(謝辞を述べる上野四段)
「皆様、こんにちは。今日は大盤解説会場にお越しいただきまして、ありがとうございます。私は加古川市出身で、加古川青流戦には非常に特別な思いがあります。今回、決勝までこられ、頑張って優勝しようという強い思いを持って臨みました。内容を振り返ると途中は結構苦しい場面も多く、非常に大変な戦いでしたが、優勝という結果を出せて本当にうれしく思っております。加古川をはじめ、大勢の将棋ファンの皆様には私がプロになる前からたくさん支えていただき、応援していただきましたので、何とか恩返しが少しできたかなと思っております。これからも活躍を続けて、皆様に喜んでいただけるように頑張っていきたいと思っております。これからもよろしくお願いします。本日はありがとうございました」
(岡部四段もしっかりと自分の言葉で話した)
「決勝の相手が上野さんで、加古川出身だし、大盤解説会も井上一門の方ばっかりだし。いやあ、正直、敵地に乗り込むような感じだったのですが。2連敗という結果に終わってしまい、情けないです。自分としては今日勝って第3局につなげたかったのですが、それもかなわなく、皆さん暇になってしまって申し訳ないです(場内爆笑)。こういう大きな舞台は棋士になって初めてで、自分にとっていろいろ初めての体験をさせていただいて、今後の棋士人生の糧となるよう、成長していきたいと思います」
(挨拶に立つ脇専務理事)
「昨日も今日も大変な熱戦で、ドキドキワクワクしながら私も観戦させていただきました。岡部さんにとっては残念な結果になってしまいましたが、実力を示されたように思います。上野さんは秒読みになってからの勝負強さが光った内容かなと感じました。この二人、どんどんこれから上で活躍してくると思いますので、是非、名前と顔を覚えていただきまして、応援していただきますようによろしくお願いします。先ほどファンの方から岡部さんのプラカードではないですが、何か見せていただきまして、青流戦も全国区の大会になった感じがします」
(岡田市長も挨拶に立った)
「昨日も今日も大盤解説会場は人でいっぱいで、将棋人気は本当にすごいと思いますね。上がり下がりのブームではなく、ずーっと高い状態でどんどん広がっているような人気ぶりを私たちも感じています。先代の市長の頃から『棋士のまち加古川』と標榜させていただいているのですが、本当によかったなあと思いますし、加古川市も将棋人気にあやからせていただいて、将棋の振興に一緒に頑張っていきたいと思っております。優勝されました上野さんは加古川の観光大使でもいらっしゃいますが、この優勝をひとつの弾みにしてどんどん頑張っていっていただきたいと思っています。岡部さんも、私もいろいろ過去の戦績を拝見しましたが、本当に期待をされている方だと伺っています。先ほど『アウェー感がありました』というのをネタにできるあたりのトーク力に、また違う才能も持たれた方だと横から見ていて思った次第です(場内笑)。過去の青流戦の優勝者、準優勝者もタイトル戦に絡むようなご活躍をされていますし、上野さんも岡部さんもこれから将棋界をにぎわしてくださるお二人になると思いますので、ますますのご活躍を期待しております。(岡部四段のほうを向いて)決してアウェー感を感じないでください。もう会場の加古川で指していただいたら、皆様も私たちもファンになって今度から応援していきます。上野さん同様に頑張ってください」
――地元の棋戦で優勝した感想、喜びの声を
上野 私は加古川市出身で、やはりこの加古川青流戦には特別な思いがあったので、優勝という結果はうれしく思います。
――地元で注目され、プレッシャーは
上野 いや、そこまではなくて。岡部先生は強敵なので、精一杯指そうという思いで臨みました。
――第2局を振り返って
上野 序盤の構想でうまくいかず、秒読みに入ったあたりは苦しいと思って、そこからずっと自信のない展開が続きました。最後はどうなっているか、よく分からなかったです。
――第1局(千日手指し直し局)も含めて優勝できた要因は
上野 第1局、第2局と途中は苦しい場面はあったと思うので、粘り強く指せたことがよかったと思いますが、課題も多く見つかったと思います。
――今後の抱負は
上野 改善点はたくさんあると思いますので、より努力を続けて活躍できるように頑張りたいと思います。
――棋戦優勝2回目。その点について
上野 結果を残せたことはすごくうれしいのですが、活躍できている棋戦とあまり勝っていない棋戦の差が結構あると思っているので、これからはほかの棋戦でも活躍できるように頑張りたいなぁという思いです。
――三番勝負開幕まで公式戦の対戦成績2勝0敗が有利に働いたか(※注 奨励会三段リーグ戦では4度の対戦があり、4勝0敗でもあった)
上野 そんなことはなく岡部先生は今年度、すごく好調だったので、本当に強敵だと思って臨みました。
――第2局を中心に振り返って
岡部 序盤はそんなに経験のある形ではなかったのですが、角を切り飛ばしていったところ(90手目△6七同角成)は自信を持って踏み込みました。最後、着地の部分でうまくいかず、そこは課題かなと思います。
――作戦面を含めてシリーズを振り返って
岡部 準備して想定していた局面から早めに外れる展開が多かったのですが、その中でもハッキリよい局面を作ることもできました。中盤、上野さんの粘り強い指し回しに決めきれず、勝ちきることがいまの自分の課題かと思いました。
――シリーズを終えて
岡部 皆さんに見ていただける舞台で将棋を指すのは自分にとって大きいことだったので、この先も活躍してそういう機会を増やせるようにしたいと思います。大盤解説会に応援しにきてくださっている方もいらっしゃるのですが、0-2というスコアはちょっと、1回は勝ちたかったというのが正直なところでした。また力をつけて、チャンスがあれば今度はつかみたいと思います。
(飛龍)
第14期加古川青流戦決勝三番勝負第2局▲上野裕寿四段-△岡部怜央四段は、145手で上野四段が勝ちました。終局時刻は13時5分。消費時間は、▲上野1時間0分、△岡部1時間0分(持ち時間各1時間、チェスクロック使用、使いきると1手60秒未満の秒読み)。
これで2連勝の上野四段の優勝が決まりました。上野四段は加古川青流戦初優勝、昨年の新人王戦に続いて2回目の棋戦優勝を果たしました。
(翔)
先手玉に詰めろがかかりにくくなり、上野四段が優勝に近づいています。
(飛龍)