「日本将棋連盟のホームページのコラムで渡辺弥生女流二段が書かれました、今期の白玲戦七番勝負の展望が掲載されています。その中の一文で、西山白玲と福間女流五冠の将棋を風林火山に例えていらっしゃいました。挑戦者の福間女流五冠の将棋は、徐かなること林の如く、動かざること山の如しと。そして、西山白玲の将棋は、疾きこと風の如く、侵掠すること火の如しと。きっとみなさまの中でもイメージが浮かんでいらっしゃるのではないかなと思います。いよいよ明日から女流棋界最高峰を決める七番勝負が始まります。どうぞみなさま第1局からご期待ください」
(書き起こし=八雲)
(対局への意気込み 西山朋佳白玲)
「白玲戦は今回で4度目のタイトル戦になりますが、そのすべてに出させていただいておりまして。本当に、そのたびに大きな気付きと学びをいただいている、得難い棋戦だとありがたく思っております。今回のシリーズに於きましても、番勝負を終えたあとに学びのある時間だったと思えるように、精一杯頑張りたいと思いますので、見守っていただけますと幸いです」
(対局への意気込み 福間香奈女流五冠)
「ただいま妊娠しておりまして、そのことにもご理解とご配慮をたまわりましたことを感謝申し上げます。今期の白玲戦は、いつもと違った状況ではありますが、自分の全力を尽くして戦っていきたいと思います。ファンのみなさまにも注目していただけますと大変嬉しく思います」
(書き起こし=八雲)
18時より前夜祭が行われました。その模様をお伝えします。
(主催者挨拶 西浦三郎・ヒューリック株式会社代表取締役会長)
「白玲戦の第2期、第3期は、このお二人で七番勝負を戦って、いずれも第7局まで戦われた。女流棋界の両巨頭が再び戦うということで、明日からの熱戦を期待したいと思っております」
(主催者挨拶 羽生善治・公益社団法人日本将棋連盟会長 )
「西山白玲は来月からプロ棋士編入試験を受けることになっています。タイトな日程になるとは思いますが、素晴らしい戦いをしていただければと思っています。福間女流五冠はご懐妊されました。誠におめでとうございます。将棋連盟としても出来る限りのサポートをしていきたいと思っております」
(書き起こし=八雲)
対局検分は、16時前に開始されました。室温や部屋の明るさは問題なく、盤駒(日本将棋連盟所蔵)の確認もすぐに終わりました。両対局者が念入りにチェックしたのは、椅子です。10分ほどの検分のうち、大半が割かれました。
長時間の対局を最後まで問題なく行うためには、体の負担を和らげるのが何よりも欠かせません。ふたりは数種類の椅子や座布団、クッションの組み合わせを試し、座り心地のよいスタイルを模索していました。
(先に入室したのは西山白玲。着席後、すぐに「和服を着るので、この椅子だと小さい」と要望があった)
(西山白玲の椅子を取り換えている間、福間女流五冠が入室した)
(西山白玲は最後に提案された椅子に、座布団を2枚敷き、背もたれ用のクッションを置くことで了承した)
西山朋佳白玲に福間香奈女流五冠が挑戦する、第4期ヒューリック杯白玲戦七番勝負が開幕します。西山白玲は4年連続、福間女流五冠は3年連続の七番勝負登場です。第2期は福間奪取、第3期は西山奪取、いずれもフルセットの決着になっています。はたして、今期はどうなるでしょうか。
第1局は8月31日(土)、東京都港区「グランドニッコー東京 台場」で行われます。対局開始は9時。持ち時間は各4時間(チェスクロック使用)、使い切ると1手60秒未満での着手となります。昼食休憩は12時から1時間です。第1局の先後は振り駒で決定します。
立会人は野月浩貴八段、記録係は竹部さゆり女流四段が務めます。村中秀史七段と小高佐季子女流初段による現地大盤解説会は、すでに申し込みが締め切られています。
本局の中継は、棋譜コメントを八雲、ブログを紋蛇が担当します。よろしくお願いします。
★お知らせ★
福間女流五冠よりテーブル・椅子での対局と和服非着用の要望があり、本シリーズは特例で認められることになりました。詳細は日本将棋連盟HPをご覧ください。
【白玲戦七番勝負における福間香奈女流五冠への対応について】
https://www.shogi.or.jp/news/2024/08/post_2462.html
【主催:ヒューリック株式会社】
https://www.hulic.co.jp/
【対局場:「グランドニッコー東京 台場」】
https://www.tokyo.grandnikko.com/
感想戦の後、西山新白玲の記者会見が行われました。
【記者会見質疑応答】
――タイトルを奪還して、いまのお気持ちは。
「白玲戦のタイトル奪還が決まりまして、大変嬉しく思っております。番勝負が始まってからは、あっという間に対局が進行したなと思っておりまして。その中で、序盤の段階で負けになってしまう将棋だったりとか、そういったことが課題になっていたので。なんとか、そうならないようにということを意識しながら、番勝負を進めていたので。今期は大きく作戦負けになる将棋は少なかったのかなと、そこはよかった点かなと思っています。ただ、中盤で負けになってしまうような内容のものが今期は多かったので。そこは今後の課題なのかなと思っています」
――ハードスケジュールだったと思いますが、体調管理等はいかがでしたか。
「自分では気を付けていたつもりで、快調な時期もあったのですけれども。少し気を抜いてしまって(体調を)崩してしまった面もあって。その点に於いては、周りの皆様にご迷惑をおかけしてしまったなと、申し訳なく思っております。あらためて、対局が続く中で、しっかり体調を整えることも、タイトル戦に出させていただくうえで、義務の一つだと思っているので。今後はもっと体力をつけて、体調を崩さないように頑張っていきたいと思っています」
――今回のタイトル奪取で、女流棋界のタイトルを里見女流四冠と4つずつ分け合うことになりました。そのことについて感想をお願いします。
「一時、形だけ運よくそうなっている面もあるかなと思っていまして。里見さんは本当にお強い方だと思っていますので。少しでも追いついていけるように頑張りたいなと思っています」
――白玲戦というタイトルへの思い入れを聞かせてください。
「女流棋界全体を底上げしていただいた大きな棋戦の一つだと思っておりますので、、私を含め、女流棋士のみなさんが日頃よりありがたく思っている棋戦だと思っています。A級の方はもちろん、みなさんが本当に目指すところであるタイトルだと思っているので。そのタイトルを1年預かるということで、身が引き締まる思いを感じております」
――昨年、白玲のタイトルを失冠してから、1年で復位されたことについて、思いを聞かせたください。
「今期のリーグ戦は、一戦一戦、大変なところがあって。なんとか挑戦者になれたという感じだったのですが。タイトル戦に進めたときは、前期、失冠してしまった第7局の将棋が、ちょっと不完全燃焼で終わってしまった部分もあったので。今回、第7局を迎えるに当たって、悔いのない将棋を指したいという気持ちが強かったので。今日は自分なりに、いまの棋力はしっかり出せたかなというところで、そこはよかったかなと思っています」
――3勝してから、2連敗で第7局を迎えました。どういう気持ちで臨まれましたか。
「第5局、第6局は、完敗という内容の将棋だったので。とにかく、その反省点を、短期間ですけど克服して、最終局に挑みたいなと思っていました」
新白玲として揮毫した色紙を持って記念撮影。
以上でヒューリック杯第3期白玲戦七番勝負の中継を終わります。
ご観戦誠にありがとうございました。
【西山新白玲の談話】
――本局の駒組みの狙いはいかがでしたか。
「やってみたい形の一つではありました。手厚さもあるので、ある戦型かなと思っていました」
――午前中までの進行の手応えはいかがでしたか。
「こちらから▲5六歩(55手目)と動いたのですけれど。難しいかなと思っていました」
――午後に入りまして、▲9五角(67手目)がいい手だったのかなと評判でした。そのあたりはいかがでしたか。
「もしかしたらある筋かなと思っていたのですが。(後手の)5四銀が浮いているので、手になっていてもおかしくないかなと思っていました」
――その後は攻めがつながる形になりましたが、形勢判断はいかがだったでしょうか。
「見えていない受けが飛んできていて、難しいかなと思っていたところで、▲2六歩(81手目)が見えたので、少し残しているのかなと思っていました」
―― 一局を総括して、どのような将棋でしたか。
「こちらから動いていって、▲8二歩(63手目)と桂頭に打ったあたりが、細いながらも手になっているかもしれないなと思っていました」
――これで4勝3敗で白玲のタイトル奪取となりました。シリーズを振り返っての感想を聞かせてください。
「タイトル戦が進行していく中で、その時々の課題だったりを考えながら指していたところもあって。前期は序盤でダメにするような将棋も多かったので。今期は、その点においては、少しマシだったのかなという感じがしています」
――これで女流四冠に復帰されました。そのことについて感想は。
「まだまだ実力不足なところも多いと思っているので。そういったところを克服していけるように頑張りたいと思っています」
【里見前白玲の談話】
――序盤、△5五歩(28手目)から△5四銀(32手目)が思い切った構想に見えましたが、その辺りは予定していた手順でしたか。
「ある形かなと思っていました」
――昼休前までの手応えはいかがでしたか。
「比較的ゆっくりした展開になったのですが、少し、何か、昼休前までに組み立てを考えなければいけなかったかなと思いました」
――△2五桂(56手目)と跳ねていった辺りの形勢判断はいかがでしたか。
「△2五同飛(58手目)と取った形が、(敵陣に)近くて攻めづらい形になるので。できれば他の順を選びたかったのですけど。ちょっと見えなくて。少し自信がないのかなと思っていました」
――▲9五角(67手目)と出られたところで長考になりました。この辺りは、どのようなことを考えておられたのでしょうか。
「一見、受けがあるのかなと思っていたのですけど。こちらの大駒が一瞬働きが凄く弱いので。ちょっと思わしい受けが見えなかったです」
――負けにしたなと思ったのはどの辺りでしたか。
「▲9五角にいい受けが見えなかったので、だいぶ苦しくしてしまったかなと」
――今期のシリーズを通して印象を聞かせてください。
「いい将棋を落としてしまう対局がありましたし、一方的な内容もあったので。それがいまの実力だと思うので、見つめ直すいい機会になったかなと思います」