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(「森内さんとこんなに早く達人戦で戦うことになるとは、思いもしませんでした」)
(副賞のノートパソコンについて聞かれると「ちょうど欲しかったんです!」)
(文)
(谷川九段より賞状と賞金が贈られた)
(優勝カップを手にする羽生二冠)
(副賞は富士通製のノートパソコン)
(森内名人には準優勝賞金が贈られた)
図の局面で森内名人が投了。羽生二冠の優勝が決まった。達人戦での2年連続の優勝は、米長邦雄永世棋聖、中原誠十六世名人、谷川浩司九段に続き4人目の快挙だ。(終局直後の様子)
(解説の森下九段も真剣な表情で局面を見つめる)
(聞き手の山田久女流三段)
(14時20分頃、森内名人が頭を抱える)
後手の森内名人が堅陣を盾に攻める展開が続いている。しかし7三の桂が取られそうで、忙しい局面だ。「歩が少ないのが気がかりです」と解説の森下九段。「お二人とは付き合いも長いですよね」と山田久女流三段が問いかけると、森下九段があるエピソードを披露した。
「昔九州に行ったことがありまして。山奥を自転車で巡るというレースをしたんです。羽生さんと森内さん、先崎さん(学八段)、中川さん(大輔八段)もいましたかね。優勝したのはなんと羽生さんだったんです。地元で自転車通学していたので強かったんですね」
局面は中盤の難所を迎え、両者手を止めることが多くなってきた。13時58分、森内名人は考慮時間を3回使っている。対局者のすぐ近くでは森下九段が「これ、それ」と具体的な手が言葉でわからないように解説中。軽妙なトークで会場の笑いを誘う。
戦型は角換わりに進んでいる。後手の森内名人は△7三桂を保留する待機戦術を選択。7筋に桂頭のキズを作らないことで、先手に対して仕掛けを難しくする意味がある。羽生二冠は▲4八飛と定跡の攻め形で攻略を目指した。
二人が盤の前に座り、森内名人が駒箱を開ける。駒を並べ終えると、記録係の黒沢三段が振り駒を行う。先手番を得たのは羽生二冠。いよいよ対局開始、というところで森下九段が「これ逆ですよね」と一言。大盤の前に置かれた名前の札が逆になっていたのだ。いそいそと札を入れ替える。羽生二冠はその様子を微笑みながら見ていた。