再度の攻めに転じた後手でしたが、森内竜王の手厚い受けの前に飛車を撤退。図の飛金両取りの桂が厳しく、形勢ははっきり先手が良くなったようです。
図の2手前に後手が放った△4三銀打が「鍛えの入った受け」と関六段。対して森内竜王は▲8八馬と手厚く引いて受けに回りました。瞬間的に自玉を堅くして手番を握った加藤九段は、△5九角と反撃に転じています。次に△7七歩が入れば後手の攻めも相当な迫力。先手もここは重要な局面になりそうです。
強く受けるなら▲7六銀が考えられます。以下△6九飛成には▲6八金打と強い受けを続けて後手の攻めを切らせる方針です。
15時40分過ぎの局面。
森内竜王の▲8八角に対して、加藤九段は△4四歩▲同角と手筋で近づけてから△3三金と強く受けました。対して森内竜王は角を逃げずに▲2四歩。互いに強い手の応酬で、局面は一気に激しくなっています。
「森内竜王の鋭い反撃で、完全に攻守逆転しました。もう後手に攻める番が回ってこない恐れもありそうです。手の調子がはっきり良く、先手有望と思います。変化例としては、△2三同金は▲1一角成、△4四金は▲2二角~▲4四角成が絶好です」(関浩六段)
前図▲6七銀の局面で、加藤九段の長考が続いています。中継室で予想されている次の一手は△6五飛。対して▲6六歩なら△7五飛と飛車を活用します。△6五飛に▲8三角が気になります。以下△6二飛には▲5五角が厳しい狙い。しかし▲8三角には飛車を逃げずに△6六歩(参考1図)の攻め合いが成立します。以下▲7六銀には△6七銀▲6五銀△7八銀成▲同飛△6七歩成(参考2図)で、食いつけます。このような展開になると後手玉の堅さが生きてきます。
15時5分頃、加藤九段は1時間5分の長考で△6五飛と引きました。加藤九段の残り時間は22分です。