第20回2回戦

2012年5月 1日 (火)

観戦記は『週刊朝日』で

本局の観戦記を担当するのは君島俊介さん。『週刊朝日』6月15、22日号の誌上に掲載されるので、こちらもあわせてご覧いただきたい。

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(今週発売の5月4、11日合併号。98、99ページに富士通杯達人戦の特集が組まれている)

本局の使用駒

本局で使用されている駒は、美水師作の水無瀬書。達人戦にふさわしい、多くの戦いを経験してきた駒だ。

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(加藤九段の王将。「美水作」と駒師の名が刻まれているが、使い込まれて漆が取れてしまっている)

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(高橋九段の玉将。「水無瀬書」と駒の書体が刻まれている。こちらも、漆が取れてしまっている)

対局再開

先に対局室に戻ったのは高橋九段。加藤九段は再開直前に、お茶のペットボトルを4本持って入室。どっかと腰を下ろすと、ごくりごくりと飲み下していく。湯のみのお茶をかぱっと一杯飲んで、再びペットボトルからごくり。そして目を見開き盤面をにらむ。記録係から再開が告げられても、加藤九段はあぐらのままじっと動かなかった。

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昼食休憩に入る。再開は13時より

1_40定刻の12時10分になり、図の局面で昼食休憩に入った。消費時間は▲加藤1時間10分、△高橋42分。昼食の注文は加藤九段が特上寿司(千寿司)、高橋九段は肉じゃが定食(みろく庵)だった。対局は13時から再開される。

休憩に入った直後、加藤九段は相手側に回って仁王立ち。相手の視点から見ることで、得るものがあるのだろう。これも加藤流。

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(午後になって雲が垂れ込め、霧のように細かい雨が降ってきた)

達人戦Twitterアカウント

富士通杯達人戦では、スタッフによるTwitterからの情報発信も行われている。最近では名人戦第2局の開催地である長岡市に行ってきたようで、桜の写真が投稿されている。

・達人戦 富士通スタッフ(@Fujitsu_shogi)
http://twitter.com/#!/Fujitsu_shogi

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後手、攻勢をとる

1_3611時20分頃、高橋九段は△4四角(図)と角を据えた。飛車に当てて先手の対応をうかがいつつ、二枚桂のサポートを担っている。△6五桂、△4五桂と二枚の桂が活躍する展開になれば後手ペースだ。先手は一方的に攻められてはおもしろくない。どのように反撃するか、今後の計画を立てていきたいところだ。

花の季節

きょうの千駄ヶ谷は曇り。厚ぼったい雲が空を覆っている。しかし気温は高く、加藤九段が冷房をつけたのもうなずける。将棋会館隣の鳩森神社では、色とりどりの花が咲いていた。

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戦型は横歩取りに

1_30対局開始から30分と経たないうちに、すいすいと指し手が進んで図の局面になった。戦型は横歩取り。後手の高橋九段は横歩を取らせて指す後手番を得意にしていて、横歩を取る権利のある先手番を持ったときもあえて横歩を取らせることが多い。横歩取りでは、先手は歩得という実利を後ろ盾に、陣形を盛り上げていきゆっくりした展開を目指す。4筋または3筋に位を確保するのが序盤の指針だ。対する後手は、歩損の代償に手得している。低くて堅い陣形を頼みに、飛角桂を軽快に使って手を作るのが後手の方針だ。序盤で一方がはっきりと駒損する珍しい戦型だが、後手から主導権を握って動ける点は、他の戦型にない大きな魅力。「空中戦」とも呼ばれる華々しい戦いを堪能していただきたい。

対局開始

定刻の10時になり、記録係が対局開始を告げる。加藤九段はすぐに初手を着手。高橋九段はそれを見届けてからお茶を一口飲むと、気持ちを落ち着けるようにじっと目を閉じた。1、2分だっただろうか。しばらく間を置き、高橋九段が2手目を着手した。

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加藤流

振り駒が終わると、加藤九段は立ち上がって対局室の外に。どうも空調の設定を変えているようだ。戻ってきた加藤九段は記録係に「冷房を22度にしてください」と言って、再び着座した。

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