第2期三番勝負

2012年10月27日 (土)

豪華な顔ぶれ

控え室にはたくさんの棋士が姿を見せている。井上慶太九段、東和男七段、村田智弘六段、稲葉陽六段、菅井竜也五段、里見香奈女流四冠、長谷川優貴女流二段、香川愛生女流1級。そうそうたる顔ぶれだ。控え室には大盤解説の様子もモニタに映っているので、それを見て話が弾んでいる。

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(解説会場では菅井五段と香川女流1級が担当中)

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「トラウマです」

4階では大盤解説会が始まった。トップバッターは船江恒平五段と村田智穂女流二段。船江五段は加古川出身、第1期の覇者でもある。

船江 三段リーグに行ったとき、一番強いと思ったのが伊藤さんです。永瀬さんとの対局では忘れられない将棋がありまして。よく覚えてるんですよ。投了図は自分はガチガチの穴熊なんですけど、敵陣に竜が2枚あって、こっちはこれ(穴熊)以外全部永瀬さんの駒で。
村田 トラウマになるような。
船江 トラウマですよもう。

自分が出演しているBAN-BANネットワークスのセールストークも巧みに織り交ぜるなど、流れるような話で会場を沸かせていた。

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戦型はダイレクト向かい飛車

_11▲7六歩△3四歩▲2六歩の出だしで始まった本局。両者とも振り飛車党ゆえにまずは戦型が注目されたが、永瀬五段が居飛車を志向して対抗形を目指す格好になった。伊藤四段の作戦は角交換から△2二飛とダイレクトに2筋へまわる向かい飛車。これが成立するなら△4二飛の途中下車をせずにすむため、後手が得をする。▲6五角(図)は「それは許せない」ととがめる最強の手だ。これには△7四角と打ち返すのが定跡で、以下(1)▲4三角成△4二金と(2)▲7四同角△同歩▲7五歩という2つの大きな変化がある。永瀬五段が選んだのは後者。ところがそこから1歩損して角を敵陣に打ち込む大胆な順で仕掛けていった。
_27珍しい指し方だが、プロの間では知られている順だという。稲葉陽六段は「先手の指し方は『ちょっと無理』という認識だと思います」と話した。永瀬五段の研究が出るのだろうか?
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(13時過ぎの控え室)

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対局開始

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振り駒まで

先に入室したのは永瀬五段。続いて伊藤四段が入室し、一礼ののち駒を並べていく。振り駒は加古川市の樽本庄一市長が行った。1回目は1枚が立って振り直し。2回目の結果も……なんと振り直し。「珍しいですよ、これは」と淡路九段。3回目は歩が3枚出て、永瀬五段の先手に決まった。

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揮毫

検分が終わり、両対局者は隣の部屋で揮毫を始めた。写真にある色紙は、前夜祭でのプレゼントになるそうだ。伊藤四段は連盟書道部に通っていることもあり、手慣れた様子ですらすらと書き上げていく。永瀬五段の揮毫は文字通り根性が入っていそうな筆致だ。

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(揮毫の間に駒を撮影した。静山作、菱湖書。御蔵島黄楊赤柾に薄斑入り)

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検分

予定を早めて10時50分頃から対局室の検分が行われた。はじめに駒を確認、続いてふすまを閉めて明るさを確認。少しだけ暗くなったが、淡路九段が「私みたいにぐうっと前に乗り出さなければ大丈夫やろ」。最後は空調の確認。「入れると音が……」と関係者が話し、スイッチを入れるとブウウと大きな音がして一同苦笑い。今日は過ごしやすい気温で、使う必要はなさそうだ。

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記念撮影

10時40分頃、4階の解説会場に関係者が集まった。撮影のために永瀬五段と伊藤四段が握手を交わす。

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(左から立会人の淡路九段、永瀬五段、伊藤四段、慶田三段)

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準備進む

対局室は3階、大盤解説会場は4階にある。大盤解説会は各対局の開始とともに始まり、事前申し込み不要、参加費も無料だ。4階の解説会場では、本棋戦共催のBAN-BANネットワークスによって映像関係の準備が進められていた。このあとは11時から検分の予定。

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加古川駅から会場ヘ

JR加古川駅から南東へ進むと、しばらくして市役所が見えてくる。会場の「加古川市立青少年女性センター」はそのすぐ近くだ。入り口には本棋戦の開催を知らせる立看板が出ていた。

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