、第89ヒューリック杯棋聖戦第2局、第1期ヒューリック杯清麗戦第1局も同地で行われました。
(対局場のホテルからゆりかもめ線の下をくぐると、レインボーブリッジが見えてくる)
(お台場のシンボルである自由の女神像とレインボーブリッジ。あいにくの曇り空で見えづらいが、奥には東京タワーがそびえ立つ)
(こちらは対局前夜の22時頃に撮影したもの。コロナ禍の影響で、レインボーブリッジのライトアップの消灯時間が24時から20時に早まっている)
図は14時20分頃の局面。互いに一歩も引かず、激しい中盤戦が繰り広げられています。先手は玉側の桂を攻めに運用しているので、一直線の攻め合いはリスクを伴いそうです。次は▲5五歩と押さえる手があるので、後手も黙ってはいられません。