2013年8月 1日 (木)

△9五角、打ちにくい王手

△9五角と谷川九段が王手をした局面で片上大輔六段が中継室へ。

Mt82

この局面を見て、

「▲8六銀には△同角▲同飛△6六銀▲同桂△同角▲同金でばらして△7四桂ですか。これは谷川ペースじゃないですか。森内さんなら▲7七銀と受けるのでしょう」

実戦は▲8六銀△同角▲同飛△6六銀▲同桂△同角に森内名人から先に▲7四桂と打った。△同歩と取らせてから▲6六金と取れば後手は△7四桂とは打てない。敵の打ちたいところに打ての桂の捨て駒だ。

Mt89

(中継室のモニターを見る片上大輔六段)

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反撃を残す受け

ぎりぎりの攻防が続いている。王手飛車の図から△6二角▲4四角△同角▲6六桂△5五銀▲7八桂と進んだ。

Mt76_2

Mt79_2

Mt81

上の△6二角、▲6六桂、▲7八桂の3手はどれも直接は相手の攻めを受けているのだが、どれもいずれの攻めを狙っている。例えば▲7八桂と打った手は△6六銀に▲同桂と取れるようにして、▲7四桂打一発で寄り倒す筋を残している。

王手飛車

Mt75_2

16時頃の局面。この▲3五角で後手に王手飛車がかかっている。といっても実戦は谷川九段が△6二角と受け▲4四角△同角と進み、飛車角交換になっているのでただで取られたわけではない。しかし後手の飛車は受けにもよく利いていたので、先手も反撃の楽しみができてきた。

消費時間は▲森内名人2時間18分、△谷川九段2時間6分。互いに残り1時間を切った。

午後の千駄ヶ谷

昼過ぎから空が明るくなり14時頃には青空も見えセミの声もうるさいほど。ほんの数時間ですっかり夏らしくなった。

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(雲はあるものの太陽が顔を見せる)

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(わずかに朝の雨の名残)

先手の受けVS後手の攻め

△8七桂より、▲9八香△9九桂成▲3五歩△4四銀▲2六銀△8九成桂▲同飛△3四桂と進んだ。

Mt61

森内名人の自陣には駒が11枚、特に二段目は9八香の1枚しかない。ここで△5五桂もありそうだったが、谷川は厳しく△3四桂と捨てた。▲同歩には△4六角▲同金△7八銀がある。よって▲6八玉△2六桂と玉を左に囲った。

Mt64_2

谷川陣は堅いので、名人が後手の攻めを受け止めきるかが焦点となる展開だろう。

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(将棋会館1階で売られている森内名人の扇子)

谷川九段、桂の放りこみ

谷川九段が△8七桂とただ捨ての桂を打ったところ、所司和晴七段も驚いた手だ。

Mt54

▲同飛と取ると△4六角▲同金△7八銀の飛車金両取りが狙いだ。▲8八飛△6七銀成は先手の居玉がとがめられた格好となる。

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観戦記は『週刊朝日』に掲載

富士通杯達人戦の対局の模様は週刊朝日に掲載されます。本局の模様は9月6日号と13日号に掲載される予定です。是非ご覧ください。

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(今週号の『週刊朝日』)