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決勝戦を戦った2人のスピーチが行われました。
(大盤解説会場は医療機関のためマスクの着用が呼びかけられていますが、スピーチ後の記念撮影のみマスクを外しています)
【藤本渚四段スピーチ】
「皆さん今日はお越しいただきありがとうございます。開幕局で対局させていただいて、そこで勝って優勝したいという思いが出て、こうして優勝することができてうれしいです。新人王戦で悲しい目に遭って(注:決勝三番勝負で上野裕寿四段に1勝2敗で敗れ、準優勝)、今回は優勝できて本当によかったです。ありがとうございました」
(藤本四段は今期の開幕戦を加古川まちづくりセンターで対局している。藤本渚に始まり、藤本渚で終わった第13期加古川青流戦だった)
(三段初優勝とはならなかったが健闘した吉池隆真三段)
【吉池隆真三段スピーチ】
「本日はお越しいただき本当にありがとうございます。この加古川青流戦で対局する機会をいただいて、決勝まで来て皆様の温かい応援をいただくという、こういう機会は三段なのでなかなかなく、全力を尽くしました。勝負は2連敗で終わったのですが、加古川青流戦と新人王戦にはまた出て皆さんに知っていただけると思いますので、これからも三段・吉池隆真をよろしくお願いいたします」
(主催者あいさつ)
【羽生善治・公益社団法人日本将棋連盟会長 あいさつ】
「皆様こんにちは。今期は第13期加古川青流戦の大盤解説会並びに表彰式にお越しいただきまして誠にありがとうございました。まず長きに渡りましてこの棋戦を主催していただいております加古川市様、加古川市ウェルネス協会様、共催をいただいております神戸新聞社様、BAN-BANネットワーク株式会社様、そして多くの協賛の企業の方々に感謝申し上げます。そして見事、史上最年少でこの棋戦を優勝された藤本さん、おめでとうございます。また吉池さんも残念ながら準優勝という結果に終わったのですけれどもぜひ檜舞台での経験を生かして次からの対局も頑張ってください。
この加古川青流戦は四段の棋士、一部の三段、女流棋士、アマチュアの方、計40名で行われている大変フレッシュなトーナメント戦です。持ち時間が1時間で非常にスピーディーな戦いが繰り広げられています。これからの将棋界を担っていく人たちの登竜門という形で、棋士のまち加古川市が後進の育成に力を注いでいただき、ありがとうございます。先ほど吉池さんの話にもありましたが、若い人たちがこういった大きな舞台で注目される経験が、大変貴重な、また思い出になる出来事だと思いますし、今日会場にお越しいただいたファンの皆さんも今後もこういった若い人たちを応援していただけたらと思います。
この棋戦を今日は鶴林寺で開催したのですが、この会場もタイトル戦で使われている立派な場所で、この棋戦を様々な方に盛り上げていただいてうれしく思っております。今後ますますこの棋戦を応援していただくことをお願いいたしまして、あいさつとさせていただきます」
【岡田康裕・加古川市長】
「今日は本当にたくさんの方に最後まで残って見守っていただきました。加古川青流戦も第13期まで回を重ねることができました。これもひとえに応援してくださる皆様のおかげでございまして、羽生会長から登竜門としてと言っていただきましたが、13期ともなりますとタイトル戦に出られるような方も過去の優勝者から出てこられています。その登竜門を担っている私たちも責任を改めて持って、しっかり盛り上げていきたいと思います。いまは将棋がすごく人気でニュースが続いていますが、私たちもちょっとあやからせていただきながら、加古川としてできる限りの応援をしてまいりたいと思いますので、今後ともよろしくお願いいたします」
(翔)
(吉池隆真三段)
【吉池隆真三段 局後インタビュー】
--得意の右玉を採用した序盤はいかがでしたか。
「右玉には組めましたが穴熊になって、こちらが手待ちになってそんなに自信はなかったです」
--中盤から終盤にかけて積極的に攻めていく形になりました。
「終盤は難しいところも多かったと思いますが、難しい局面で最善手を指せていなかったなという気持ちはあります」
--これで準優勝です。2局、終えられた気持ちはいかがですか。
「2局とも難しい局面での最善が指せなかったので、そこがプロとの差なのかなと思っています」
--これから棋士を目指していくうえで、今回を踏まえた思いをお聞かせください。
「今期の加古川青流戦ではたくさんの棋士の方とさせて勉強になることが多かったので、これらを生かしてこれからの三段リーグを抜けたいと思います」
(報道陣の依頼で、マスクを外して写真撮影)
(感想戦は後ほど。一旦駒を片づける)
(このあと、大盤解説会場に移動)
(翔)
(終局直後)
(加古川青流戦史上最年少の優勝を果たした藤本渚四段)
【藤本渚四段 局後インタビュー】
--本局は雁木対右玉の戦いとなりました。序盤はどう見ていましたか。
「吉池さんは右玉が得意で、このような形になるような気がしていました。穴熊への組み換えがうまくいくかという戦いだと思っていたので、序盤はそれなりに成功していると思っていました」
--終盤に吉池さんが果敢に攻める展開になりました。
「こちらが駒得になったのと、玉の堅さが違うのを生かして戦おうと思っていました」
--どのあたりで勝ちを意識しましたか。
「△7七歩(126手目)と打たれたところで、△7七歩は勝ちだと読み切っていたので、そのあたりで勝ちを意識しました」
--これで2連勝で優勝です。お気持ちはいかがですか。
「先日新人王戦で準優勝だったので、その悔しい気持ちを晴らせた気がします」
--井上慶太九段門下の藤本四段が、(井上九段が普及に努める加古川市主催の)加古川青流戦で優勝ということについてはいかがでしょうか。プレッシャーはありましたか。
「自分も井上先生の弟子で加古川にはすごく縁があるので、市の名前がついた加古川青流戦で優勝できたのはうれしいです。プレッシャーはあったのかもしれませんが、感じないようにはしていました」
--加古川青流戦での最年少優勝記録を更新されました。(従来の記録は第3回の佐々木勇気四段、19歳)
「年齢に関してはそこまで考えていなかったです」
--今後の抱負をお聞かせください。
「加古川青流戦でまた優勝したいという気持ちもありますが、加古川青流戦は参加資格が三段と四段なので、もう1回出るよりは(五段に昇段して)これが最後になるように活躍したいです」
(うつむいて藤本四段の声を聞く吉池隆真三段)
(盤上の駒がゆがんでいる)
(翔)
第13期加古川青流戦決勝三番勝負第2局は、143手で藤本四段が勝ちました。終局時刻は12時38分。消費時間は▲藤本四段1時間0分、△吉池三段1時間0分(チェスクロック使用)。
この結果、三番勝負は藤本四段の2連勝で優勝が決まりました。
(夏芽)
7七に歩が入っていますが、藤本四段はかまわず▲5七香と打ちました。△7八歩成には▲5五香が詰めろで勝ちと見ているようです。長岡六段は先手勝勢と見ています。藤本四段の加古川青流戦史上最年少優勝が近づいています。
(翔)
端の攻防が続いています。図の▲9八歩は、8八の駒が金であるのを生かした受け重視の手。
吉池三段は△9七歩とこじ開けていきます。
立会人の長岡六段は「後手は歩が減っているのが気になりますね。歩がないと将来的に△5二歩と打てなくなったり、▲8六香の飛車取りが受けにくくなったりします。ちょっと後手の攻めが息切れしかかっている気がします」と話しています。
(翔)
△7四香と打った局面、▲8六角は△8五歩なら▲5三角成と角を切って後手の飛車先が重くなりますが、△7六香が嫌味だったようです。
本譜は単に▲5三角成と切り、△同金に▲5五香と角道を止めました。
長岡六段は「ずっと藤本四段がやや指せると思っていたのですが、後手玉がまだ堅いので大変な気がしてきました」と話しています。
(翔)