2012年5月 1日 (火)

軽快な形の後手、息を潜める先手

1_46図は14時頃の局面。高橋九段は△2三銀(図)と銀冠の骨組みを作り、形を整えた。最近の横歩取りや相掛かりでは、この銀冠の形を作ることがひとつのトレンドになっている。後手は桂を活用し、先手玉の急所を狙う5筋を伸ばし、飛角も軽い形。一方の先手はすべての筋に歩を打ってしまい、なかなか駒が前に出ていかない。「後手は動きやすそうですね」と話すのは、本日の立会人を務める高田尚平六段。棋士立会人制度は、その日の全対局が終了するまで進行を見守るという新しい制度だ。14時過ぎ、加藤九段が時間を使っている。

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観戦記は『週刊朝日』で

本局の観戦記を担当するのは君島俊介さん。『週刊朝日』6月15、22日号の誌上に掲載されるので、こちらもあわせてご覧いただきたい。

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(今週発売の5月4、11日合併号。98、99ページに富士通杯達人戦の特集が組まれている)

本局の使用駒

本局で使用されている駒は、美水師作の水無瀬書。達人戦にふさわしい、多くの戦いを経験してきた駒だ。

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(加藤九段の王将。「美水作」と駒師の名が刻まれているが、使い込まれて漆が取れてしまっている)

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(高橋九段の玉将。「水無瀬書」と駒の書体が刻まれている。こちらも、漆が取れてしまっている)

対局再開

先に対局室に戻ったのは高橋九段。加藤九段は再開直前に、お茶のペットボトルを4本持って入室。どっかと腰を下ろすと、ごくりごくりと飲み下していく。湯のみのお茶をかぱっと一杯飲んで、再びペットボトルからごくり。そして目を見開き盤面をにらむ。記録係から再開が告げられても、加藤九段はあぐらのままじっと動かなかった。

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昼食休憩に入る。再開は13時より

1_40定刻の12時10分になり、図の局面で昼食休憩に入った。消費時間は▲加藤1時間10分、△高橋42分。昼食の注文は加藤九段が特上寿司(千寿司)、高橋九段は肉じゃが定食(みろく庵)だった。対局は13時から再開される。

休憩に入った直後、加藤九段は相手側に回って仁王立ち。相手の視点から見ることで、得るものがあるのだろう。これも加藤流。

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(午後になって雲が垂れ込め、霧のように細かい雨が降ってきた)

達人戦Twitterアカウント

富士通杯達人戦では、スタッフによるTwitterからの情報発信も行われている。最近では名人戦第2局の開催地である長岡市に行ってきたようで、桜の写真が投稿されている。

・達人戦 富士通スタッフ(@Fujitsu_shogi)
http://twitter.com/#!/Fujitsu_shogi

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後手、攻勢をとる

1_3611時20分頃、高橋九段は△4四角(図)と角を据えた。飛車に当てて先手の対応をうかがいつつ、二枚桂のサポートを担っている。△6五桂、△4五桂と二枚の桂が活躍する展開になれば後手ペースだ。先手は一方的に攻められてはおもしろくない。どのように反撃するか、今後の計画を立てていきたいところだ。