福崎九段は2018年の第8期も決勝三番勝負の立会人を務め、今回が2回目になります。
(「モナリザの微笑み」といわれて一世を風靡した福崎九段)
(第8期当時の盤側。右端は四段昇段が岡部四段と同期の徳田拳士当時三段。武蔵撮影)
(上野四段は三段当時に2度、三番勝負の記録係を務めている。写真は第11期)(飛龍)
上図は△4九角の打ち込みに対して歩を成り捨てたところ。△1三同歩に▲1七歩で▲3六角が狙いになります。実現すれば桂取りで、次に▲4八飛で角を捕獲できます。
対して△6六歩がうまい手。△6七歩成を見せて▲6六同銀を誘い、△7四歩▲同金△7六角成で無事に馬を作れました。福崎九段は1筋の歩越しの香が悪い形として懸念を示しています。
(上野四段は馬を作られた代償がほしい)(飛龍)
指し直し局は8手目△8八角成で後手の一手損角換わりに進みました。上野四段は早繰り銀を採用して積極的に動いています。
17時頃には以下の局面まで進みました。
(岡部四段は一手損角換わりで戦う) (飛龍)
千日手成立後、わずかな小憩も視野に入れて指し直し局開始時刻が決められました。千日手成立11分後に開始されています。 (対局室に立会人の福崎九段が入っていく)
(時計を確認して開始時刻を両対局者に打診、快諾を得た)
(駒をしまい、指し直し局に備える)(飛龍)
16時26分、上野四段の先手に入れ替わって指し直し局が開始されました。千日手局で互いに持ち時間を使いきっていたため指し直し局の持ち時間はなく、初手から1手60秒未満の着手となります。
(岡部四段が盤上に駒を散らす)
(先手番を得た上野四段)
(後手になった岡部四段)
(駒を並べる両者)
(指し直し局開始の一礼)(飛龍)
第1局は16時15分、83手で同一局面4回目となり、千日手になりました。消費時間は▲岡部1時間0分、△上野1時間0分(チェスクロック使用)。協議の結果、16時25分を目途に準備ができ次第、先後を入れ替えて初手から1手60秒の秒読みで指し直されます。
(飛龍)
岡部四段も持ち時間を使いきり、飛車取りに馬を寄りました。この局面は71手目▲8四馬と同じ局面で、△8二飛▲7四馬△6二飛▲8四馬の手順があと2回繰り返されれば4回目の同一局面となり、千日手指し直しになります。(飛龍)
図の▲6七歩が自玉の安定を図って粘り強い一手。上野四段はこの局面で持ち時間を使いきりました。16時頃には下図まで進んでいます。
(上野四段が先に1手60秒の秒読みに入った)(飛龍)
控室のモニターには大盤解説会の様子が映し出されています。
(左に村田智弘七段、右に久保利明九段。両者は淡路仁茂九段門下の兄弟弟子)
(次に登壇したのは久保九段の長女の久保翔子女流1級と、井上九段)
(さらに大きな身振りの神吉宏充七段と、菅井竜也八段)(飛龍)
上野四段の駒に勢いが出てきています。上図から△5五銀引、△7五銀引、△7五歩、△7七歩のどれも有力と見られていました。上野四段は△7五歩を選んでいます。岡部四段は▲8五銀と勝負に出ました。
△8五同飛なら▲6六歩で先手陣も耐久力があります。実戦は△6七銀成▲同玉で先手玉を露出させ、△8五飛▲5八玉と進みました。
(岡部四段は勝負手を繰り出し、辛抱する展開になった)(飛龍)