後手、仕掛ける
図は14時50分頃の局面。ついに高橋九段が動いた。先手の飛車が狭いことを見越して、桂交換から桂を使って先手の飛車に働きかけようとしている。控室ではここから▲4七銀△7七桂成▲同銀△5六歩▲同飛△5五桂▲3六銀△3五歩▲4五歩△5三角(参考図)が調べられた。
5五の駒を歩から桂に打ち換え、銀をつり出して△3五歩で捕まえるという構想だ。参考図で▲5五飛なら△3六歩。こう進めば、後手は銀桂交換の駒得になる。先手も豊富な持ち駒を生かしての反撃が楽しみだが、桂を渡すと△4六桂が生じるため制約も多い。やや先手に苦労の多い局面だろうか。

(先攻する高橋九段。このままペースを握れるか。写真は対局再開時のもの)



図は14時頃の局面。高橋九段は△2三銀(図)と銀冠の骨組みを作り、形を整えた。最近の横歩取りや相掛かりでは、この銀冠の形を作ることがひとつのトレンドになっている。後手は桂を活用し、先手玉の急所を狙う5筋を伸ばし、飛角も軽い形。一方の先手はすべての筋に歩を打ってしまい、なかなか駒が前に出ていかない。「後手は動きやすそうですね」と話すのは、本日の立会人を務める高田尚平六段。棋士立会人制度は、その日の全対局が終了するまで進行を見守るという新しい制度だ。14時過ぎ、加藤九段が時間を使っている。










定刻の12時10分になり、図の局面で昼食休憩に入った。消費時間は▲加藤1時間10分、△高橋42分。昼食の注文は加藤九段が特上寿司(千寿司)、高橋九段は肉じゃが定食(みろく庵)だった。対局は13時から再開される。




11時20分頃、高橋九段は△4四角(図)と角を据えた。飛車に当てて先手の対応をうかがいつつ、二枚桂のサポートを担っている。△6五桂、△4五桂と二枚の桂が活躍する展開になれば後手ペースだ。先手は一方的に攻められてはおもしろくない。どのように反撃するか、今後の計画を立てていきたいところだ。