第20回準決勝

2012年7月20日 (金)

本局の棋譜

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本局の棋譜。

本局の中継はこれで終了いたします。
ご観戦誠にありがとうございました。

第20回富士通杯達人戦、決勝戦は森内俊之名人-羽生善治二冠により、9月1日(土)有楽町「朝日ホールマリオン」で行われます。どうぞお楽しみに。

感想戦

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終局からしばらくして、両者落ち着きを取り戻し感想戦が始まった。

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終局直後

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追い上げムードで終盤の激戦が予感されていたところでの突然の終焉。
終局後は両者しばらく言葉が出なかった。

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森内俊之名人は勝って有楽町マリオンでの決勝戦行きのチケットを手に入れた。

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終局直後、加藤九段の顔は耳まで赤く染まっていた。

森内名人が決勝進出

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17時10分、図の直前に△8七歩を指して席を離れていた加藤九段。戻ってくると、先手が着手したものと勘違いして△5七馬を着手。二手指しの反則で終局となり、先手の勝ちとなりました。
この結果、森内俊之名人が決勝進出を決めています。

公式記録は98手にて終局。
消費時間は▲森内2時間42分、△加藤2時間50分。

追い上げる加藤九段

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先手良しと見られている本局ですが、△6六歩が指されると森内名人は▲7七金寄と応じています。▲6八金引とは引きづらい理由が何かあったようです。これは少し前に日浦八段が「利かしておきたかった」といっていた手が実現した格好。加藤九段が追い上げているようです。

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こちらは富士通製のノートパソコン。中継用の備品として活躍している。

外は豪雨

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16時20分頃の鳩森神社の様子。豪雨の中、提灯が灯り、盆踊りの音楽が流れている。

16時、先手の猛攻

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森内名人は▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲1三歩と香を釣り上げてから▲3四歩と突きだしました。3三の桂取りと▲1三角成△同玉▲1四飛の両狙い。16時頃、図から加藤九段は△3四同銀と応じています。

△3四同銀以下▲1三角成△同玉▲1四飛△2二玉▲1二飛成△3一玉▲1一竜△2一桂▲2二歩(次図)と進んでいます。

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本日の対局立会人を務める日浦市郎八段に見解を聞きました。
「先手が良さそうに見えます。後手は(69手目)▲1二歩とたたかれたときに△6六歩を利かせる手があったかもしれません。そのタイミングなら▲7七金と寄る一手で、金を寄らせておけばどこかで△5七馬と王手に引く味も出てきます。本譜は馬の活用が難しく、後手が苦しい印象です」

開戦

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15時15分頃、森内名人が▲1八飛と回って端攻めを狙ったところで、加藤九段は△6五歩(56手目)と開戦しました。以下▲同歩△3五歩と進んで図の局面。
△3五歩は先手の角筋を止めた意味です。この手を省いて例えば△6五同桂▲6六銀△6四歩と進めるのは、▲1四歩△同歩▲1二歩△同香▲1三歩(参考図)が猛烈に厳しく後手敗勢におちいります。

先手の端攻めと、後手の6筋攻めの対抗。局面は一気に激しさを増しています。

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15時過ぎ、力強く盛り上がる

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加藤九段は△6五歩の仕掛けは見送り、△4五歩と角を追って△4四銀右~△3七桂と4五の位をガッチリ確保して盛り上がりました。後手の4筋はほれぼれするような好形。ただし、桂を跳ねたことで1筋がさらに薄くなった点が気になります。

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力強い駒組みを見せた加藤九段(朝の表情)。

柔軟な銀引き

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14時20分過ぎ、先手は銀を引きました。△6五歩の筋を緩和し、場合によっては銀を2筋方面の攻めに使う構想も含みにしているようです。手損を気にしない森内名人の柔軟な一手。

後手は△6五歩と仕掛けるタイミングを計っていますが、△6五歩には▲7五歩(参考図)が手筋の反撃。△同角は▲7三角成、△同歩は▲7四歩があるためこの歩はとれません。以下△6三金のような展開が予想されますが、それで攻めが続くかどうか。先手にあまり駒を渡すと▲2四歩の反撃が厳しいという問題もあります。
あるいは△6五歩に▲同歩△同桂▲6六銀△6四歩(参考2図)と形を決めてしまい、続いて▲3七桂~▲2五桂~▲1四歩と端攻めを目指す構想も考えられるようです。

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