« 2021年9月 | メイン | 2022年8月 »

2021年10月

2021年10月17日 (日)

西山朋佳白玲 記者会見

お待たせいたしました。昨日の感想戦終了後に行われた、西山朋佳白玲の記者会見の模様をお届けいたします。

537

(西浦三郎・ヒューリック株式会社代表取締役会長、西山朋佳白玲、清水市代・公益社団法人日本将棋連盟常務理事が出席)

498

西浦三郎・ヒューリック株式会社代表取締役会長のあいさつ

「白玲戦は女流順位戦ということで、男性棋士の順位戦とほとんど同じシステムを採用しています。開催にあたって、将棋連盟には2つのお願いをさせていただきました。まずは、システムに厳しさを入れていただきたいということ。もうひとつは、西山さんは当時奨励会三段で、出場できるのかできないのかという問題がありました。しかし、女流棋士でいちばん強い人を決めてほしいという思いから『西山さんを出場できるようにしてほしい』とお願いをしました。ご本人は『順位づけがあり、頑張りたい』とお話になっておられましたが、本日このような形になって大変うれしく思っております。
われわれヒューリック株式会社としても、文化事業は将棋に専念をして、ご支援申し上げようと思っております。第2期白玲戦もまもなく始まりまして、今後も楽しみにしております。われわれもできる限りのご支援をさせていただこうと思っております」

507

清水市代・公益社団法人日本将棋連盟常務理事のあいさつ

「白玲戦では女流棋士が順位を争って熾烈な戦いを繰り広げてきました。将棋を知らない方々にもご注目いただけたことは、女流棋界にとって大きな財産となりました。白玲という棋戦名は、『真っ白な女流棋界のページに令和の王者が新しい1ページを刻む』『個性豊かな女流棋士が各々の思い描いた色に染めていってほしい』という思いを込めて作られました。初代白玲となられた西山朋佳白玲がこれからどのような色を描いてくださるのか、皆さまにもご期待いただければと思います」

510

(創設に深くかかわった清水常務理事、ことばを詰まらせて目頭を押さえる)

524

西山朋佳白玲 質疑応答

--初代白玲になった点についてどのようなお気持ちですか。

西山 初代白玲を預からせていただくことが決まって少し茫然とした気持ちですが、創設していただいた当初から思い描いていたビジョンでもあったので、このうえない喜びだと感じています。

--里見香奈女流四冠と並んで女流四冠を保持する結果になりました。今後に向けての抱負についてお聞かせください。

西山 ここまでは着実にタイトルを増やせてきたと思っています。白玲戦はリーグ、トーナメントと負けられない戦いが続き、ずっと勝ち続けなければいちばんいい結果は挙げられなかったので、タイトルを獲得できたことは今後の大きな自信になると思っています。女流四冠にはなりましたが、数日後には女流王将戦のタイトル戦が控えていますので、文字どおりの三日天下にならないように頑張りたいです。

--4月から女流棋士になり、女流棋戦すべてに出られるようになりました。今後の目標をお聞かせください。

西山 タイトル戦をずっと戦っていたいなと思っています。いまは目の前の対局の精一杯という部分もありますが、白玲戦で結果を出せたことが今後に大きな自信を持たらしてくれると思いますので、少しずつ目標を上げていきたいです。

--普段の勉強方法について教えてください。
西山 ひとりで勉強する時間が増えました。研究会もかなり数が減ったので、自宅で棋譜を並べるなどしています。ソフトは使わず、古風なやり方で勉強をしています。

--短期、長期的な目標はありますか。

西山 短期的な目標としては、いま戦っている2つのタイトル戦(女流王将、女流王座)でいい結果を残したいです。長期的な目標は、一局一局後悔のない将棋を指したいと思っています。

564

(記念撮影)

581

(西山朋佳白玲)

以上で第1期ヒューリック杯白玲戦七番勝負の日程が終了いたしました。七番勝負の中継をご覧いただきまして、ありがとうございました。

まもなく開幕する、第2期ヒューリック杯白玲戦・女流順位戦もお楽しみください。

2021年10月16日 (土)

感想戦

474

(西山朋佳・新白玲)

481

(渡部愛女流三段)

470

(感想戦)

感想戦終了後、西山朋佳白玲の記者会見が行われる予定です。

終局直後

461

(西山朋佳・初代白玲)

【西山朋佳女流三冠、新白玲インタビュー】

--本局を振り返ってください。

西山 早々に戦いが始まって、桂馬と歩2枚の交換になったところ(46手目付近)は、手を作られなければ自信があるのかなと思っていました。

--本局の序盤、三間飛車は予定の作戦でしたか。

西山 今日は三間飛車を指そうと思っていました。ただ、早々に想定から外れてしまっていて、△5三銀(22手目)あたりからは考えて進めていました。

--66手目△5四銀と渋く銀を引き、74手目△7四桂から反撃に移りました。形勢をどのように見ていましたか。

西山 △7四桂と打ったところは読み抜けがなければ少しいいのかなと思っていました。△5四銀の局面は馬を作られており、駒得でも難しい戦いと思っていました。

--優勢、または勝ちを意識したのはどのあたりでしょうか。

西山 本当に最後で、飛車を取ったあたり(114手目△6八歩成)で一手勝ちになっているように思いました。

--本局に勝ち、4連勝で初代白玲の座を獲得しました。

西山 長期的なスパンで戦ってきて、コンスタントに勝ち続けることが必要とされていたので、そのなかで結果を挙げることができたのは、今後の自信の源になりそうかなと思っています。

464

(七番勝負敗退となった渡部愛女流三段)

【渡部愛女流三段インタビュー】

--本局を振り返ってください。

渡部 桂馬を取った辺り(41手目▲2六歩)は大変かなと思っていましたが、進めていくうちに途中でうっかりをしてしまい、苦しくなりました。具体的に玉頭の攻め合いになったとき、▲7七桂(65手目)から手を入れましたが、そのあたりの手の入れ方がまずかったかなと思います。

--西山女流三冠の三間飛車から、35手目▲3八飛から▲4五歩と攻勢を取りました。仕掛けあたりの心境はいかがでしたか。

渡部 穴熊に組むかどうか比較して本譜を選びました。難解なのかなと思っていまして、部分的にはやってみたい仕掛けでした。

--47手目の▲6六歩~▲6五歩は先手の楽しみの多い局面だったのではないでしょうか。

渡部 昼食休憩付近は難しく、▲6六歩~▲6五歩かなと思っていましたが、そのあとの指し方は具体的にはわかっていませんでした。

--苦しさを感じた局面はどのあたりでしょうか。
渡部 △7四桂を指されて玉頭から圧力をかけられたところは、まずかったと思います。

--順位決定リーグ戦から振り返って、今期の白玲戦はいかがでしたか。

渡部 予選からずっと戦ってきて、途中危ない将棋もたくさんありましたが、タイトル戦に出られてよかったと思います。

467

(インタビューのあと、感想戦が行われている)

西山朋佳女流三冠、初代白玲に

20211016130

奈良県奈良市「ふふ奈良」「瑜伽山園地 茶室:䕪庵」で行われていた第1期ヒューリック杯白玲戦七番勝負第4局▲渡部愛女流三段-△西山朋佳女流三冠は130手までで西山女流三冠が勝ちました。終局時刻は17時2分。消費時間は、▲渡部4時間0分、△西山2時間48分。

これで4連勝の西山女流三冠のタイトル獲得が決まりました。西山・新白玲は自身初の四冠となります。女流四冠同時保持は、清水市代女流七段、里見香奈女流四冠に続く3人目。またこれで女流棋戦の8大タイトルは西山白玲(女王・女流王座・女流王将)、里見香女流四冠(清麗・女流名人・女流王位・倉敷藤花)が4つずつ分け合う形になります。

後手勝勢

20211016110

西山女流三冠は▲4五香の金取りに対して、受けずに△6七歩から寄せにいきました。後手勝勢、初代白玲誕生間近です。

073

(開始前の西山朋佳女流三冠)

渡部女流三段、一分将棋に入る

20211016105

105手目、渡部女流三段が一分将棋に入りました。西山女流三冠は1時間20分残しています。

119

(対局開始前の渡部女流三段)

後手優勢

20211016102

西山女流三冠が△7四同飛と歩を払った局面。後手が万全の体勢を築いて優勢と見られています。

458

(16時半頃、控室から見える風景。雲が広がり、暗くなってきた。夕方から夜にかけて雨が降ると予想されている)

踏ん張れるか

2021101695

図は渡部女流三段が▲7六歩と合わせた局面。△同歩には▲同金で飛車を使えるようになります。そう進めば混戦ですが、後手は取る一手とは限りません。西山女流三冠が考えています。

敗れると七番勝負敗退が決まる渡部女流三段は踏ん張りきれるでしょうか。

264

(再開時の渡部女流三段)

後手玉が堅い

2021101692

終盤戦になり、後手が指しやすくなっていると見られています。立会人の斎藤慎八段は「後手玉は8三に駒を打ち込まれても6二に逃げられるので、堅いですね」と話しています。

456

(モニターを見る斎藤慎八段。奈良県在住で、西山女流三冠の師匠である伊藤博文七段も来訪している)

鹿

045_2

(鷺池の水辺で遊ぶ鹿)

048

(道路を歩く鹿)

392

(えさを求めながら進む鹿)

412

(人間の気配に気づいた鹿)

415

(観光客の子どもが恐怖のあまり、手にしていた鹿せんべいを投げて逃げてしまった。すかさずせんべいを食べる鹿)

429

(鹿の旅は続く)