図は16時50分頃の局面。羽生二冠の▲6五桂(図)に対し、桐山九段が時間を使っている。持ち時間の残りは20分を切った。局面は終盤に入りつつある。ここからは指し手のペースが早くなってくるだろう。
(棋譜用紙。中盤で両者少考の応酬があった)
16時を過ぎ、晴れ間がのぞいてきた。明るい日差しのなか雨が降っているが、徐々に弱まってきている。
羽生二冠は手筋を使って後手陣の形を崩していく。▲2二歩(図)は△同金と取らせることで、金を玉から引き離しつつ壁形にさせる狙いだ。先手好調のようだが、△5五角が残っているので忙しい面もある。いかにうまく手をつなげられるかがポイントになるだろう。
羽生二冠が中段で大駒をさばくと、桐山九段は△8六歩(図)の手筋で応戦した。▲8六同歩と取らせることで、いつでも△8六飛~△3六飛のさばきが利くようになる。歩が潤滑剤の役割を果たしていることがよくわかる場面だ。 互いに歩が低い位置にあるので、歩をぶつけて駒を押し上げていくような、力の入った攻めは期待できない。技を駆使する必要がある。
富士通杯達人戦では、スタッフによるTwitterでの情報発信も行っている。ツイートでは羽生二冠の飲み物の話題など、将棋に詳しくなくても楽しめる情報が盛りだくさんだ。
羽生二冠は▲2四飛(図)と浮いた。羽生二冠らしいやわらかい感触の手だ。次に▲7四飛~▲7三角成を狙っているが、後手はこの防ぎ方が悩ましい。考えられるのは△6四角か△6四歩だが、後手にとっては玉のコビンを開ける味の悪い手になる。
東京では上空に暗い雲が垂れ込めてきた。遠くには小さな光も見える。雷が落ちているようだ。
図は14時30分頃の局面。先手が▲4五桂と跳ね、後手が△4二角と当たりを避けて引いたところだ。ここで先手には▲3四銀!という派手な攻め筋がある。△同歩はもちろん▲2二角成。ただ、単に▲3四銀は△2三歩で後続が難しそうなので、狙うなら▲2三歩の筋と組み合わせたい。プロの将棋では互いに警戒して狙いを消すことが多いので、こうした大技がかかることは滅多にない。本局では成立するのだろうか?