第2期七番勝負第3局 Feed

2022年9月 9日 (金)

開会式(2)

両対局者は、本場大島紬織物協同組合の協賛により、大島紬に身を包みました。大島紬はフランスのゴブラン織、イランのペルシャ絨毯(じゅうたん)と並んで世界三大織物の1つに数えられるといいます。着崩れにくく、夏は涼しく冬は温かいと実用性にも富んでいます。

Kaikai06 (大島紬を紹介するアナウンスに合わせて開会式参加者に全身を披露)

Kaikai07 (次いで指宿白水館の社員から花束贈呈。マスクを外して記念撮影)

さらに指宿市、鹿児島県、南さつま市、日置市から両対局者にそれぞれ記念品が贈られました。

Kaikai08(砂像で名高い南さつま市の本坊輝雄市長とともに)

次いで両対局者から意気込みが聞かれました。

Kaikai09 (西山朋佳白玲)
「今年も指宿にうかがえますことを楽しみに思っておりました。現地の皆様には様々な形で温かくお迎えいただいて、ありがとうございます。由緒ある大島紬を着させていただいて、改めて大きな舞台に立たせていただいていると感じております。明日の第3局は厳しい状況ですが、自分らしさを求めてがんばっていきたいと思っております。自分なりに精いっぱい頑張っていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします」

Kaikai10(里見香奈女流五冠)
「本日はお昼頃に鹿児島空港に到着しましたが、本当に温かくお出迎えしていただきました。道中でも小学生の皆さん、市役所の方に手を振っていただきまして感激いたしました。ありがとうございます。明日は自分の力を精一杯出しきれるように、全力を尽くしてがんばりたいと思います」

(書き起こし:翔)

開会式(1)

19時から第3局開会式が行われました。両対局者が入場すると、関係各位からの挨拶がありました。

Kaikai01(両対局者登壇)

Kaikai03 (西浦三郎・ヒューリック株式会社代表取締役会長)
「白水館さんのご支援の賜物で、昨年に続いて開催させていただき、ありがとうございます。白水館はお庭に羽生善治永世七冠誕生の地の碑があるなど、九州の中では将棋のメッカになっていて、このあと(12月2日・3日)竜王戦で藤井聡太竜王と広瀬章人八段が第6局で指されると聞いています。公式棋戦、また女流棋戦、いろいろサポートしていただいて大変ありがたいです。今日は日本将棋連盟のほうから杉本(昌隆)理事にお越しいただいております。いま棋士の中では藤井聡太竜王が一番有名で、それに次いで佐藤康光会長と杉本理事が有名じゃないかと思います。
 ヒューリック株式会社は200人くらいしかいない企業で、実質的には将棋連盟に運営をほぼ全てお世話になっています。我々と将棋連盟の関係は、棋聖戦、白玲戦。そして東京の新たな将棋会館を建てるということで、その1階に区分所有で入っていただくと、いろいろ関係を築いていただいております。我々はあまりBtoCをやっていないですが、将棋は伝統文化のひとつですので、我々としては社会貢献のひとつとしていろいろご支援させていただいております。
 これまで女流棋戦はほとんどトーナメントで、たまたま負けちゃったらおしまいです。白玲戦は順位戦と同じようにA級からD級に分かれて昇級、降級、やや厳しいですが強くなってほしいという思いで設立しました。谷川浩司十七世名人に『間違いなく女流棋士は強くなっている』と言っていただいて、大変うれしく思っています。
 先々週はお台場、先週は京都でやりまして今回は鹿児島。来週は大阪・東京を飛び越して札幌で行います。おふたりには大変厳しいスケジュールでお疲れのところもあるかと思います。第1局の大盤解説を担当された中村太地七段がいい熱戦だったとお話されていました。三段リーグで揉まれた人たちは強いよねと、棋士の皆さんもおっしゃっておりました。
 鹿児島空港での歓迎式典、小学校でこどもたちが、また市役所の方々も手を振っていただくなど励ましていただきました。垂れ幕には『キバレ』(鹿児島弁で『がんばれ』の意味)というのが書いてありまして、その言葉を胸にがんばっていただきたいと思います」

Kaikai04 (杉本昌隆・日本将棋連盟理事)
「今回は、このように素晴らしく温かい開会式を催していただいてありがとうございます。また地元から3市長(指宿市、南さつま市、日置市)がいらしているということで、うれしく思います。ありがとうございます。
 白玲戦は順位戦形式で、リーグ戦がありまして、全女流棋士がリーグ戦を対局できるというのが画期的な棋戦です。リーグ戦は負けても1年間戦えるんですね。身近な女流棋士に聞くと『1年間リーグ戦を指せるのがうれしい、対局数がものすごく増えました』と言っていました。私たち棋士は日頃、次の相手のことを考えて強くなるので、1年間常に将棋のことを考えることができる素晴らしい棋戦ができたことを、改めて御礼申し上げます。
 西山白玲・女王と、里見清麗・女流王座・女流王位・女流王将・倉敷藤花。この会場に7つの女流タイトルが集合しています。いまはタイトル戦が8つあって、もうひとつの女流名人は立会人の屋敷伸之九段のお弟子さんの伊藤沙恵さんが持っておられます。
 対局者のふたりは振り飛車党で、最先端、現代振り飛車の戦いです。私事ですが私も振り飛車党で、相振り飛車の定跡書を10冊出しているのですが、ふたりの振り飛車は見ていて勉強になるので、必ず見るようにしています。アマチュアの方に人気があるのが振り飛車で、ふたりの対局はアマチュアの方も楽しみにしておられます。振り飛車党にとって、全将棋ファンにとって注目の一局だと思います。
 番勝負も煮詰まってきました。里見女流五冠がこのままの勢いで押し切るのか、西山白玲の反撃が始まるのかという意味で注目です。明日は激戦を見られることを期待しています」

Kaikai05(打越明司・指宿市長)
「今日は3人の市長が来ておりますが、地元ということで代表してあいさついたします。また市民を代表して歓迎と感謝を申し上げたいと思います。指宿は読んで字のごとく将棋を『指』す『宿』と書きます。竜王戦で縁が深くなってからこじつけたように言っていましたが、だんだんと文字通り、『指す宿、指宿』というのが形になってきてうれしく思います。
 来年は高校生の総文祭(全国高校総合文化祭)が鹿児島であり、将棋の全国大会(総文祭将棋部門兼全国高校将棋選手権)はこの指宿市で行われます。少しずつ実績を積みながら、できるだけ多くの方をもてなして、できるだけ多くの方に楽しんでいただくことを目指しています。その中でまた、将棋界の中でも大事な街に育っていけばありがたいことだと思っています。
 明日は緊張感のある1日になりますが、指宿は指す宿だけじゃなくて癒す宿でもあります。ハードスケジュールの連戦が続いているということなので、ここで心も体も癒してから次の対戦地に向かっていただければと思います。明日は初手に立ち会いますが、ぜひいい戦いをしていただきたいと思います。
 女流の8つのタイトルの中で最も美しい名前の白玲戦が指されるのは、心がうきうきすると思っています。また今後もご縁深く、将棋のレジェンドのような街として成長させていただければと思います」

(書き起こし:翔)

揮毫

検分後、挑戦者、白玲の順でそれぞれ揮毫に臨みました。

Kigou1 (まずは里見女流五冠から)

Kigou2 (続いて西山白玲)

Kigou3 (1枚にまとめたものも。日付は揮毫日)

検分

予定の17時から少し早めて検分が行われ、特に問題なく5分ほどで終了しました。

Kenbun01 (西山白玲が先に入室。立会人の屋敷九段が空調の調整について確認する)

Kenbun02 (里見女流五冠も予定より早く入室。左端は記録係の貞升女流二段)

Kenbun03 (駒の感触を確かめる西山白玲)

Kenbun05 (同じく里見女流五冠)

Kenbun07 (日本将棋連盟理事の杉本昌隆八段も同席。照明や空調も問題なし)

Kenbun09 (検分終了の一礼)

歓迎イベント

西山白玲は東京から、里見女流五冠は大阪から、それぞれ空路で鹿児島入り。鹿児島空港に着くと、さまざまな歓迎イベントがありました。指宿にはバスで移動しています。

Kangei01_2 (空港にて。鹿児島市に隣接の日置市の武将隊の方々から花束贈呈)

Kangei02 (かごしまPRキャラクターの「さくら」も交えて記念撮影)

Usbt(鹿児島といえば黒牛、黒豚)

Kangei03 (指宿への道中、関係者のバスが通るのに合わせ、地元小学生が沿道に)

Kangei04 (こちらは指宿市役所の職員の方々)

Kangei05 (指宿白水館到着)

Kangei06 (本局の懸垂幕がお出迎え)

第3局は指宿対局

西山朋佳白玲(女王)に里見香奈女流五冠が挑戦する第2期ヒューリック杯白玲戦七番勝負(主催:ヒューリック)は挑戦者が2連勝スタートを決めました。西山白玲が1勝を返すのか、里見女流五冠が勝ってタイトル奪取にあと1勝と迫るのか。第3局は9月10日(土)、「指宿白水館」(鹿児島県指宿市)で行われます。持ち時間は各4時間(チェスクロック使用)。切れたら1手60秒の秒読み。対局開始は9時。本局の先手は里見女流五冠です。立会人は屋敷伸之九段、記録係は貞升南女流二段、現地大盤解説会の解説は高見泰地七段、聞き手は塚田恵梨花女流初段がそれぞれ務めます。

中継は棋譜・コメントを翔、ブログを飛龍が担当いたします。どうぞよろしくお願いいたします。

Tobira1 (九州上空より)