2012年9月 1日 (土)

戦型は角換わり

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戦型は角換わりに進んでいる。後手の森内名人は△7三桂を保留する待機戦術を選択。7筋に桂頭のキズを作らないことで、先手に対して仕掛けを難しくする意味がある。羽生二冠は▲4八飛と定跡の攻め形で攻略を目指した。

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13時50分頃の局面。羽生二冠は再びの角交換から▲2八角と据えた。森内名人は△2五銀と桂をちぎって△4五銀(図)と出る。後手が積極的に反撃に出て、先手陣に襲いかかっている。先手の羽生二冠がどう対応するかが重要になりそうだ。

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対局開始

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対局準備、振り駒

二人が盤の前に座り、森内名人が駒箱を開ける。駒を並べ終えると、記録係の黒沢三段が振り駒を行う。先手番を得たのは羽生二冠。いよいよ対局開始、というところで森下九段が「これ逆ですよね」と一言。大盤の前に置かれた名前の札が逆になっていたのだ。いそいそと札を入れ替える。羽生二冠はその様子を微笑みながら見ていた。

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対局者、入場

待ちに待った対局者の入場。大きな拍手が二人を迎える。インタビューが行われたのち、対局の準備が始まった。

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■森内俊之名人
「せっかくこのような大きい舞台に立てるので、その舞台にふさわしいような対局ができるように頑張ります」

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■羽生善治二冠
「20回という大きな節目に呼んでいただきありがとうございます。面白い、ハラハラするような将棋を力いっぱい指したいと思います」

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開会式

13時、開演。主催者あいさつと、解説棋士の紹介があった。

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■日本将棋連盟専務理事 谷川浩司九段
「今期は予選で羽生さんに完敗しました。以前優勝したときにノートパソコンをいただいたのですが、これは関西の棋士室に寄贈しまして、研究に役立ててもらっています」

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■週刊朝日編集長 河畠大四様
「今回は注目していることが2つありまして、これまでに達人戦で連覇をした人というのは3人います。米長邦雄永世棋聖、中原誠十六世名人、谷川浩司九段です。これに羽生さんが続けるかどうか。2つ目は、現役の名人が達人戦を制覇するかということで、これは第1回の米長邦雄名人(当時)のときにありました。森内名人にそれができるか、これがもうひとつです。二人の対戦は今期の名人戦の再現でもあります。この決勝を『第8局』という位置づけでお楽しみいただければと思います」

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(盤側の関係者。左から安食女流初段、黒沢三段、観戦記担当の村瀬記者)

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(大盤解説を担当する、山田久女流三段=左、森下九段=右)

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準決勝を振り返る

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先に決勝進出を決めたのは羽生二冠。7月2日に行われた谷川浩司九段との対局では、先手中飛車から穴熊に組んだ。大駒を全て相手に渡すものの、小駒を使って玉頭から食いつく。穴熊らしい攻めが決まり、勝利を収めた。

【第20回富士通杯達人戦準決勝 ▲羽生善治二冠-△谷川浩司九段】
http://live.shogi.or.jp/tatsujin/kifu/20/tatsujin201207020101.html

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もう一方の山を勝ち抜いたのは達人戦初出場の森内名人。7月20日に行われた加藤一二三九段との対局は、図の局面で加藤九段が二手指し(△5七馬)をしてしまうという形で終局した。

【第20回富士通杯達人戦準決勝 ▲森内俊之名人-△加藤一二三九段】
http://live.shogi.or.jp/tatsujin/kifu/20/tatsujin201207200101.html

二人の公式戦の今年度成績は、森内名人が8勝6敗(0.571)、羽生二冠が 24勝8敗(0.750)。羽生二冠の成績は対戦相手にトップ棋士が多いなかでのものだけに、驚異的。対する森内名人の勝率は6割を切っており、タイトル保持者としてはやや物足りない感もある。しかし今期の名人戦では、羽生二冠の挑戦を退け堂々の防衛を果たしている。さて、本局はどのような結果になるだろうか?

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本局の観戦記は『週刊朝日』で

決勝戦の観戦記を担当するのは朝日新聞社の村瀬信也記者。記事は『週刊朝日』9月23日号、30日号に掲載される予定だ。今期の名人戦を戦った二人の対戦だけに、白熱した戦いになるのは間違いないだろう。こちらもご期待いただきたい。

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