第1局終局直後
(感想戦の前に終局後インタビューが行われた)
――一日を振り返って
上野 千日手局は形勢判断が分からず、こちらは秒読みになって千日手は仕方ないかと思いました。指し直し局は序盤はまずまずだったのですが、▲1三歩成(59手目)~▲1七歩がだいぶひどくて、自信がない展開が続きました。(99手目▲6四金と)飛車を取って▲2四桂(103手目)で勝負形になったかと思います。
――今日のよかった点について
上野 (98手目)△5七馬に▲6七金と受ける手もあるのですが、飛車を取って勝負したのが結果的によかったと思います。
――持ち味は生かせたか
上野 粘り強く戦えたかなと思います。形勢を損ねてしまったので、そのあたりは課題になります。
――明日の第2局に向けて
上野 三番勝負なので、2勝しないといけません。気を引き締めて頑張りたいと思います。
――一日を振り返って
岡部 千日手局は勢いよく攻めてこられて、失敗気味かと思っていました。千日手にした判断が正しかったかどうかは分かりませんが、妥当だったかと思います。指し直し局はハッキリよくなったと思った局面もありましたが、押し切るまでは見通しが立たなくて、最後に勝負にこられたときにいい手が指せませんでした。
――今日のよかった点と課題について
岡部 序盤の作戦はうまくいっているのか謎でしたが、指し直し局はいい局面にできました。先後両方で作戦を用意しているので、千日手はさほど気になりませんでした。堅い玉形で攻めることができたのはよかったのですが、勝ちまでは持っていけませんでした。
――明日の第2局に向けて
岡部 第3局につなげられるように、精一杯指したいです。
(飛龍)



上図から△5七馬が飛車を見捨てる英断。▲6四金に△7五銀と押さえましたが、先手からも▲3一銀が飛んできました。
△3一同玉は▲7一飛、△3一同金は▲7二飛がそれぞれ王手銀取りになります。△1二玉▲2四桂△同歩▲同歩で際どい寄せ合いなりました。

後手は▲金桂△銀銀の駒得になり、猛攻に出ています。そのまま押し切れるでしょうか。



上図は△4九角の打ち込みに対して歩を成り捨てたところ。△1三同歩に▲1七歩で▲3六角が狙いになります。実現すれば桂取りで、次に▲4八飛で角を捕獲できます。
対して△6六歩がうまい手。△6七歩成を見せて▲6六同銀を誘い、△7四歩▲同金△7六角成で無事に馬を作れました。福崎九段は1筋の歩越しの香が悪い形として懸念を示しています。

指し直し局は8手目△8八角成で後手の一手損角換わりに進みました。上野四段は早繰り銀を採用して積極的に動いています。
17時頃には以下の局面まで進みました。









第1局は16時15分、83手で同一局面4回目となり、千日手になりました。消費時間は▲岡部1時間0分、△上野1時間0分(チェスクロック使用)。協議の結果、16時25分を目途に準備ができ次第、先後を入れ替えて初手から1手60秒の秒読みで指し直されます。