第21回1回戦

2013年7月 3日 (水)

本日の棋譜

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これで本局の中継を終了いたします。ご観戦いただき、ありがとうございました。

富士通杯達人戦の対局の模様は週刊朝日に掲載されます。本局の模様は8月2日号と9日号に掲載される予定です。是非ご覧ください。

何が起こっていたのか

 

20130703aonokatou89_2図は▲6八金打と受けた局面。ここで△6九銀と迫れば明快でした。▲8八玉と▲7七玉には、△6八成桂と駒を取りながら自然に寄せることができます。加藤九段は、青野九段に指摘されて初めて気が付いたようです。

では、加藤九段は何を読んでいたのか。

「92手目の局面で、△8五銀と打つつもりだったんです。しかし▲8八歩で大変なことに気が付きました」(加藤九段)

20130703aonokatou92sankouzu_3 上図は△8六歩からの詰めろ。しかし、▲8八歩△6八成桂▲7七金と進んだ局面は寄せにくいと加藤九段は判断したようです。

20130703aonokatou95sankou_2 本譜の順は「予定変更」で、△5二銀と金を取った局面は生きた心地がしません。しかし加藤九段は中段玉で踏ん張り続け、無事に勝ち切りました。

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感想戦

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(勝った加藤九段。準決勝では羽生善治三冠と対戦する。対戦は2002年2月7日のA級順位戦以来だ)

終局直後

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(勝った加藤九段)

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(敗れた青野九段)

加藤九段が準決勝へ

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118手まで加藤九段が制し、準決勝へ駒を進めた。終局は17時52分。消費時間は▲青野2時間59分、△加藤2時間58分。勝った加藤は準決勝で羽生善治三冠と戦う。

詰むや詰まざるや

20130703katouaono84青野玉にぴったりしたと受けがなくなりました。後は加藤九段の玉が詰むかどうかと言われています。

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(朝の加藤九段。自玉が危険であるにもかかわらず、踏み込んだ)

迫る加藤九段

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図は5八金を6七に逃げた局面。互いに飛車と角を取り合った局面で、ここが勝負所と見られていました。加藤九段は△3七角。

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一見、狙いがわかりにくい角打ちですが……以下▲7一飛△4二玉▲2七飛△5九角成▲4四桂△5八桂成と進んだのが下図。

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次に△6九銀が厳しい狙いで、桂を手に入れれば△7八銀成▲同玉△8六桂から詰ます筋があります。▲3二桂成や▲5二桂成をけん制している意味もあるので、攻防手になっているのがミソ。手を渡された先手ですが、なにを指せばいいか難しいようです。

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(△5八桂成を指す加藤九段)

16時頃の局面

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15時59分、青野九段は▲6三銀と打ちました。「▲4四桂の攻め合いには自信が持てなかったのではないか」と中継室で言われています。

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(朝の青野九段。▲4四桂に比べると、▲6三銀は曲線的な手と言われている)

青野九段、長考

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15時50分現在、図の局面で青野九段が30分以上考えています。▲6八角には△7六歩▲同銀△6六桂があるので後手が良いようですが、ここで▲4四桂の切り返しが指摘されています。

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以下△4四同銀▲同歩△4六桂▲4三銀と進んでどうか。後手は△5八桂成と取れば△4六角の王手飛車を狙うことができますが、先手の▲3二銀成△同飛▲2三飛成も厳しい手です。

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15時頃の局面

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加藤九段は▲3六歩に49分の長考で△5二飛と回りました。中央をがっちり押さえてから△7三桂~△6二金と活用するかと思いきや、△7五歩!

20130703aonokatou50宮田利七段が「積極的すぎる……」と感嘆した一手で、▲7五同歩ならば△5六歩▲同銀△7六歩▲同銀△6六角(参考図)の狙いがあります。

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▲7五同歩では利かされと見たか、青野九段は▲4五歩と反撃に出ました。局面は激しさを増しています。

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