加藤九段は再開から25分ほど過ぎて盤の前に戻ってきました。関係者から心配する声もあがっていたところで、一安心です。
さて、局面は進んでいま後手が飛車を引いたところ。角のラインを避けるとともに9一香にヒモを付けています。これで後手は7三桂が自由になり、△6五歩と仕掛ける準備が整いました。開戦の時期は近いようです。
14時過ぎ、△8一飛までの消費時間は▲森内58分、△加藤1時間34分。
12時10分、この局面で加藤九段が27分使って昼食休憩に入りました。消費時間は▲森内58分、△加藤52分。昼食の注文は加藤九段がにぎり特上(千寿司)、森内名人は注文なし。対局は13時に再開されます。
にぎり(特上)
先手は▲1五歩と端を詰めました。将来の端攻めを狙ったものです。
雁木囲いは中央が厚い反面、端が薄いのが弱点の一つ。もし後手の囲いが矢倉なら、3三にいる銀を△2四銀や△2二銀と端の戦力を補強できますが、銀を4三に使う雁木ではそれができません。
端を詰めた先手に対して、後手は角を転回して8四に据えました。矢倉でいうところの「四手角」と呼ばれる位置。
これは初形の2二から3一~4二~5一~8四、あるいは3一~6四~7三~8四など四手かけて移動するため。本譜は3三~5一~8四と三手で移動しました。矢倉と異なり3三に銀がいない雁木ならではのコースです。雁木囲いは角の活用が早いことが利点の一つといえそうです。