2023年10月28日 (土)

記者会見

感想戦の後、西山新白玲の記者会見が行われました。

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【記者会見質疑応答】

――タイトルを奪還して、いまのお気持ちは。
「白玲戦のタイトル奪還が決まりまして、大変嬉しく思っております。番勝負が始まってからは、あっという間に対局が進行したなと思っておりまして。その中で、序盤の段階で負けになってしまう将棋だったりとか、そういったことが課題になっていたので。なんとか、そうならないようにということを意識しながら、番勝負を進めていたので。今期は大きく作戦負けになる将棋は少なかったのかなと、そこはよかった点かなと思っています。ただ、中盤で負けになってしまうような内容のものが今期は多かったので。そこは今後の課題なのかなと思っています」

――ハードスケジュールだったと思いますが、体調管理等はいかがでしたか。
「自分では気を付けていたつもりで、快調な時期もあったのですけれども。少し気を抜いてしまって(体調を)崩してしまった面もあって。その点に於いては、周りの皆様にご迷惑をおかけしてしまったなと、申し訳なく思っております。あらためて、対局が続く中で、しっかり体調を整えることも、タイトル戦に出させていただくうえで、義務の一つだと思っているので。今後はもっと体力をつけて、体調を崩さないように頑張っていきたいと思っています」

――今回のタイトル奪取で、女流棋界のタイトルを里見女流四冠と4つずつ分け合うことになりました。そのことについて感想をお願いします。
「一時、形だけ運よくそうなっている面もあるかなと思っていまして。里見さんは本当にお強い方だと思っていますので。少しでも追いついていけるように頑張りたいなと思っています」

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――白玲戦というタイトルへの思い入れを聞かせてください。
「女流棋界全体を底上げしていただいた大きな棋戦の一つだと思っておりますので、、私を含め、女流棋士のみなさんが日頃よりありがたく思っている棋戦だと思っています。A級の方はもちろん、みなさんが本当に目指すところであるタイトルだと思っているので。そのタイトルを1年預かるということで、身が引き締まる思いを感じております」

――昨年、白玲のタイトルを失冠してから、1年で復位されたことについて、思いを聞かせたください。
「今期のリーグ戦は、一戦一戦、大変なところがあって。なんとか挑戦者になれたという感じだったのですが。タイトル戦に進めたときは、前期、失冠してしまった第7局の将棋が、ちょっと不完全燃焼で終わってしまった部分もあったので。今回、第7局を迎えるに当たって、悔いのない将棋を指したいという気持ちが強かったので。今日は自分なりに、いまの棋力はしっかり出せたかなというところで、そこはよかったかなと思っています」

――3勝してから、2連敗で第7局を迎えました。どういう気持ちで臨まれましたか。
「第5局、第6局は、完敗という内容の将棋だったので。とにかく、その反省点を、短期間ですけど克服して、最終局に挑みたいなと思っていました」

Img_5376 主催のヒューリック株式会社、西浦会長から花束が贈呈された。

Img_5397 新白玲として揮毫した色紙を持って記念撮影。

以上でヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負の中継を終わります。
ご観戦誠にありがとうございました。

感想戦の様子

Img_5298 感想戦の様子。

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Img_5350 深々と一礼をかわして今期の七番勝負が幕を閉じた。

このあとは西山新白玲の記者会見が行われます。

終局直後

Img_5260 終局直後の様子。

Img_5264 両者にインタビューが行われた。

【西山新白玲の談話】
――本局の駒組みの狙いはいかがでしたか。
「やってみたい形の一つではありました。手厚さもあるので、ある戦型かなと思っていました」

――午前中までの進行の手応えはいかがでしたか。
「こちらから▲5六歩(55手目)と動いたのですけれど。難しいかなと思っていました」

――午後に入りまして、▲9五角(67手目)がいい手だったのかなと評判でした。そのあたりはいかがでしたか。
「もしかしたらある筋かなと思っていたのですが。(後手の)5四銀が浮いているので、手になっていてもおかしくないかなと思っていました」

――その後は攻めがつながる形になりましたが、形勢判断はいかがだったでしょうか。
「見えていない受けが飛んできていて、難しいかなと思っていたところで、▲2六歩(81手目)が見えたので、少し残しているのかなと思っていました」

―― 一局を総括して、どのような将棋でしたか。
「こちらから動いていって、▲8二歩(63手目)と桂頭に打ったあたりが、細いながらも手になっているかもしれないなと思っていました」

――これで4勝3敗で白玲のタイトル奪取となりました。シリーズを振り返っての感想を聞かせてください。
「タイトル戦が進行していく中で、その時々の課題だったりを考えながら指していたところもあって。前期は序盤でダメにするような将棋も多かったので。今期は、その点においては、少しマシだったのかなという感じがしています」

――これで女流四冠に復帰されました。そのことについて感想は。
「まだまだ実力不足なところも多いと思っているので。そういったところを克服していけるように頑張りたいと思っています」

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【里見前白玲の談話】
――序盤、△5五歩(28手目)から△5四銀(32手目)が思い切った構想に見えましたが、その辺りは予定していた手順でしたか。
「ある形かなと思っていました」

――昼休前までの手応えはいかがでしたか。
「比較的ゆっくりした展開になったのですが、少し、何か、昼休前までに組み立てを考えなければいけなかったかなと思いました」

――△2五桂(56手目)と跳ねていった辺りの形勢判断はいかがでしたか。
「△2五同飛(58手目)と取った形が、(敵陣に)近くて攻めづらい形になるので。できれば他の順を選びたかったのですけど。ちょっと見えなくて。少し自信がないのかなと思っていました」

――▲9五角(67手目)と出られたところで長考になりました。この辺りは、どのようなことを考えておられたのでしょうか。
「一見、受けがあるのかなと思っていたのですけど。こちらの大駒が一瞬働きが凄く弱いので。ちょっと思わしい受けが見えなかったです」

――負けにしたなと思ったのはどの辺りでしたか。
「▲9五角にいい受けが見えなかったので、だいぶ苦しくしてしまったかなと」

――今期のシリーズを通して印象を聞かせてください。
「いい将棋を落としてしまう対局がありましたし、一方的な内容もあったので。それがいまの実力だと思うので、見つめ直すいい機会になったかなと思います」

西山女流三冠が白玲獲得

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この局面で里見白玲が投了しました。終局時刻は17時5分。消費時間は、▲西山3時間11分、△里見3時間52分。
本局の結果、西山女流三冠が4勝3敗で勝ち越しを決め、1年ぶり2期目となる白玲の獲得となりました。

(独楽)

西山女流三冠が決めに出る

202310288916時54分、西山女流三冠が銀を捨てて決めに出ています。
「豪快に行きましたね。簡単に決まっているというわけではありませんが、△9一同玉に▲9三歩と打っていくつもりだと思います」(深浦九段)

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西山女流三冠の長考

2023102878時刻は16時半を回りました。ここまで、あまり時間を使わずに攻め続けてきた西山女流三冠ですが、図の局面で30分以上手を止めています。控室でも、先手優勢は間違いないものの、はっきり勝ち筋と言える寄せは見つかっていません。ここで決定的な差をつける一手を指せるのか、里見白玲が追い上げることになるのか。終盤の勝負どころです。

Img_5088 優勢と見られている西山女流三冠が手を止めている。

里見白玲の長考

2023102868▲9五角(67手目)と出られて、里見白玲は1時間4分の長考に沈みました。指された手が図の△6四角です。十字飛車の筋を消しながら△5五桂の反撃を見せた味のいい手ながら、それ以上に▲7五桂の攻めが厳しく、後手が苦しい状況に変わりはないと見られています。
△6四角を指したところで里見白玲の残り時間は51分に。西山女流三冠は3分の少考で▲7五桂を指して、残り時間は1時間55分です。

Img_5199 苦しい長考に沈んだ里見白玲。

午後のおやつ

15時を回り、対局者のおやつが運ばれました。注文は西山女流三冠が「浅草銘菓盛り合わせ(芋ようかん、あんこ玉、どら焼き)」、「烏龍茶」。この他に昼食休憩明けに「アイスコーヒー」と「マンゴージュース」を注文している。里見白玲が「赤い果実のドルチェ 3種のベリーソース」、「季節のフルーツ(林檎、マスクメロン、イチジク、マスカット、温州みかん、パパイヤ)」、「ミルクティー(アイス)」、「パイナップルジュース」。

Img_5255 西山女流三冠の注文。
午前と同じものだが、ホテルのご厚意で雷おこしが追加されている。

Img_5247 里見白玲の注文(赤い果実のドルチェ)。

Img_5250 里見白玲の注文(季節のフルーツ)。

鋭い踏み込み

2023102860図は14時過ぎの局面。
控室では▲3一角成ぐらいかと見られていましたが、西山女流三冠は8分の少考で▲9五歩と攻めかかりました。以下△同歩に▲8二歩△同玉▲8五歩△9三銀▲9五角(下図)と進んでいます。

2023102867現局面を見て「居飛車等の私には、なかなか踏み込めない順ですが、西山女流三冠は練習将棋などで指したことがあるか、考えたことがあるのかもしれませんね。西山女流三冠の高い経験値を生かした鋭い踏み込みだと思います」と深浦九段が言っています。
西山女流三冠が機敏な仕掛けと鋭い踏み込みで主導権を握ったようです。

Img_5209_2 西山女流三冠が鋭い踏み込みで一歩リードしたか。

Img_5232 控室には相川春香女流初段と宮澤紗希女流2級が来訪して継ぎ盤を挟んでいる。

現地大盤解説会

現地、浅草ビューホテルで大盤解説会が14時から始まりました。
(事前申込制で締切り済みです)

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Img_5219 解説は金井六段。

Img_5222 聞き手は井道女流二段。

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