図は▲6八金打と受けた局面。ここで△6九銀と迫れば明快でした。▲8八玉と▲7七玉には、△6八成桂と駒を取りながら自然に寄せることができます。加藤九段は、青野九段に指摘されて初めて気が付いたようです。
では、加藤九段は何を読んでいたのか。
「92手目の局面で、△8五銀と打つつもりだったんです。しかし▲8八歩で大変なことに気が付きました」(加藤九段)
上図は△8六歩からの詰めろ。しかし、▲8八歩△6八成桂▲7七金と進んだ局面は寄せにくいと加藤九段は判断したようです。
本譜の順は「予定変更」で、△5二銀と金を取った局面は生きた心地がしません。しかし加藤九段は中段玉で踏ん張り続け、無事に勝ち切りました。
118手まで加藤九段が制し、準決勝へ駒を進めた。終局は17時52分。消費時間は▲青野2時間59分、△加藤2時間58分。勝った加藤は準決勝で羽生善治三冠と戦う。