谷川九段と内藤九段は、過去、富士通杯達人戦で2度対戦しています。
最初の対戦は第13回大会(2005年)の2回戦です。矢倉模様の出だしから、後手の内藤九段が腰掛け銀から積極的に動く作戦に対し、谷川九段は中央を手厚くした構えで応じます。
第1図はその終盤。ここで谷川九段が指した▲7三角成が「光速の寄せ」。△同飛なら▲3四桂以下の即詰みがあります。実戦は▲7三角成に△2五桂▲8三馬と飛車を取り合いましたが、△3九飛の打ち込みに▲5九歩の底歩が堅く、以下十数手で谷川九段の勝ちとなりました。
【第13回富士通杯達人戦・2回戦第3局 ▲谷川浩司九段-△内藤國雄九段】
http://jad.fujitsu.com/event/2005/shogi/applet/23.html
2度目の対戦は第18回大会(2010年)の2回戦。谷川九段のゴキゲン中飛車に、内藤九段が▲7八金~▲2四歩と序盤早々に仕掛けていきます。しかし冷静な対応で駒得を果たした谷川九段がリードする展開に。
第2図は内藤九段が▲4五金と打った局面。ここで谷川九段が放った△1二角がぴったりの返し技。以下▲3四金△同角▲5七金の辛抱に△2五歩▲2七歩△5八歩が厳しく、本局は谷川九段の快勝譜となりました。
【第18回富士通杯達人戦・2回戦第1局 ▲内藤國雄九段-△谷川浩司九段】
http://jad.fujitsu.com/event/2010/shogi/applet/21.html
本局は3度目の対戦。内藤九段の巻き返しに期待したいところです。
151手まで加藤九段が熱戦を制した。終局は17時41分、消費時間は▲加藤2時間58分、△高橋2時間36分。
△6四同歩は▲同竜で▲3二歩成で受けがない。両王手を受けるには△5一玉だが、▲3二歩成△4二金引なら▲同と以下の即詰み。▲3二歩成に△4二銀は▲4一と以下の即詰み。
後手がリードを奪ったかに見えたが、加藤九段の怒涛の反撃が始まった。▲2五桂(図)がその第一弾で、玉頭の金に狙いをつけて厳しい。△4三金寄とよろけたが、続く▲3三飛が重戦車の主砲の如く強烈な打ち込みだ。以下△3二銀打▲3五飛成(下図)と進んだ。飛車を成り返った手が6筋の銀に当たっている。
3筋をよく見ると、下段に今か今かと待ち構えていた香の姿が。次の▲2四桂が竜、馬、香をいっぺんに働かせて詰めろになり、これがおそろしく厳しい。後手はこの狙いが見えているにもかかわらず、受けが難しい。たとえば歩を補充する△5六銀は、▲2四桂ならそこで△3四歩と遮断できるが、バッサリ▲3二竜と切られるとそのまま寄せられてしまいそうだ。下段玉、歩切れといった条件が受けにくさに拍車をかけている。